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俳優・女優が演技でこれだけは押さえておきたい大事なこと 〜役者が知るべき演技術〜

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どうも、木全俊太です。

今回は

『役者が演技でこれだけは押さえておきたい大事なこと』

というテーマでお送りしたいと思います。

僕は以前芸能事務所でマネージャーをしていたことがあって

今回の記事でも、その頃の経験から

皆さんにお伝えしたいことをシェアさせて頂けたらと思います。

今回は演技についてすごく大事なお話をさせていただけたらと思いまして

きっと役者の皆さんには一つでも参考にしていただけるような内容になっていると思うので

ぜひ最後までご覧ください。

皆さんは演技をする上で最も大事なことは何だと思いますか?

演技論について書かれている書籍などでも

演技をする時に気をつけるべきこと

たくさん書かれてますよね?

もちろん人によって変わってくることではありますが

今回は僕がそういった本をたくさん読んだり

監督さんのお話聞いたりしてきた中で

特に大事だなと思うことを

お話できたらと思います。

僕が思う、演技をする時にまず大前提押さえておくべきこと

それは

「感情が動いているかどうか」です。

感情が伴っていない演技をしてしまうと

いわゆる形だけでやっている演技になってしまったりとか

相手役が誰であっても変わらない演技になってしまうんですよね…。

役者として台本通りに演じることはもちろん大事ですが

セリフを正確に順番通り言うことよりも

感情が伴っているかの方が大事で

もし感情や思いがそこに伴っていなければ

たとえ一語一句違わずにセリフを言えたとしても

見ている人には役の感情や想いは伝わらなかったりしがちです。

あと表情や動きで感情を表現しようとしないっていうこともすごく大事で

僕らって本来

楽しいから笑顔になるものだし

悲しいから表情が曇るわけで

全て、感情が先行してますよね。

これは芝居でも同じです。

だからいってしまえば

役の感情になっていたら

自然とその感情にふさわしい表情や動きになるものです。

自分はこういう感情でやってます!みたいな

見せよう!分からせよう!という芝居は

見ている側はどこか冷めてしまいがちなところが残念ながらあるんです。

じゃあその肝心の感情はどうすれば湧き起こるの?っていう話なんですが

一人芝居じゃなければそもそも基本的に

感情は自分の中から起こすものじゃなくて

感情は相手からもらうものなんですよね。

自家発電じゃないんです。

人は普段、他人だったりから受ける外的要因によって、嬉しくなったり、怒ったりするものじゃないですか?

