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New Orleansのjazzを聴きに♪

その願ってもない機会はひょんなきっかけで訪れた。

 あれは2週間ほど前だったか。娘とBFくんが記念日のため、お互いの仕事が終わった夜遅い時間にBarで食事をしていた時のこと。ブラジルではあるあるなのだが、隣のテーブルの年配の紳士二人に声をかけられたという。

 (BFくんに)「女性の話は良く聞かないとダメだよ〜。でないと後で酷い目に遭うからね!」

 などと24歳のカップルにチャチャを入れて来られたらしい。そして一人のおじさまが(娘はおじいさんと言っていたが)彼らそれぞれに名刺を渡されてこう仰った。

 「自分はこのクラブのオーナーなんだよ。今月の29日以前なら、この名刺を見せればフリーで入れるように話をつけておいてあげる。インスタもやっているからフォローしてね。」

 その名刺には確かにミュージョッククラブとあった。ジャズは若者には敬遠されると思われたのか、ジャズの演奏もあるけれど、そればかりではないと強調されていたそうだ。

 娘から話を聞いた時は、「そんなことがあるのか」程度にしか思わなかった。でも、何かがずっと引っかかっていた。それから数日して、市内のMoema地区にあるというそのクラブの名前を訊ねてみた。財布に大切にしまわれていた名刺を取り出した娘の口から出たその店名は。

この名刺が全ての始まりだった

Bourbon Street Music Club

だった。このお店の名前には聞き覚えがあった。あれはパンデミック前のこと、何かに掲載されたライブ告知で知り、行ってみたいと思いながら実現しなかったこの方のライブの会場だったからだ。

 ジャズ界のレジェンドで米国ミシガン州出身、ベーシストでチェリストでもあるRon Carterさん。今回色々調べていて、子供の頃にTVコマーシャルで観ていた、こんな映像にも巡り合うことが出来た。ジャズに触れるようになり、彼の演奏も度々耳にするようになった。

 こんな有名な方を呼ぶことができるジャズクラブってどんなところだろう。きっと一般人など足を踏み入れることの出来ない高級クラブに違いない。当時はそんな風に妄想して、一人悶々としていたのだった。

 ジャズになどてんで興味のない、娘が持ち帰って来た名刺ではあったが、これは何か意味のあることのように思えて仕方がなかった。

 そんな想いが通じたのか、週末を控えた金曜日、「この店に行ってみない?」との誘いが娘からあった。内心はやったー!でも出来るだけポーカーフェイスを装う素直でない私。笑 

 実際は親想いということではなく、BFくんも他の友達も風邪引きさんで暇なのか〜とも思われたが、
理由はともあれとてもありがたい。

 オーナーの方がお招きくださった夜の部ではなく、とりあえずお昼のライブに、昼食をいただきながら参加してみることにした。月末の土、日の午後に3setsの演奏があることがインスタの投稿から分かった。因みにお昼の部のミュージックフィーはフリー。

曲目はNew Orleansのジャズだという。New Orleansのジャズといえば、noteで知り合った友達から手ほどきを受けて、好きなタイプのジャズだったのだ♪Wow!

 大好きなOn the Sunny Side of the Streetの演奏があるかしら。ご当地料理のgumbo(ガンボ)はあるかな。娘に予約を入れてもらうと、久しぶりのライブ鑑賞を想像して、ワクワクが止まらないままその日は眠りについた。

 さてその翌日。予約は1st setだったので、1時に娘の運転で一同(夫、私、娘)で出発。娘の荒い運転は助手席の夫に一任し、私は後部シートに悠々と身を沈めていた。(あ、沈まないか。)そして自宅アパートから20分ほどで現地に到着。

そのお店は住宅街にあった。ちなみに通りの名前はNew Orleansのそれの、Bourbon Streetというわけではない
実際の入口はこの右奥にあった。昼間の店名はBourbon Street
Jazz Caféというらしい
案内されたテーブルすぐ横に飾られていたベース?ギター?どっち?
お店の創始者は獣医師だったが、ジャズのスピリットのある方だったとの説明書きがあった。娘がお会いした今のオーナーはこの方ではなさそう
お店としては30年の歴史があるそうだ。
本日の演奏は、トランペットとピアノのduo(コントラバスは無し)
ベイビーグランドの上には、演奏に使われる小物が色々と
気になるこのプレートの使われ方はまた後ほど
ジャズクラブでよく見られる、レジェンドの写真が、この他にもたくさん飾られていた
演奏前には、主役のお二人はバーカウンターの向こう側でビールを飲まれていた(見えます?)
エネルギーチャージは満タンに‼︎



 トランペット奏者はMarcelo Torresさん。演奏で魅了されたのはもちろん、愉快で美声の持ち主でもあり、私たちオーディエンスを始終楽しませて下さった。パフォーマンスの様子をぜひ。(“What a difference a day made” 短いです。)

