僕たちは常に新しいバラエティの司会を探してるけど、結局失敗する
この世界に入る前、僕はいつも思っていたことがある。それは、「バラエティの司会がいつも一緒じゃん」ってことだ。
厳密にいうとそんなことないんだけど、結局面白い番組のMCは大体同じ人がやっていたし、その傾向は今だって変わらない。
なんでだ!
とずっと思い続けていたけど謎は解けた。
僕たち制作陣は常に新しくてフレッシュな人をMCに起用しようとしてるけど、その度に失敗している、ってわけだ。
まずはMCがどのように決まるかを説明したい
MCはわりと早く決まる
新しい番組のMCは誰が決めるのか。
これは番組にもよる、というのが一般的な答えになるが、そんなクソほどつまらないこと言っても仕方ないのであえて言いたい。
MCは放送作家が決める
企画書を書き込む段階で、MC案を仮で書き込む。これが通ってそのままMCが決まる場合もある。ちなみに企画書は放送作家が書く。
もしくは番組が決まって最初の会議でMCを決める。この時は放送作家や演出家がMC案をワードにまとめて提出。それをもとにスタッフたちと会議してMCを決めていく。
わりと放送作家の案が通る。
僕たちは大物の使用を避けている
僕たちはどのように番組の司会を選ぶか。
いくつかの要因があるが、企画書に「司会は明石家さんまさん」とか書く人はまずいない。
なぜなら大物司会者は仕事を断る可能性があるからだ。企画書を見たテレビ局の偉い人が、「いやいや、さんまさん出演しないだろ」と考えてしまえばどんなに良い企画でも通らない。
だったら最初から無難な人や出てくれそうな人を番組の司会に入れ込んでおいたほうがいい。
企画書の段階や、第一回目の特番の段階では斬新な人が選ばれる。
どんな人が新番組のMCになるのか
番組は基本的に最初にパイロット版といってトライアルをする。
一本放送してみるのだ。それで視聴率が良ければ続編とかレギュラーが決まっていく。
パイロット版は正直予算も少ないし、大物を使う事はできない。だから企画性で勝負することになる。ぶっちゃけるとMCは誰でもいい。
もちろんその企画に合っている人を選ぶ必要はあるけど、抜群な知名度とか圧倒的な回し能力なんて求めていない。
じゃあ、僕たちは新番組のMCに何を期待しているのか、ということになる。
さっきも述べたけど、それは「今っぽい人」なのだ。そしてそれが「意外性」を生み出したりする。
司会とは番組の顔だ。けれども司会能力はなくていい。隣に女子アナがいれば進行してくれるし、ゲスト席に座っている「裏回し」的な存在がいれば、その人に頼ればいい。
だから司会は番組の顔になる人。それはフレッシュにこしたことはない。なぜなら新しい番組をやっているのに、おなじみの人を司会に置いてしまうと、見ている人たちからして「同じようなこと」をしているように思えるからだ。
斬新な顔(MC)で斬新な企画をやると、すごく新しい事をしているように思える。それが数字を呼び込んでくれたりする。
中堅芸人や流行っている文化人なんかを積極的にこちら側は使おうとしている。
問題は結構失敗してしまう可能性が高いという事だ。成功していればレギュラーになって、斬新な司会者たちの番組が多く存在しているはずだ。
視聴率が取れないといけない
結局のところ、斬新な司会を置いたとしても数字を取れない現状がある。だから新番組で司会に挑戦したけど続かず、司会から足を洗う人たちが多数存在する。タレントの中でも司会ができる人が少ないのはそのためだ。
新番組のパイロット版は深夜や土日の昼など、あまり見られていない時間帯で放送される。その時間帯の特番をみると、実はMCや顔として挑戦しているタレントが数多く存在する。
製作陣は常に新しいMCを模索している。
けれどもそのほとんどが失敗に終わっている。それでも試し続けて、そのうちにたまに視聴率が取れる人が出る。その人の登場を待つしかないのだ。
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