トレーナー必見「前鋸筋の解剖学・機能・鍛え方」
前鋸筋はマイナーな筋肉なので一般層には知られていない。
大胸筋は知ってるけど前鋸筋って言うと「なにそれ?」となることが多い。
ただ大事な筋であるため、運動指導者は理解しておこう。
❶解剖
前鋸筋は肩甲骨の内側から第1〜第8肋骨までくっついている。
脇の下にギザギザした状態でついており、ノコギリに似ているから「鋸」という字が使われている。
1つ覚えとくといい。
上部・中部・下部に分けられ
上部=1〜2肋骨
中部=3〜4肋骨
下部=5〜9肋骨
から起始している。
ただ上図とは違い、上部はより上角よりに密集しており、下部線維は下角よりに密集しているとも言われている。
これが②で話す作用のところに響いてくるので一旦覚えておいてくれ。
❷作用
働きは場所によって違う
・上部=肩甲骨を胸郭に引きつける・胸椎を軽度伸展(文献によってまちまち)
・中部=主に外転
・下部=肩甲骨の上方回旋・下制
・上部と下部共通=肩甲骨の外転
などだ。
あと全てに言えることだが、肩甲骨の内側に付着しているため、肩甲骨を胸郭に固定する役割がある。
中でも上部や中部が肩甲骨を胸郭に引きつけて軸を作り、下部が上方回旋させる。
黄色:上中部の力線
赤色:下部の力線
これが超大事になる。解剖のところで話した通り、実際はもう少し
上部=上角より=軸を作る働き強い
下部=下角より=上方回旋働き強い
と考えられる。
肩関節は屈曲時も外転時も上方回旋を起こすが、上方回旋が起こらないと肩が上がらない。
だから肩甲骨を挙上して代償するようになる。こういう高齢者の方は多い。笑
経験上前鋸筋の運動を行うと、だいたい屈曲+10°ぐらい増える。
使えてない人が多い分効果絶大ということだ。
ただもう少し日常やトレーニングとの関わりについて話していく。
前鋸筋の機能低下による日常やトレーニングでの弊害
日常生活で言うと、床の雑巾がけでかなり使われるだろう。
あと高いところにあるものを取る時などだ。
先ほど話した通り、上方回旋が出ないと挙上で代償する。
さらに挙上も出ないなら、つま先たちで代償する。
するとどうなるか?
肩こりにもつながるし、ふくらはぎもパンパンに張る。
最悪だ。
実際うちの祖母は、円背で肩甲骨の動きが悪く、台所仕事でかなり肩が疲れていた。
だが前鋸筋のエクササイズでかなり良くなった。しかも「全身が」だ。
悪い部位にアプローチすることで、全身が良くなることは多い。
トレーニングで言えば、オーバーヘッドプレスで肩甲骨の動きが悪いと肩の痛みにつながったり、あと腰を反って腰が痛くなることもある。
これは前にポストしていたはずだから、遡ってみてくれ。
たぶん小胸筋について書いた時に載せたと思う。
あとは「翼状肩甲」にもなるな。
先ほど言ったが肩甲骨を胸郭へ固定する働きがあるため、機能しないと肩甲骨が浮き出てくる。
腕立ての姿勢をとった時に、浮いてくる人は前鋸筋が弱いと言えるだろう。
評価に使えるから試してみてくれ。
❸鍛え方
一番効くのは、やはりプッシュアッププラスだろう。
外腹斜筋との連結もあるので、息吐いてお腹を凹ませる意識で行うとなお効く。
これがむずかったら4つ這いで同じように腕で床を押す運動から始めると良い。
さっきも言った通り腕上がりやすくなるので、お客さんに変化を感じてもらえて信頼してもらいやすい。
ぜひ使用して信頼されるトレーナーになろう。
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