「一人で芝居してるように見えるよ」と言われてしまう役者さんは

芝居の本質はリアクションであるという意識が抜け落ちていて

自分で自家発電しようとしてしまってるのが原因であることがほとんどです。

だから逆を言えば

自分の演技も自分のためじゃなくて

相手に感情を与えるための演技とも言えるかもしれません。

繰り返しですが

共演者と感情のやり取りができるかが芝居の生命性なので

演技プランを実行するだけの一人芝居にならないように

その瞬間に感じたことを大事に、演技をするのが大事です。

プランを完璧に遂行するのが芝居の上手さじゃなくて

相手の何気ないアクションにどれだけリアクションがとれるかの方が大事です。

だから自分が思っている以上に

もっともっと相手に意識を向ける必要があるかもしれません。

演技はあくまで共演者と一緒に作り上げていくものっていう意識を

忘れないようにしましょう。

監督も作り込んできたプランを見たいわけじゃなくて

その役者が今、相手役と向き合って何を感じ、何を思っているかっていうことが見たいんです。

これはエチュードをやる時にも言えることですが

決め込んでやるよりも

不意に出たものの方が面白いもので

話を無理に展開させようとか

うまく演じてやろうとはしないで

この役はそもそも何がしたいのかっていう

「役の目的」

これだけしっかり持って演技をすればいいんです。

役の目的っていうのは例えば

もし相手役に何か伝えたいことがあるっていうシーンだったら

そのことをどうしたら相手に伝えられるかなっていう

その目的に集中するということですね。

これは以前あるトークショーで

俳優の小日向文代さんがお話してくださったことなんですが

「自分本位で演じるんじゃなくて、相手からしたらどう接して欲しいかっていうことを考えることが大事」

そんな風におっしゃっていました

「考えるな、感じろ」っていうブルースリーの名言もありますけど

これは芝居にも言えることで

頭で色々考えるんじゃなくて

今起きてることに没頭して

思わず漏れたのがセリフになるっていう

そういう感覚で演技ができるようになると

より生き生きとした演技になると思います。

相手の目を見て話し、ちゃんと対話するということですね。

そうやって相手の些細な言動にも反応していけるようになると、よりリアリティーのある芝居ができるようになります。

だから本来は相手の芝居によって

自分の芝居も変わっていかなきゃいけないんですよね。

なのでよ〜いハイ!で芝居がスタートしたら

演技プランさえ相手からもらうつもりで

ただただ相手役ととことん向き合いましょう。

要は自分一人でなんとかしようと思わないで

相手役にもっと頼っていいんです。

そのための相手役ですから。

人によっては時に

どうしても相手役じゃなくて

監督だったり見ている人に意識が行ってしまう時があると思うんですけど

見ている人への意識だったり、そういう自意識みたいなものは一切捨てて

あくまでも目の前の相手に意識を向けるということが

何より大事です。

見ている人に伝わるような芝居をしよう!じゃなくて

相手役に伝わるような芝居をしよう!っていう風に意識すれば

結果的に見ている人にも伝わるものです。

コメディの舞台作品だと特に

観客が笑っているかっていうのが気になってしまいがちだと思うんですけど

観客のリアクションは気にしないで

ただただ淡々とやるっていうことが大事で

それが結果的に側から見ると

面白いことを馬鹿正直にやっているその姿勢が面白いんです。

そもそも、「今うまくいってないな…」という、そういう自意識が入ってくること自体

役になり切れてないっていうこととも言えますからね…。

それとこれは映画監督の冨樫森監督がおっしゃっていたことなんですけど

人より秀でた芝居をすることコツが三つあって

一つ目が「速い芝居をすること」

二つ目が「明るい芝居をすること」

三つ目が「ファニーな芝居をすること」

そういう三つのコツがありまして

一つずつ解説させていただくと

まず一つ目の早い芝居をする事っていうのは

特にセリフについてなんですけど

芝居ってテンポがすごく大事で

そのテンポって

セリフのやり取りの仕方で大きく変わってくるんですけど

セリフを言うのが遅いと、芝居のテンポが悪くなって、途端にリアリティーのない芝居になってしまいがちです。

もちろんゆっくり話すべき場面もあるんですけど

基本的にセリフというのは

余計な間があると途端に不自然に聞こえてしまうものなので

早く軽快にセリフを発していく方が

リアリティーある芝居に見えやすいんですよね。

二つ目の明るい芝居をするっていうのは

まぁそのまんまの意味ではあるんですが

結構問題なのが

歴が浅い役者さんの大多数がローテンションで感情の起伏があまりない芝居をしてしまいがちで

一つのシーンでずっと同じような調子で芝居をしてしまうと

役の感情が全く伝わらないということになりがちなので

逆に明るく感情豊かに演じられる人は

それだけで印象に残るんですよね。

監督も演出する上で

感情を抑えることは比較的可能だけど

感情を引き出すことは大変だと皆さん口を揃えておっしゃるものなので

まずはちょっとやり過ぎかなと思うぐらい大きく演じてみて

やりすぎだったら監督の方で抑えてもらうっていう方が

ずっとずっといいです。

シーンの転換点をちゃんと掴んで

芝居の強弱をつけるということとも言えますね。

最後三つ目のファニーな芝居をするっていうのは

台本通りの芝居じゃなくて

何か見ている人が思わず微笑んでしまうような

面白いなと思われる芝居ができるかっていうことです。

面白いの定義も人それぞれなので一概には言えませんが

一言で言えば

人を楽しませられるような芝居ができているかっていうことですね。

これは僕の勝手な持論なんですけど

目を引く役者さんとそうじゃない役者さんの違いっていうのは

その人自身が楽しんで演じているか

ということだと思うんです。

この

速い芝居

明るい芝居

ファニーな芝居

これら三つの芝居ができるようになると

きっとオーディションでも勝ち抜きやすくなると思います。

それとこれは個人的に思うことなんですが

悲しいシーンの時にそれをそのまま

悲しく演じないということも大事だと思います。

例えば別れ話をするみたいなシーンでも

