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【完結】ベルリン旅行記⑦ 2022/7/19 晴れ

 朝5時半に起床。猛烈に眠い。間違いなく、今までで一番深く眠れたと思う。寝坊しなくて良かった…。
 支度をし、6時前に1階に降り、急いで朝食を摂る。
 nhowホテルの朝食会場は6時オープンだが、6時になる前にもう開けてくれていてとても助かった。なんせ、7時半にベルリン空港でPCR検査の予約が入っているのだ。検査を受けないと日本に帰れない。
 寝坊・遅刻なしで全員朝食をとり、予約したUberタクシーで空港へ向かう。8人乗りの大型車がとれたので全員同乗でき、これも有り難い。
 空港に着いたのは、7時半ギリギリ。小走りでPCR検査場へ向かい、順番にPCR検査を受ける。

検査場 ブース毎に別れて検査する

 てっきり唾液の摂取だと思っていたのだが、実際は口と鼻に綿棒を突っ込むやつだった。結果は40分後くらいに分かるとのこと。
 鼻の奥まで綿棒を入れられ、みんな涙目で「痛かったねえ」と言い合う。4歳のRくん、すごく嫌がっていたが、ここでも泣かなかった。相変わらず強い子だ。
 もし万が一ポジティブ(陽性)が出てしまった時は日本には帰れず、ここで足止めとなる。言葉もろくに分からないのに、そんなの怖すぎる。
「もし誰かポジティブが出たら、その時は自分も残りますよ」と佐々木さんが勇気づけてくれる。……でももし仮に残ってくれたとしても、隔離されちゃうだろうし……いや、今はあまり深く考えるのはやめよう。怖すぎる。それに、病は気からというじゃないか。

 不安を抱えつつ、検査場の近くで待つこと40分。スマホでQRコードを読み込んで結果を確認するのだが、一人、また一人と「ネガティブ(陰性)だった。よかったー」と声が上がる。検査をした順に結果が出ており、最後だったわたしはずっと内心ビクビクしていたが、みんなから遅れること数分、無事ネガティブが出て心底ほっとする。これで、なんとか全員日本に帰国できることが確定した。
 しかし、ここからが大変だった。
 陰性証明を検査場で貰わなければならないのだが、PCR検査はこれから出国する人々で大変混み合い、ここで立ったまま1時間ほど待った。近くにある売店を冷やかしたり、Rくん自慢の車輪つきキャリーケースで市中引き回し(キャリーに乗ったRくんを従者が引っ張り、空港内を走り回る遊び)をしたりして、退屈な時間を潰す。
 ようやく陰性証明が取れたため、続いてチェックインの手続きをしに、オーストリア航空の窓口へと急ぐ。タッチパネル式の無人チェックイン機で手続きをするが、画面の最後までくると「係員のいる窓口に回ってください」というサインが。そのため有人窓口に並び直し、なんとか時間内にチェックインを終わらせる。
 続いて、手荷物預けである。この窓口に来ると、受付の女性に「アプリの画面を見せて。陰性証明が出たら画面が青くなるから、そうなったら通っていいよ。その画面になるまでは、ここで待ってて」と指示される。
 これは「my SOS」というアプリで、日本に帰国するために必須だった(※2022年7月時点での情報です)。
 あらかじめダウンロードしておくようにと事前にIさんがアナウンスしてくれていたため、全員登録済みで助かったが、もし一人でも必要情報の登録を忘れていたら、時間オーバーで帰れなかった可能性すら出てくる。大変恐ろしい。(アプリの画面上には『画面が反映されなくても陰性証明がとれていれば通過して良い』みたいなことが日本語で書いてあるが、ドイツ人の担当者に見せても読めないし、その人が「画面が青くなるまで待て」と言うなら待つしかない状況であった)
 結局、同行者全員分のアプリに「青い画面」が表示されるまで、ここでもかなり長いこと待つことになった。その間、それぞれ何度もアプリをリロードし続ける。まるで高倍率のチケット戦線でも戦っているみたいに。
 保安検査の受付時間ギリギリになんとか全員画面が切り替わり、手荷物預けを終えて保安検査場に。ここでも並び、ようやく搭乗口に辿り浸けたのは、11:00搭乗開始の直前であった。まさしくギリギリのチキンレースだった。

 日本からEUに来る時には実にスムーズだったのだが、どうやら現在は、国によって必要な検査手続きやレギュレーションが微妙に違ったりもするらしく、空港で働いている人たちも混乱している様子だ。恐らく、手続きの内容も日々変わっている最中なのだと思う。
 水際対策は本当に大変なことだと思うし、現場のご苦労が偲ばれるのだが、それにしても待ち時間の長さには堪えた。空港に着いてから搭乗まで、結局4時間近く並んだのだ。ホテルで朝ご飯を食べてきて、本当に良かったと思う。空港で結構時間余るよね~と話していたのだが、とんでもなかった。
 これから海外旅行に行く方、どうかお気を付けて、空港には早めに着くようにしてくださいね。

グッバイベルリン!ありがとう!

