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各国の無香料ポリシー【カナダ】労働安全衛生センターCCOHS編

カナダでは連邦政府が設立した労働安全衛生センター(CCOHS)が、労働環境で労働者の健康と安全を守る上で香害が望ましくないと注意喚起し、Scent Free (無香料)を推奨しています。
民間機関ではありません。
日本で言えば厚労省とか労基です。公共機関です。

連邦政府が設立した
労働安全衛生センター
の仕事です。

大事な事なので二度言いました。

そしてここでもFragranceではなくて Scent ですね。
たとえいい香りと思われる事を目標として作られたFragranceでも、ヒト(の体)にとって悪いものは、全て悪臭と呼びならわすこの思い切りの良さ。ほれぼれします。
しかもOdorという語も使用してます。これこそ悪臭そのものの事です。日本でも、足のニオイを何とかするオドイーターという商品がありますが、その商品名のもとになった単語です。

元記事はこちら。CCOHSのHP.Scent Free推奨のページです。↓↓↓

では、以下に訳文を掲載します。
今回長いですが、非常に良いのでぜひ読んでください!



Scent Freeとは?

我々がここで言うScentsとは、普通、香粧品(香水、化粧用品、シャンプー、デオドラントなど)の成分や化学物質、または芳香剤やクリーナーなどの他の製品からの匂いや臭気を意味します。

残念ながら、Scent-free(無臭性)、Fragrance-free(無香料)、またはunscented(臭気無添加)の正確な定義はありません。無香料と表示されている製品でも、実際は他の成分の匂いをマスキングまたは誤魔化すために使用される何らかの成分が添加されている場合があります。ただし、特定の製品の成分は表示が必須で、それには以下のものが含まれます。

香気または香料(訳注;Odor or fragranceになってました。Odorは足のニオイとかにも使われる、本気で悪臭という意味でのニオイという単語です。)

製品の配合が変更されて香料が追加または変更された場合、結果として生じる香りを表す「フレッシュな香り」、「フローラルな香り」、「レモンの香り」などの表現が表示に描き加えられる場合があります。製品が無臭またはほぼ無臭で、香料などにおいを覆い隠す成分を含まない場合、「無香料」または「無香性」の表現が表示に描き加えられることがあります。製品が香りを覆い隠す成分を含む場合、「臭気成分無添加」の表現が追加されることがあります。

多くの製造企業がこれらの用語を使うことで一貫性を欠くことになっているのを理解するのは重要ですが、それでもこれらの用語は製品を選ぶ場合の大体の目安にはなるでしょう。


Scent(香気成分)は健康問題の原因になるか?


香り付き製品の成分や化学物質に曝露した際に人々の健康に悪影響となったと非難された場合、通常、以下の症状の一部またはすべてが報告されます。

・頭痛
・めまい
・立ち眩み
・吐き気
・疲労感
・体力低下
・不眠
・しびれ
・上気道症状
・息切れ
・皮膚刺激
・倦怠感
・意識障害
・集中力低下

これらの症状の重症度は人によりさまざまです。一部の人が影響は軽度と訴えていても、他の人は身体的に不自由が生じたり、または曝露を避けるために多くの「通常の」活動(公共の場所に行くなど)を断念までしなければならない場合もあります。その結果、一部の患者はうつ症状や不安神経症状を来すという報告もあります。

これらの症状は、環境過敏症と呼ばれる状況です。ウィメンズカレッジ病院によると:

「環境過敏症(ES)は、その人が特定の化学物質やその他環境要因に曝露した際に慢性的に症状が出現する病態を指します。これらの要因になるものは、ほとんどの人が許容できる低いレベルの曝露でも症状を引き起こすことが認められます。症状の重症度には軽度なものから、身体的に不自由となるまでの大幅な差があります。

ESはその他、多種化学物質過敏症、化学物質不耐症、環境不耐症、環境過剰反応症(?Enbironmental hypersensitivity、環境超過敏症?)、環境病、毒素誘発性耐性喪失、突発性環境不耐症とも呼ばれます。」

香料入り製品の成分や化学物質に、たとえ極少量であっても曝露することは、アレルギーや喘息を含む他の疾患(例えば;マスト細胞症など)を引き起こすこともあります。これらの状況は、健康に深刻な影響を与えるでしょう。


どのような種類の製品が環境過敏症に関係するか?