深刻にやらないようにするということですね。

なぜなら悲しいのにそういった態度を見せずに笑っていたり

相手を思うが故に敢えて明るく話している方が

見ている側からしたら、ぐっと来るものだからです。

だから影があるセリフも暗く言わないで

明るさを装って言うことで

内面に抱えている本当の気持ちがより伝わる演技になると思います。

だから脚本を読んだ時に

一番最初に頭に浮かんだ演技プランと

敢えて逆でやってみることってできないだろうか?と

そうやって考える癖を付けておくと

ステレオタイプだなんて言われない芝居が

できるようになっていくと思います。

それともう一つ気を付けるべきことがあって

一つのシーンを演じる時に

その後の展開を予感させるような入り方をしないということです。

だから、例えばこの後悲しいことが起こるっていうシーンだったら

そのシーンの入りはそんなことまるで予感させないように

明るく入る方が賢いです。

ここまで少しテクニック的なお話をさせてもらいましたが

もう少し本質的なお話をさせていただくと

伝わる芝居と伝わらない芝居の違いっていうのは

自分を隠さずに裸で演じられるかどうか

この覚悟があるかないかで芝居は全く違ったものになります。

隠し事のない芝居っていうか

自分をよく見せようとしないで

心のままに自分で芝居をすることが大事ということです。

なんだかんだ芝居っていうのは

その人の〝生き様〟が出るものなんですよね。

普段の自分っていうものが良くも悪くも芝居に出るので

芝居でむき出しになって演じられるようになるためには

普段からむき出しで生きるのが大事というか

むき出しって言うとちょっと大袈裟ですけど

普段から本音で周りと接するように心がけることで

芝居でも相手役と

本音のやり取りができるようになるものです。

これは芝居に限った話じゃないですけど

根拠があるから人は動くんだっていう人もいるかもしれませんが

どれだけ相手の感情に訴えかけられるかっていうことの方が

僕は大事だと思って

感情が動けば根拠がなくても人は動くものだと思うんです。

だから論理に頼らないで

普段から自分や相手の感情を汲み取ろうとする習慣を持つこと。

自分より相手に意識を向けて

色々感じ取りながら人と接する意識を持つことが大事なんじゃないかなと思います。

あと他に普段の生活の中で心がけるべきことは

自分の気持ちや想いを言葉にする習慣を持つことですかね。

それとさらに、思ってもないことは言わないことです。

言うのは簡単で実際すごく難しいことではあるんですけど

そういう素直さだったり正直さを持って

まっすぐ相手と向き合って

会話じゃなくて対話をするっていうことが大事だと思います。

ここでもう一度実際の芝居の話に戻ろうと思うんですけど

冒頭で、演技プランは考えないこと、とお話ししたとは思うんですけど

それはあくまで芝居が始まってからの話で

いざ芝居に入ったら演技プランは一度忘れて、相手役と向き合うことが大事ですけど

撮影当日までにはやっぱり

どう演じるべきかっていうことはもちろん考えておくべきです。

そのプランを立てるときに気を付けるべきことは

自分が最初に思い付いたプランを疑うということです。

つまり最初に思いついたアイデアで芝居をするんじゃなくて

熟考してから監督の前で見せることが大事だということです。

監督があまり好まない芝居にステレオタイプな芝居っていう表現される芝居があるんですけど

イージーでわかりやすいそういうステレオタイプな芝居っていうのは

いかんせん新人の頃は最初に思い付きやすい芝居だったりします。

説明じみた芝居や状況説明みたいなアドリブは必要ないし

むしろやっちゃだめなんです。

他にも嘘をついている人っていう役を演じる時に

芝居を見ている人にその状況を伝えるために

嘘ついてるのがバレバレな芝居をしてしまうこともあるかもしれないですけど

そういうときはむしろ本気で隠し通すぐらいのつもりで芝居した方がいいです。

本来人って基本的に本心を隠す生き物なので

例えば相手に嫌悪感を抱いている役を演じる時でも

それは例えば一瞬の軽蔑の視線だけで

見ている人からしたら十分伝わるものだったりします。

だからそういうシーンでは

あからさまに態度に出す必要はないと思います。

むしろ出さない方がいいです。

ここでも役の目的をちゃんと認識して、意識を見ている側ではなく相手役に向ければ、どうすべきか自ずとわかるはずです。

演技プランを考える時にもう一つ意識したほうがいいことは

自分が一番やらなそうな芝居って何だろう?と考えることです。

そう考える癖をつけることで

自分の芝居の幅っていうのも自ずと広がっていくと思います。

最後に演じる人の印象を大きく左右することについてのお話をさせていただこうと思うんですけど

芝居の80%は目で決まるっていう風に言われていて

集中力、理解力がある役者さんは

目が違うんですよね。

これは演出家の

蜷川幸雄さんがおっしゃっていたことなんですけど

「目ヂカラがある役者は一瞬で観客を惹きつける。日頃から目標に向かって一歩ずつ近づいていく力を持つ役者は自ずとこの目ヂカラやオーラを纏っている。そしてそういう役者は演出を受ける中で抜群に成長していくもの。」

そんな風に語られていました。

日頃の意識がどれだけ大事かを思い知るお話ですよね。

そんなわけで皆さんも芝居の稽古を通じて

そして日常生活を通じて

他人を魅了する役者に近付けるようなことを

ぜひ小さなことからやってみてもらえたらと思います。

偉そうに話してしまいましたが

これも全部

過去読んだ本や監督らから聞いた

受け売りでございます(笑)

でも何か参考になることがシェアできてたとしたら嬉しく思います。

これからもお互い色々勉強していきましょう!

というわけで

今回はこの辺にしようと思います。

これを読んで下さってる皆さんが

役者としてさらに活躍していってもらえることを

祈っています。

最後にお知らせです。

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記事を最後まで読んで下さり

どうもありがとうございました!

木全俊太

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