最近、街中で　電車内で
スマホを見ていない人を　見つける方が
むずかしい

歩きながら、自転車をこぎながら、
犬を散歩させながら、レストランで。

テーブルをはさんで、
知人と グループで食事に来ていても、
料理を待つ間、それぞれが　それぞれの世界に
没入している。

魅力的なコンテンツ、　

孤独を感じる事もない。
何も　考えなくって、悩んでいなくて　済む

中毒性の高い　脳内物質のスイッチを押すみたいに
表示される画面に、クリックを続けている。

レシピ・恋愛相談・仕事の人間関係・財テク・メンタルヘルスケア・ダイエット・片付け・調べもの・アイデア

コンビニに　行ったときに、飲み物の冷蔵庫に並ぶ
たくさんのフレーバの　飲料を見た時みたいに

ない物が　ない

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わたしたちは、日々　余白を　なくしていく

いつも　何かを　見ていて
いつも　何かを　考え続ける

クリックすれば、お店の商品が　家に届いて
サブスクに 登録すれば、動画が 見放題

便利だ　でも　便利すぎる

快適だ　でも　快適すぎる

欲求が　瞬時に　みたされる　世の中

わたしは、
「待つ」という事が　できなくなりつつある

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答えを探して、スマホをのぞけば、

そこに　答えがある
そんな　気がしてくる

きっと、あるはずだって、探し続ける

人と話す事よりも、
自分のじかんを　とる事よりも

時間を　差し出して
自分の関心事を、検索窓に　打ち込んで

まるで　ネットの中にしか
答えがないみたいに

身近な人と　話すより、
ひたすら　ひたすら
ＷＥＢコンテンツに　はまりこむ

自分が　傷つくことのない　はずの世界
つながりたい人と　つながっていられる世界

時間とか、距離をこえて
一瞬で　そこに居る　そこに集う人たちと
はじめて会うのに、どこか自分に似たものを感じて

きょうも　WEBの海を　漂っている

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現実の世界で　生きているのに、
見ているのは　ネットの　中の世界

現実の世界で　行動しているのに
たいていの事を　ＷＥＢで経由している

だれかが　作ってくれた　コンテンツ
すごく　おもしろいし、魅力的だ
楽しい時間を　過ごさせてくれる

でも、

まるで

それは、

浦島太郎に　出てくる、
『玉手箱』みたいに　思えてくる

画面の中で　見えていた世界は、
現実の様で、　上演が終われば

現実の世界に　帰って来る

パチン

ログアウトすると、
いつも　いたはずの　世界

まるで　
サーカスの　ピエロに　魔法をかけられて、
まぼろしの世界を　見ていたみたいに

何も　変化がない　世界に　戻ってくる
一気に、肉体や物質が　重く感じる

ああ、ここが　自分がいた世界だ
いつもの　感情が乱される　世界だ

リアルすぎて、
安全や安心を　感じにくい世界だ

あれ？
『中の世界』の方が、楽しかったな
もうちょっと、入り込んでいたかったな

そうやって、
少しずつ　世界のふちが　溶けはじめている