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【創作TALK2023】夢日記と肉巻きの犬

 夢日記を書いています。

 ゲームの話じゃないですよ? 私が見た夢の「記録」です。毎回書いている訳ではなく、強烈に残った夢だけをスマホのメモ帳に残すようにしています。
 このnoteを書くにあたって夢日記を読み返してみると、最初期は「記憶」に基づいた夢が殆どでした。当時の私は、オリジナルキャラクターを作って他人と交流をしていました。だから他人のオリキャラが出てくる夢が多いです。また、部活の同期が出てくる夢もよく見ていたようです。
 それから、年を経るにつれて、徐々に物語寄りの夢が増えていきました。小説を以前より真剣に書くようになったからでしょうか。もしくは、私の「記憶」に残りやすいものが変化したのかもしれません。夢は「記憶」の整理のためにあると聞いたことがあります。

 ここで面白い夢を原文のまま一つだけ公開しましょう。

 犬を飼っていて10年になるが、その犬が肉巻きと針金でできている。テレビの取材が来ることになり、その場所まで自転車で向かう。漕いでいるうちに雨になり、犬をかばいながら垂れ幕の多い商店街を通って某パーキングエリアの駐車場に向かう。駐車場の中の駐輪場で男の人と何人かが整備をしているが、焦った私は自転車が中々止められず、小さな女の子が手伝っている。
 駐輪場内で白髪の妻に出くわす。その時点で自分は老人の男性になっている。妻に「全国だぞ全国!」「ええっ!?」「いや……地方かもしれんが」という会話をする。
 スーパーの前にテレビカメラがついている。「見てくれ、この犬を!」とシュミレーション通り犬を持ち上げたがーーそこに居たのは、綿でできた犬。驚くうちに、男が「ほらいないじゃないか」と揶揄う。「まさかあの駐輪場の男か!」と言いながら、スーパーに駆け込む。自分の犬が肉として売られていないかを確かめるために。

 ……いや、面白くないですか?
 見事なまでの物語構成ですよね。普段の私自身の力量よりも、よりパワフルに物語が展開されています。まず肉巻きの犬が出てくるところが面白いし、取材が来るところも、犬が肉として売られるかもしれないことをおじいさんが自覚しているところも面白い。あーあ、夢より先に思いつきたかったな。あと、当時の私、肉巻き食べたかったのかな。
 実は今もこの夢の映像を覚えています。夢日記に「記憶」を整理したことで、より鮮明に思い出せるようになったのかもしれませんね。

 さて、今回のこのnoteは「創作TALK」という企画に参加させていただいています。夢日記の話と「創作」がどう関係するのか気になってきた方も多いでしょう。
 私は肉巻きの犬の夢の他にも、物語らしい夢を多く見てきました。そのなかにひとつ、美しく壮大で素晴らしい夢がありました。夢の内容はあえて語らないでおきましょう。ただ、私はその夢の小説をどうしても書きたいと思ったのです。
 何故なのか。それは、私が先に思いつきたかったような物語が描かれていて、しかもまだ誰も知らないというところにあります。私が抱いたのは、未開拓の島を発見した冒険家のような気持ちです。「この素晴らしい世界/物語を読者にも見せたい」という気持ち。これは、小説を書く前に自分で設定を練っているときにも抱くものなのです。私達が小説を書きたい、創作をしたいと思う原理の一端は、そのようなところなのかもしれません。
 いつか本当にあの夢の小説を書く日がくるでしょう。幸い夢の内容や出てきた人物を書き留めているので、今後どこかでお見せすることが出来ると思います。読者になってくれた皆さんとあの世界を共有できることに、創作の素晴らしさを感じます。

Illust:甘衣君彩

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