あらゆる製品や化学物質が、環境過敏症と関係する可能性があります。カナダ公共サービス委員会の調査によると、「環境過敏症患者は、食品、化学薬品、または環境要因に対して単独または複合的に有害反応を起こす場合があります。環境過敏症には、洗剤、粉塵などの特定のアレルゲンに対する有害反応も含まれます。香水、建築資材など。」

こちらの文書は、香り付き製品に対する過敏症に焦点を当てています。他に参考になる文書としては次のようなものがあります。
・室内空気質(全般)
・室内空気質(カビ、菌類)
(※訳注;元記事にはそれぞれにリンクあり、そのうちまた掲載します。)

職場で過敏症の問題に対応するときには、必ず考えられるすべての原因に対処してください。


どんな製品に香料が含まれているか?


芳香を構成する成分や化学物質は、以下のように非常に広範囲の製品に含まれています(これらの製品で全てではなく、これ以外の製品でも反応を引き起こす可能性があることにご注意下さい)。

・シャンプー、コンディショナー
・ヘアスプレー
・デオドラント用品
・コロン、アフターシェーブケア製品
・フレグランス、香水
・(全身用)ローション、クリーム
・ポプリ
・工業・家庭用化学薬剤
・石鹸、洗剤、柔軟剤
・(空間)芳香剤、(空間)消臭剤
・精油
・キャンドル
・おむつ
・ある種のごみ袋

「無香料」と謳っている一部の製品は、追加のマスキング剤を使用し香りを隠しているだけの可能性があるのに注意することが重要です。過敏性をもつ人の周囲で香りのする製品を使用する場合、必ず製品についてよく調べてください。

他に、これらの製品も症状のトリガーになるとの報告があります:
・揮発性有機化合物(例;ガソリン、接着剤、溶剤、洗浄製品など)
・車の排気ガス
・農薬
・花粉
・カビ


香料には発がん性を持つものがあるという記事があるが、本当か?


それは製品の成分にもよりますが、香料や関連製品には、職場環境や動物実験においてがんを引き起こすと判断された化学物質が含まれている可能性があります。

OSH Answers 文書 化学物質が有毒になるのはなぜか?
化学物質が体に及ぼす影響について詳しくは、こちらをご覧ください。


製品や化粧品の表示義務は?


場合によりますが、これら製品の表示義務はすべてを網羅するものではないと思われます。

例えば;一般の消費者向けに販売されている(食料品店やホームセンターなどで)洗浄剤や空気清浄剤などの製品は、一般消費者向けの表示のみが義務となっています。これらの表示は、腐食作用(皮膚/眼への化学火傷)、爆発、火災、毒物などの直接的な危険に焦点をあてています。パッケージや商品に記載される内容は一部のみです。製品の全成分を知るためには、直接メーカーに確認する必要があると思われます。

カナダ保健省の定めるところによれば、化粧品には外装にラベルを貼るよう求められています。これらのラベルは、香粧品成分の国際表示法(訳注;International Nomenclature of Cosmetic Ingredients system.=INCI)のシステムで使用されるすべての成分が含まれます。これは、消費者が香粧品製品を購入する際に情報に基づいて選択ができるよう必要な情報を提供するためのものです。

※訳注;INCIとは
International Nomenclature of Cosmetic Ingredients (INCI)は、化粧品の成分を識別するために使用される名称のシステムである。これはPersonal Care Products Council(PCPC、化粧品とパーソナルケア製造販売企業による業界団体)によって開発され、食品医薬品局(FDA)や欧州連合(EU)などの規制機関に認識されている。
INCIシステムは、消費者が製品に含まれる成分を簡単に理解し、情報に基づいた購入決定を行うことができるように、化粧品の成分を識別する一貫性のある正確な方法を提供します。INCIシステムで使用される名称は、化粧品の成分の科学的な名称に基づいており、異なる言語や国で標準化されている。
日本でも成分表示方法(ラベリング)としてはこれを参考にしている。


カナダには環境過敏症をカバーする法律がある?


