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話せば分かる世界

安部元首相が殺害されたとき、戦前犬飼首相が若い軍人達に殺害されたことを思い出した。彼は殺される前に「話せば分かる」と発したのもむなしく銃弾に倒れた。

殺害の理由は違うけど、安倍さんも犯人と対峙していたらそう言ったかもしれない。

「話せば分かる」という言葉を発するときは、「話しても分からない」と思っている人がいるときだ。または、まだ話したことがないから「話せば分かる」と思っている場合もある。

話せば分かると思っていて話してみたけど、結局相手は納得せず、話しても無駄だったと落ち込む経験が増えると、人は本当に話せば分かるのかと信じられなくなる。

では、話さなくても分かってもらえる方法なんだろうか。

プロという実力社会で生きている人達は、分かりやすい実績を上げることで話さなくても分かってもらいやすくなる。実績という肩書きが文句を言えなくさせる。

背中で見せる方法もある。信じたその道に一心不乱に邁進する姿は、何よりも強いメッセージだ。何かに頑張る子供の背中を見て、反対していたお父さんがその道を応援しようと決意する、なんてシーンなどはドラマでよくある。

論理もへったくれもなく、力づくで分からせるという方法もある。相手の首根っこを押さえて「分かったか!」なんて言っている荒っぽいシーンが頭に浮かぶ。ロシアのプーチンさんはそんな感じかもしれない。


こうした話す以外の選択肢がありながら、どうしても話さないとわかり合えいないこともある。

こうした話し合いの下敷きに、話を聞いてやろうかな、とお互いが思っていることが大前提になる。いや、この「話を聞いてやろうかな」が「話せば分かる」の成功率のほとんどを占めているのではないか。

そして、「話を聞いてやろうかな」という姿勢はお互いにもっていることが最も大切だ。

「話しても分からない」と諦めた人達のいる世界は恐ろしい。

「話せば分かる」が通用する世の中であってほしい。

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