 ようやくベルリンに別れを告げ、まずはウィーン空港へ1時間のフライト。前哨戦に過ぎないこの1時間のうち、55分くらいは爆睡した。もう席につくや否やという感じのスピードで寝た。なんとか出国できたことの安堵もあったのかもしれない。

 12時半にウィーンに着き、乗り換え搭乗口まで急ぐ。朝食が早かったため、お腹が減ってきた。この後13時半の飛行機に乗っても、機体が安定して機内食が出てくるまでに結構時間がかかるだろうし、お腹に何か入れておきたい。搭乗口近くの売店で急ぎサンドイッチと水、それに非常食のプリングルスを購入。
 みんな同じようにそれぞれ軽食を買い込み、その場にしゃがみこんで黙々と食べながら搭乗開始を待つ。搭乗ゲート付近に徐々に人が集まってくる。成田行きなので、当然日本人が多い。
 自分たち以外の旅行者が日本語を喋っているという、それだけのことに少し安心する。わたしたちはドイツだけど、ここオーストリアで過ごした人もいれば、他の国に行ってきた人だって、もちろんいるだろう。
 みんなそれぞれ、別の場所で過ごし、同じ飛行機に乗って日本へ着いて、またそれぞれの場所へ帰っていくのか……。ごく当然のことなのだが、なんだか巡り合わせの不思議を思う。
 搭乗受付が始まり、順番に列に並ぶ。ここでも、my SOSのアプリ画面の提示を求められる。
 すると、Lちゃんの搭乗券を見た係員が一言二言何かを言うや、彼女のパスポートを持ったまま急にどこかへ行ってしまった。え……なに、何なの? もう出国手続きは済んでるのに? ていうかあの人、パスポート持ってっちゃったんですけど。
 戸惑う我々のところに再び戻ってきた彼が、また早口で何かを言う。予想外のことに目を白黒させていると、わたしの後ろで待っていた日本人旅行者の男性が、ペラペラペラ~と流暢な英語で彼に何かを話してくれた。それで納得したのか、パスポートを返し無事搭乗させてもらえた。
 おそらく、「今提示したアプリで陰性証明は済んでいるから、彼女たちを乗せても問題ない」というようなことを言ってくれたのだろう。あちこちの国で対応が違うから、アプリを運用している国とそうでない国もあるだろうし、係員さんも目的地に応じて別ツールを提示されて戸惑うことも多かろうと思う。事情はよく分かるが、でもいきなりパスポートを持って行かれると、こちらとしてはかなり焦る。見ていて状況を察し、助け船を出してくれた男性の方、あの時は本当にありがとうございました。大変格好良かったです。

 日本まで行く飛行機に乗り込む。ここから約12時間のフライト。
 行きの14時間と比べたら、気流の関係で少し短縮になるが、もちろん長いものは長い。更に、行きと違って今度は日付変更線を超えるので、外は夜である。
 帰り便は、席が離れてしまうが全員窓際の二人席であった。DさんLちゃん父子が我々の前、その後ろがわたしたち夫婦で、反対側の窓際席にKさん・佐々木さん、その後ろがIさんRくん母子。帰りはけっこう疲れているから、みんな二人席でリラックスしてほしい。
 運ばれてきた機内食と共に白ワインやビールを飲んで、早々に眠ってしまう。機内食は食べ逃すと次に出てくるまではかなり長い時間が空くため、眠くても一度は起きて、しっかりお腹に入れるのが吉である。

温かくて美味しい機内食

 今回は結構しっかり眠れて、起きたらちょうどあと半分、6時間くらいというところだった。
 ペルソナ4の音ゲーをまた少し遊ぶ。夫にも貸して、二人でかわりばんこにやる。音ゲーというのは、しばらくやってないと感覚を忘れるものだ。しかし、遊んでいる最中つい「あ!」とか「くそっ」とか独り言が出てしまうので、寝静まった機内でやるのはちょっと申し訳ない。
 そういえば書き忘れていたが、このオーストリア航空の飛行機内は、行きも帰りもWi-Fiは飛んでいなかった。最近だとWi-Fiが使える便もあるそうだが、半日以上ネットが使えないというのはわりと寂しい。普段SNS漬けの自分を省みるいい機会である。別にずっと見てる訳じゃないけど、「いつでも見られる」安心感があるんですよね。

