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大人になんかなりたくない

大人になんかなりたくない。
いや、実際にはもういい大人なんだけど。でも、ついそんなことを考えてしまう。

年齢を重ねることに対して「怖い」と感じるようになったのは、一体いつからだろう。
年を取りたくない。
いつまでも若くいたい。
「若さへの執着」が、どんどん強くなっている気がする。

若い方が自由でいられる。
若い方が好き勝手できる。
年を取りたくなかったのは、こんな思いがあったからだ。

年を取ったら、好きな服を着られなくなる。
年を取ったら、好きな髪色にできなくなる。
年を取ったら好きな化粧ができなくなって、好きなバンドのライブにも行けなくなる。
年を取ったら、落ち着かなきゃいけない。
年を取ったら、若い頃と同じではいけない。
「年相応」でなきゃいけない。
見た目とか行動とか、年を取ったら「できる」ことがどんどん減って、変わりに「できないこと」ばかり増えていく。ずっとそう思っていた。

でもきっと実際にはそんなことなくて、何歳になっても好きなように生きていいはずだ。「できる」ことを減らして「できないこと」を増やすのは、年齢なんかじゃない。わたしの心だ。勝手に決めつけて、自分で自分の選択肢をどんどん削っていたんだ。

いつまでも自分は自分のままでいればいい。
「なりたい自分」がいつまでも似合うわたしでいればいい。
だって見てごらんよ。大好きなあのバンドマンはもう50歳を超えているのに、あの頃と何も変わらないじゃないか。
だったらわたしだって同じように、自分の「好き」を実現し続けられる自分でいればいいだけのことだ。

あと1ヶ月もしないうちに、わたしはまたひとつ年を取る。
ひとつ年を重ねたわたしは、一体どうなっているのだろう。何を考え、何をしているのだろう。
そんなことを考えていたら、誕生日が少しだけ楽しみになった。


でもやっぱり、ちょっとだけこう思ってしまう。

大人になんか、なりたくない。

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