 演奏は間に短い休憩時間を挟んで、30分ずつ位だっただろうか?セットリストなどは特になく、その場の雰囲気で、相棒のピアニストの方とお二人で適当に選曲しているように見受けられた。全部で10曲くらい。

 私には馴染みのない曲ばかりだったが、どれも耳に心地よい演奏(&歌唱)だった。二曲目は大好きな、On the Sunny Side of the Street。この曲の歌詞には今までどんなに励まされて来たことだろう。

 動画はいずれもライブの終盤の演奏。ご本人たちにご挨拶、会計も済ませて席を立たれていたお客様もチラホラいらしたが、それまではカウンター席以外は満席だった。音楽の種類からか、お店のリピーターが多い印象だった。

 トランペットにカップミュートをつけた演奏もあったのだが、ピアノの上のワイングラスでこんなパフォーマンスも↑普通にあることなのか、ジャズ素人の私にはあまりにも楽しすぎた!(Sugar Blues)

 そのほかにも、Marceloさんはサービス精神が旺盛だった。私たちの後ろ側のテーブルの大家族の中の、三つくらいの女の子の目線でしゃがみ、「ここをおさえて、おじさんが吹くからね」と言ったり。

 そして動画の中では上のプレート(Palmas)を実際に使っている。“Palmas”とは「拍手〜」との意味。ソロの後などに拍手の強要(笑) 「クラッシックコンサートなどではつまみ出されてしまうけど、僕たちはジャズだからそんなの関係ないさ」と仰っていた。

 演奏の最中に、ギャルソンの男の子がMarceloさんに耳打ちをし、演奏が止まった。何事かと思えば

「誰かの車が駐禁で切符が切られそうになってるよ?皆大丈夫?ここのお客さんは誰も罰金が課せられちゃダメだからね。僕のフェラーリは大丈夫かな。。」

これには皆大爆笑だった。


***



 このお店に行ったら、是非New Orleansご当地の料理を試してみたいと思っていた。

まずは乾杯。帰りも娘の運転なので、安心しきってアルコールを頼む人が約一名。(私たちは炭酸水 água com gás com gelo e limão)


 それは、噂には聞いていたgumbo(ガンボ)。色々な食材のごった煮のようなイメージだったが、実際に出て来たのは洗練されすぎたこんな一皿だった。

エビ、鶏胸肉、リングイッサ(ソーセージ)それにトマトやセロリなどの野菜、唐辛子の入ったシチュー(のようなもの)。なんともコクがあって美味。しかし途中で唐辛子がキタ〜!

 そのほか、牛フィレやセビッチェ(魚介のマリネ。写真はなし)を頼んでシェア。全体的にオシャレな料理で、お値段は高めだが非常に美味しかった。

 お昼間とはいえ、演奏は一時半からのセット。周りを見ると昼食は済ませて、オーダーはビールにおつまみ程度。最後は大きなアイスクリームで〆ている方が多かった。次に行く機会があれば賢くオーダーをしてみよう。

 お会計にやって来られた女性と少し話をした。この日にオーナーの方とはお会いできなかったけれど、娘たちが名刺をいただいたお陰でお店でジャズを楽しめたこと、いつかは夜のショーでジャズを聴いてみたい旨を伝えると、ダイニングの裏側にあるステージを見せて下さると。撮影も快く許可してくださった。厚いカーテンの内側の様子はこんなだった。

バーカウンター以外は照明がおとされ真っ暗な中、頑張って撮影。奥にステージ。
二階席もあるのかな
足元に気をつけながらステージまで

 ステージにはピアノはなかった。インスタで拝見したところ、ステージのピアノはベイビーではなかったようだったので、こちらでの演奏には別のピアノを使っているのかもしれない。

 ちなみに数日前にインスタストーリーから配信されていた夜のライブは、マイケル・ジャクソンのそっくりさんによるトリビュートのような感じで、ステージや観客の熱狂ぶりがものすごかった。私にはちょっとハードルが高め。


 今回は奥に引っ込んでしまわれたMarceloさんとはお話は出来なかったが、ピアニストの方に挨拶をすることは出来た。スペイン語訛りのポルトガル語を話されるその方のお名前は失念したが、チリの方とのことであった。

 月末の週末に演奏をしてるから、と何回も念押しされ(クラッシックピアノを習っていた私たち夫婦に)ここで演奏してね、などと汗)
ジャズは勉強中だけれど、もう弾くことは出来ないからと返す自分が情けなかった。

 聴いてみたいアーティストのライブがあれば、いつか夜の部にもぜひ参加してみたい。敢えてどなたのとは書きません。。

【オマケ】

 Marceloさんがワイングラスをパカパカさせながら演奏されていたSugar Blues。Ella FitzgeraldとLouis Armstrongではこんなにも雰囲気が変わるのですね。同じ曲の聴き比べもまた楽しいもの、ねぇ、ニカちゃん♪

 長い話にお付き合い、ありがとうございました。


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