 あと4時間ほど、というタイミングで小腹が減ってきたため、先程ウィーン空港で購入したプリングルスを開ける。気圧の関係で、筒に貼られた封が少し膨れていたが、中身が弾け飛ぶ程ではない。
 ここで食べたプリングルス(サワークリーム味)、めちゃくちゃ美味しかったです。一口囓った瞬間、つい旦那と二人で顔を見合わせ「開けたら最後、You can't stop!」と呟き、パクパクカリカリと食べ進めてしまった。
 プリングルスってこんなに美味しかったっけな??? やっぱりサワークリーム味がいいですね。思い出したら、また食べたくなってしまった。

 もう少し時間があるので、ファイアーエムブレム風花雪月・青獅子ルートを始めることに。金鹿編・黒鷲編と進め、最後のルートである。

 級長のディミトリくん、第一印象はあまりピンとこなかったのだが、他のルートをやってこの優等生然とした子が、この後ああなってこうなる、と分かっているため、非常にやりがいを感じる。
 とりあえず最初の村での戦闘後、修道院に着いたところで一旦終わる。ちなみに、主人公の名前をわたしは毎回その日食べた物にしているのだが(一周目は男で『タカナ』、二周目は女で『キンピラ』にした)今回はもうコレで決まりでしょう!
 ちなみに男主人公にしました。

 ふと画面から目を離し窓を開けると、懐かしの日本の風景が眼下に広がっている。成田空港はもうすぐだ。ゲーム機や枕などをバッグに仕舞い、しばし窓の外を見る。飛行機が着陸態勢に入ったら、外の景色を眺めるのが通例である。

明らか欧州に比べて敷地が小さい

 問題なく着地し、ほっと安堵の息を吐く。無事に帰ってこれて良かった……と思ったが、ここから更に水際対策の検疫で列に並ぶことに。
 わたしたちは既にベルリン空港で検査が済んでいるため、いくつかの検査場で検査結果を見せれば通過できるが、空港内のフードコートや長い廊下にはパイプイスがずらりと置かれて、たくさんの人たちが座って検査結果が出るのを待っていた。国によっては、空港内にPCR検査場がなく、帰ってきてから検査を受けるところもあるようだ。ロングフライトの後、またここで足止めというのも、これまた大変なことだと思う。
 長い廊下をぐるぐる周り、ようやく荷物受け取り所に辿り着いてスーツケースを引き取る。行きも帰りもロストバゲージに遭わなかったのは幸運だった。

成田のエスカレーターでは、マリオたちがお出迎え
「おかえり!」の文字が嬉しい

 この時点で、日本は朝の10時過ぎ。全員で集まり、挨拶とお礼を言って、解散となる。トータル7日間の旅行、お疲れ様でした。オインクゲームズさんは本当に良いチームワークで、悲喜こもごもな我々の旅を、陰に日向にサポートして下さった。みんな、本当にありがとうございました。

 笑顔で手を振って別れた後、帰りの電車を調べ、行きと同じ京成ライナーを選ぶ。空港でトイレに入ったら、ウォシュレットがついてて感動する。いやー日本って本当に凄いですよ。公共交通機関のトイレにもウォシュレットが標準装備されてるんですもん。最高。

はー、広くて快適〜

 京成線は上野駅で下車。ここから少し歩いて……って、ちょっと待って日本、あっつい!! これもう人間が外歩いていい気温じゃなくない!? 空気はジメジメしてるし、なんでこんなところに好き好んで住んでるの!?

 疲れと暑さでクラクラしつつ、目的地まで足早に急ぐ。京成上野駅から徒歩5分ほどで、目的の店へ到着。
 帰国したら何を食べたいか夫と相談し、途中までは「牛丼がいいかな」と話していたが、帰りの電車を調べて京成上野駅で乗り換えと分かった瞬間、もうこの店しかない! と心に決めた。
 入店するとすぐ、涼しい風が身体を冷やしてくれる。クーラー最高。あと、レギュレーションが変わって、帰国後即帰宅しなくて良くなったのは助かる。もうお腹ペコペコなのに、お家の冷蔵庫はカラッポにしてあるのだ。どこかで食べないと帰れないでしょう、これは。

 注文し、ワクワクしながら料理の到着を待つ。テーブル上にあるデキャンタの冷たいお茶や、辛いモヤシが無料というところも、日本のおもてなしの素晴らしさである。
 どんなに暑くても、人が多くてごみごみしていても、やっぱり日本はいい。なんてったって、こんなにおいしいものが手軽に食べられるのだから!!

うおおおお!! いただきます!!

【おしまい】

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