はい、カナダには環境過敏症をカバーする法律があります。連邦及び州の人権法により、適応が義務付けられています。詳細については、各地方の人権委員会にお問い合わせください。
雇用主は、人にはそれぞれ個々に違うという事実を理解し、その理解をもとに職場の規準や方針をできる限り前向きに策定しなければなりません。


職場に無香料ポリシーを導入する場合、どのような手順を踏めばいいい?


職場環境における多くの政策と同様に、次の点に必ず留意してください。
・従業員の評価(を確認)またはアンケートを実施するなどして、問題の程度を判断します。同時に意見や提案を募り、それをもとに職場に適した政策を制定します。(調査内容の例は文末参照)
・政策とその運営を監督する責任者を一名選定するか、すべての立場(従業員、労働組合、経営者)から代表を立て、実行委員会を設置します。
・安全衛生委員会の委員または労働者の代表を参加させ、経営者側も立ち上げから関わっていきます。
・ポリシーの草案を作成し、ポリシーの告知をし、また実装の期限を設け、それを遵守します。
・従業員を指導します。給与明細にパンフレットやチラシを同封したり、社報に記事を掲載したり、プレゼンテーションを行うのもいいでしょう。いずれにしても、香りに関係する健康上の懸念とこのポリシーが必要な理由を全従業員に周知することを目標とします。
・全従業員にポリシーについての情報を十分提供し、ポリシー施行前にすべきことが何かを十分理解しているかどうかを確認します。
・従業員が提起するすべての疑問に率直に、正直に対応します。この政策は、単に特定の香りが嫌いという理由によるものではなく、医学的懸念があることへの結果として施行されるのだということを周知徹底してください。
・このポリシーはすべての人(訪問客、患者含む)に適応されることを明確にしてください。
・ポリシーの成功には全員の協力が不可欠であることを明確にしてください。香りを身に着けている場合、その人が何を求められるかを明確にしてください。(例;無香料の拭き取りシートで拭き取る、着替える、別の部屋に移るなど)
・各地の法律を参照し、裏付けとなる文書を検索してください。
・無香料ポリシーを香水やコロンに限定しないでください。前述のように、多くの建材、清掃洗浄用品やパーソナルケア用品にも香料や化学物質が含まれています。
・無香料の商品リストを作成、承認し、またそれらの購入できる店舗のリストも作成、提供します。
・現在使用されている製品および使用を検討している製品の安全データーシートを全て確認してください。成分が許容範囲であるかどうかを検討してください。無香料を謳う一部の製品は、実際には無香ではなく、においを隠すために化学物質が添加されている場合があることに注意してください。
・製品を大量購入する前に、限定されたエリアでテストしてください。
・工事や改装、ワックスがけ、シャンプー(訳注;溶剤を使用した洗浄)、塗装、スプレーなどを行う場合は一週間前に予定を提示し、影響を受ける従業員がその間に準備をしたりシフトの変更などをできるように手配してください。
・ポリシーの声明文を、すべての予約カード、社内便せん、部屋予約通知票、社内掲示板などに掲示してください。
・「無香料」のロゴ入り看板を準備し、その看板を掲示する場所を決めてください。
・ポリシーは都度見直され、得た経験と新たな知識を反映して変更されていく可能性があることを全員に周知してください。


ポリシーの例は?


ポリシーは従業員の健康に関する懸念に基づいて策定されるべきです。またポリシーは事業所全体で統一して適用されるべきです。

ポリシー:

香り付き製品の曝露によって生じる健康上の懸念のため、〇〇社はすべての従業員と訪問者に対し無香料環境を提供する目的で、このポリシーを制定しました。

定義:

当社屋内での香料の使用は、いかなる場合も許可されません。さらに、清掃に使用されるすべての用剤は無香料でなければなりません。
お近くで入手可能な無香料の製品リストは、健康安全課(訳注;〇〇社の適切な社内部署)から入手できます。

手順:

従業員には、社内刑事の看板、方針マニュアル、政策の手引き、告知資料を通じてこのポリシーを周知し、オリエンテーションとトレーニングを受けていただきます。
訪問者の方は、看板によってポリシーを知っていただき、ホストが詳細説明いたします。
このポリシーは、〇〇年〇〇月〇〇日に実装されます。


提示する通知内容は?


