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フェイク【エッセイ】八〇〇字

昨日、Xを眺めていたらこんな動画が投稿されていた。

おそらく海外の電車の中。おばあちゃんが持っていた飲み物をぶちまけてしまう。隣に座っていたお姉ちゃんは驚いてとっさに立ち上がりただ茫然と眺めているだけ。あたふたしつつも飲み物を片付けようとするおばあちゃん。すると向かいに立っていたお兄ちゃんが着ていたシャツをおもむろに脱ぎ(半裸)、まずおばあちゃんのズボンをシャツで優しく拭い、床の飲み物をシャツで包んで片付けた。最後はふたりが笑顔でハグをする。コメントが添えられている。「real gentleman」

しかし、動画の下には英語で注意喚起表示。「視聴者からの指摘。この動画は俳優が演じているものです。」というような内容だった。確かに動画をよく見ると奥にはセットの入り口と思しきドアが映り込んでいた。おいおい、騙すなら騙すでちゃんとしろやと思った。それとも初めから動画自体には騙すような意図はなく、何かの切り抜き動画をポスト主が勘違いして本当に起こったこととして投稿されただけかもしれない。

皆さんは伝言ゲームを行ったことはあるだろうか?私は昔から教会のこどものイベントに参加していたのでよくやったものだ。結果はご存知だろう。5人ぐらい介せばほぼ原型をとどめていない。

キリスト教ではこれを口承の限界として喩え、聖書の確実性の根拠として例示する。しかし、創世記とか旧約聖書のはじめの方は口承を文字起こししただけに過ぎない。たまに、創世記の物語を字面のまま信じるアホなクリスチャンが(けっこう多数)いる。ばーか。

それはそれとして、伝言ゲームは司会者の腕が試される。煽ったり時間制限を設けるとより面白い結果になるのだ。

SNSで拡散される情報は伝言ゲームみたいなものだ。一次情報などほとんどない。酷い場合は5次情報くらいだ。

「俺の友達の親の知り合いのいとこの職場の人の話やけどさ、」

そいつ誰やねん。

それでも私は今日も情報のジャングルの中で失われた聖櫃アークを探すのさ。


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