見出し画像

たっこちゃん、齢ほぼ80歳 #15 スマホがうまく使えない

たっこちゃんは言う。
「わたし、どこも綺麗なところはないけど、手の指だけは自慢できると思うねん」

シワシワカサカサシミシミで血管も浮いていて、苦労が多かった人生を物語る薄っぺらな手だけど、70歳を過ぎてから患っているリウマチも指の関節はそう酷い状態でもなく、スラッと細長い指と縦長の爪が綺麗っちゃキレイなのかもしれない。

正直に言うと鳥の足や魔女の手を思い出させるので「綺麗」と言い表すには抵抗がある。
たっこちゃん、ごめん。

たっこちゃんはそんな唯一の自慢の指のせいでスマホが上手に使えない。
タッチしても反応しないことが多い。文字入力も思うようにできない。思うに、反った指と第一関節の腹が痩せていてるせいで液晶にうまく触れていないんじゃないかと。

たっこちゃんはスマホに対して指の角度を変えたり、横にしたり、親指でタッチしたりとあれこれ工夫しているけど、なかなか難しい。
プチ整形で目の下や頬をふっくらさせられるんだから、指の腹もどうにかればいいのに。

まあ、できたとしても、自費診療で高いお金を払うならシワやシミ取りをするって言いそうだ。

皮膚の乾燥のせいで反応しにくいってこともあるかもしれない。
練習すればコツが掴めそうな気もするんだけど、そんな努力はしない。
じゃあタッチペンを持てって言われそうだけど、そういうのも面倒くさいらしい。

長年使っているのはスマホといっても古いタイプのらくらくホンで、アプリも入れられないためLINEも使っていない。

老人会の親しい仲間たちはLINEでやり取りをしていて、高齢者にとってもメールは面倒なものになってしまったみたいで、「LINEしたらいいのに」ってよく言われている。

LINEができるようにスマホの買い替えを提案しても、どうせ使えないからいらないという。
高齢になるとひとつつまづいたらそのことは乗り越えようという気持ちはなく、面倒だからと避けるようになってしまう。 

とはいえ、バッテリーのもちもかなり悪くなってきて、たっこちゃんが拒否しても、じきにらくらくホンは買いかえなければならないだろう。
買いかえたら電話のかけ方、受け方、カメラの使い方などいちから覚えないといけない。たいへんだ。がんばれー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?