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甲冑を着てハイハイする

だいごろうはつかまり立ちも様になってきたので何なら歩けるけどまだちょっとだけ怖い、それよりハイハイがやっと楽しくなってきたのだからまだハイハイしてればいいや〜と思っていた。

すぴーすぴー
はれっ私は眠っていましたね、熟睡とは恥ずかしい、しかし秋らしい陽気のせいですね、食欲の秋でミルクも美味しい!眠ってしまうのも致し方ありません。

だいごろうはハイハイが楽しくてハイになり自分の体力が何処まで続くかなんて考える訳もなくただ興味と関心が赴くままに過ごしている。

それにしてもいい天気、はて、ちゃん!ちゃんはどちらに!

だいごろうは部屋の中を一心不乱にハイハイしだした。


シューっとやるのです

あーこのくるくる小さい丸が四つ付いてる小さい乳母車のようなおもちゃ、ちゃんがシューと走らせるのです。私もシューっとやってみたい、とりゃー!ん?上手く行きませんね、とりゃ〜、ん!おぬしなぜシューと走らないのです!言うことを聞きなさい!いまいちどとりゃ〜!くぬぅ、あっ。

だいごろうは居間の扉が開いている事に気がついた。最近少しでもドアが開いていれば開け閉めできるようになり、見かければ開けたい閉めたい欲求が爆発する。

この開け閉めが楽しいのです。よいしょこらしょでとりゃ〜、どん!、あ、玄関が見えました!ちゃん!ちゃん〜そちらにいらっしゃるのですか?だいごろう今からそちらに行きます!

だいごろうはまた一心不乱にハイハイした。

あれっ、これはなんのひもでしょうか!ふぐぬぬ〜ん、なかなか噛みごたえがありますね〜こんにゃろこんにゃろこんにゃろめ〜です。は〜は〜。あれっ光です。光が見えます。ちゃん!そうでした。ちゃんを探していたのです。だいごろう今こそ行きます!

だいごろうは気がつくと寄り道してしまう、思い出して玄関の扉に手をかけて外へ出た。風が気持ちよく吹きつけた。

ぬんぁ〜この風の匂い!風と外が大好きですございます。風は風車をくるくる回してくれます。
ちゃんがシューと走らせるおもちゃの大きなものも外には沢山走っています。誰かがシューっとやっているのですね、みなさんなんとお上手な、だいごろうがもいつかはあんな大きなおもちゃを1人でシューっと動かして見たいです!

だいごろうがもし車をシューっとやった日には中の人はタダでは済まないだろう、手から離れて直ぐに前のめりになって横転させてしまう。交通というのが人々の倫理観で回っている事がよく分かる。

シューっとね

シューっと走るおもちゃに気をつけて、ちゃんを探しに行っちゃいましょう、だいごろうはハイハイが得意でございます。何かあれば戻ってこられます。
んれ?このおもちゃは?見たことがありませんね、とりゃ〜

だいごろうは外にいたダンゴムシに手を伸ばした。

ハッ!まるまった?…。このシューといきそうな甲冑のおもちゃは1人でにまるまるのですか!なんと!おもしろい、すごいです。

ダンゴムシはびっくりしたけどだいごろうが手をやめて観察しているのでまた広がって歩き始めた。

なななんとっ!ハイハイではないですか、しかも手足が沢山ある、素晴らしいです。
あなた様はハイハイの達人でございましたか、ちょっとお話を聞かせてください、あっまた丸まりましたね、触ると丸々のですね、すごい!お連れしてちゃんにご紹介します。

だいごろうはダンゴムシを拾って手の中に握った。

こっちにも、こっちにも、あれご家族でしょうか。

だいごろうの手にはいっぱいのダンゴムシがいた。

ふんふんふん、いやいや達人はかわいいですね〜たまりません、手に取れるこの感じ、うにゃうにゃが不思議です。なんとも言えません、楽しいです。

おい、だいごろうじゃないか、何をしてる?

ちゃん!見て下さい、甲冑のハイハイの達人でございます!ご紹介いたします。

お〜ダンゴムシか、ま〜あまり強く握るなよ、ほどほどに離してやって。

はっダンゴムシ?こちら様はダンゴムシ様ですか、は〜それはそれは、はい、お話しできてよかったです。お離しします。

ちゃんはだいごろうを抱き上げて家のドアを開けた。だいごろうはちゃんの胸と肩に背負われて後ろ向きになってダンゴムシを離した所をじっと見ていた。ドアがピッタリ閉まるその時まで見続けていた。ちゃんから降りてハイハイする時にはダンゴムシを思い出していた。

また外に出た際にはダンゴムシ殿にお会いしたいです。

一心不乱の中で突然の発見や出会いがあるらしい。

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