看板は、社屋正面玄関付近に掲示すべきです。また、ビジネスカード、便せん、宣伝資料に記載することも、訪問客が多い場合には望ましいでしょう。

内容は、例えば以下のようなものが考えられます。

〇〇社で働く一部の人々は、様々な化学製品や香り付き製品に対する過敏性を訴えています。私たちは、彼らの健康上の懸念に対応するための努力に、皆様のご協力を賜りたいと存じます。

健康上の懸念に対応するため、〇〇社は無香料ポリシーを策定しました。ヘアスプレー。香水、デオドラント製品などの香り付き製品は、呼吸困難や頭痛などの症状を引き起こす可能性があります。スタッフと訪問されるお客様は、当社においでになる際にこれらの製品を使用しないようにお願い申し上げます。

〇〇社は無香料環境です。勤務中は香り付き製品の使用を自粛してください。


従業員の意識調査の質問内容は?


以下に質問例を記載します:

香り付き製品の影響を感じたことがありますか?
 ・もしある場合、それはどのような影響ですか?
当社は、香りの使用を削減するためのプログラムを提供すべきだと思いますか?(はい・いいえ)
当社が無香料になるにはどうしたらよいでしょうか?

・香りが強い製品から、無香料または微香性の製品に変更しますか?
・香り付き製品による健康上の懸念について、従業員に対して意識を深めるためのセッションは必要ですか?
・インセンティブは必要ですか?そうであれば、詳細を書いてください。

出勤前に、香り付きのシャンプー、石鹸、ハンドローション、香水、コロン、ヘアスプレー、デオドラント用品などを使用しますか?
(はい・いいえ・わからない)

〇〇社の無香料ポリシーを受け入れますか?(はい・いいえ)

無香料ポリシーを受け入れる意思がない場合、その理由を説明してください。;
他に何かあればそれもお書きください。


無香料ポリシーの代替案は?


可能であれば、問題の原因を正確に特定してください。建材、清掃用品などからの排出をすべて削減します。
室内空気質を良好に維持します。新鮮な空気と入れ替え、香りが建物全体に再循環しないような状態にします。
場合によっては、香りを使用する、または身に着ける個人にアプローチする必要も考えられます。この要求は、人事部、上司、管理職、組合、または組織が定めたポリシーや手順の条件に従って行うことも考えられます。環境過敏症に苦しむ本人自らが他の個人にアプローチする必要はないということに注意してください。他の人権問題同様、影響を受ける個人が特定される必要はありません。




以上です。

連邦政府が設立した、
労働安全衛生センターが実施している、
香害対策です。

大事な事なのでもう一度言いました。

凄いですよね。日本でこの組織(労働安全衛生センター)の働きを担ってるのは、厚労省?その中の労基?あとは単発で設置設置される安全衛生委員会とか?または労働者健康安全機構とかありますね。
該当する機関、日本にはなんでこんなにあるんでしょうね。動きがバラバラだからちっとも進まないとかありそうですよね。年度とかで担当者めちゃくちゃ簡単に変わる上に、申し送りもしっかりできないみたいだし。(現に香害への対策を交渉していても、年度で担当者変わるとまた一から説明しなおしみたいな話を聞きますし)

おいおいおいおい。

ペーペーの看護師にはしっかり申し送りと情報収取をしろとのたまう、その組織の中枢にしてトップのはずですよね厚労省???
何してんすか?
いやほんとに何してんの???

この話を聞いたとき、お前ら二度と看護師の情報漏れを責めるんじゃねぇぞとハラワタ煮えくりかえりました。

まぁワザとのらりくらりなんでしょうが。
もしワザとじゃなかったらそれはそれでこの国終わりだよ。

話がそれました。
しかし、内容を見ると環境過敏症(化学物質過敏症)対策を前面に出して押せ押せですね。他の記事を読んだら、カナダは少し患者数多いのかな?だからですかね。
けど、化学物質過敏症だけじゃありません。カナダは肺協会も、いわゆる香害が呼吸器疾患に悪影響を与えると注意喚起しているんだし、ぜひ他の疾患にももう少し焦点あててほしかったかも。
公的機関である連邦設立の労働安全衛生センターなんだから(四回目)。化学物質過敏症の対策してくれるのは患者としては喜ばしいけれども、すべての職業病、労災を平等に視野に入れてほしいですね。

香害は、全方位に向けて悪影響を出してるんですから。


2024年4月


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