見出し画像

【詩】ちっぽけな旅

一泊二日で田舎に行った記録です。レポート形式の文章はこちら👇

***

外環に並ぶミニカーの群れ
工場の陰で荷物引く人
階段のおどり場の清掃員
視界の端までつづく 建売りの家
光りかがやくガードレール
どれくらい遠くにあるのか分からない雲
みなが生きている つかの間だとしても みなが生きている
車窓から 人生という名のなにかが見える

***

むきだしの河川 段々になっている小さな滝
鮭はいったいどうやってあれを飛び越えるのだろう?
もうすぐ関東平野が終わる
それはゼロとイチのように断絶した終わり方なのだろうか?
旅の目は すべてを疑問のまなざしでとらえる
カメラをしまおう なぜかそういう気分になった
すべてを自分本位で触れて それを紙とペンであらわす
僕に心が残っているなら きっとそれはたやすいはずだ

***

白く輝く川の水面に 世界は一歩後ろに下がって
足元濡らした僕は立ち止まる 
何かが僕を呼んでいる
その光は僕の意識を奪い
まるで世界の一面をことさらに強調したようで
そのせいで僕は眩暈がしたのだった
あるいは単に日射病だったのかもしれないけれど

***

山の夜は深い 
人も自然の一部として 眠ることを強いられる
ここには街灯がない だって必要ではないから
ここは東京ではない 星が赤く光らないから
どちらが正しいのか分からない
夜に従って目を閉じるのか
光を携えて闇を散らすのか
虫の音と草の匂いが 私の意識を沼に沈めていく

***

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?