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少女レイ歌詞考察

少女レイ/みきとP feat. 初音ミクの歌詞について考察してみました。

歌詞と動画を置いておくので聴いてみてください。

本能が狂い始める 追い詰められたハツカネズミ
今、絶望の淵に立って 踏切へと飛び出した

そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君は独りさ 居場所なんて無いだろ

二人きりこの儘 愛し合えるさ―。

繰り返す
フラッシュバック・蝉の声・二度とは帰らぬ君
永遠に千切れてく お揃いのキーホルダー
夏が消し去った 白い肌の少女に
哀しい程 とり憑かれて仕舞いたい

本性が暴れ始める 九月のスタート 告げるチャイム
次の標的に置かれた花瓶 仕掛けたのは僕だった

そう 君が悪いんだよ 僕だけを見ててよ
そう 君の苦しみ 助けが欲しいだろ

溺れてく其の手に そっと口吻(kiss)をした―。

薄笑いの獣たち その心晴れるまで
爪を突き立てる 不揃いのスカート
夏の静寂を切り裂くような悲鳴が
谺(こだま)する教室の窓には青空


そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君が居なくちゃ 居場所なんて無いんだよ

透き通った世界で 愛し合えたら―。

繰り返す
フラッシュバック・蝉の声・二度とは帰らぬ君
永遠に千切れてく お揃いのキーホルダー
夏が消し去った 白い肌の少女に
哀しい程 とり憑かれて仕舞いたい

透明な君は 僕を指差してた―。


はじめに

あくまでも個人的な考えとなっています。これが真実だと思っているわけではありませんのでよろしくお願いします。「Aメロ」「Bメロ」みたいな用語も使ってますが適当なので雰囲気で読んでくれると助かります。

ざっくり

まずはざっくりストーリーを把握したいと思います。
主人公(僕)が好きな子(少女)に振り向いてもらうためにいじめを行った結果、少女が亡くなってしまうというストーリーになっています。

少し理解しがたいですが、追い詰められた少女が自分を頼って来ることを期待しているんだろうと思います。

この後は歌詞をもう少し細かく見ていくんですが、その前に一つ大きなポイントがあるので先に言及しておきます。それは

この歌詞は時系列が逆になっているということです。

私はこのストーリーは大きく3つに分かれていると解釈しています

①僕が少女をいじめる
②少女が亡くなる
③亡くなった後、蝉の声と少女がフラッシュバックする

の3つです。
現実的には

僕が少女をいじめる

少女が亡くなる

亡くなった後、蝉の声と少女がフラッシュバックする

という時系列
で進んで行きますが、

この歌詞においては
少女が亡くなる

亡くなった後、蝉の声と少女がフラッシュバックする

僕が少女をいじめる

と進んでいきます。

もっとざっくりいうなら2番→1番といった感じで進みます。

Aメロ/時系列②少女が亡くなる

本能が狂い始める 追い詰められたハツカネズミ今、絶望の淵に立って 踏切へと飛び出した

ハツカネズミとは実験用のマウスのことです。
ここでは主人公からいじめられる(実験される)少女のことを指しています。そのマウスが追い詰められ踏切へと飛び出して(自殺)しまう訳です。

つまり、少女が亡くなるところからスタートしています。

そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君は独りさ 居場所なんて無いだろ

二人きりこの儘 愛し合えるさ―。

追い詰められ孤独となった少女に頼られて愛し合いたいという身勝手な願望が語られています。我儘という自覚はあるようです。

サビ1/時系列③亡くなった後、蝉の声と少女がフラッシュバックする

繰り返す
フラッシュバック・蝉の声・二度とは帰らぬ君
永遠に千切れてく お揃いのキーホルダー
夏が消し去った 白い肌の少女に
哀しい程 とり憑かれて仕舞いたい

「二度とは帰らぬ君」「永遠に千切れてく お揃いのキーホルダー」「夏が消し去った 白い肌の少女」というあたり、既に少女は亡くなってしまっているようです。

おそろいのキーホルダーは「僕」と「少女」の比喩でしょう。MVを見る限り二人の仲は良かったみたいです。

時系列が関係してくるのは「フラッシュバック・蝉の声」「夏が消し去った」というところです。

ここでは少女は夏もしくは蝉の声が聞こえる季節に亡くなってしまったということが読み取れると思います。だいたい7~10月あたりでしょうか。

フラッシュバックの詳しい説明はリンク先で確認して頂くとして、一般的には目の前で起こっていない音や映像などが記憶から呼び起こされることを指していると思います。

細かい症状に違いはあるかもしれませんが、ここで私が言いたいのは蝉の声は実際に聞こえていないということです。

実際には聞こえて居ない=夏ではない季節
に少女と蝉の声を思い出している(思い出してしまった)ということになります。

Bメロ/時系列①僕が少女をいじめる

本性が暴れ始める 九月のスタート 告げるチャイム
次の標的に置かれた花瓶 仕掛けたのは僕だった

「僕」は9月からいじめを開始したようです。「少女」が亡くなったのは蝉の声が聞こえる季節なので、だいたい9月いっぱい、もしくは一年越しの夏に亡くなってしまったということでしょうか。

そう 君が悪いんだよ 僕だけを見ててよ
そう 君の苦しみ 助けが欲しいだろ

溺れてく其の手に そっと口吻(kiss)をした―。

いじめで苦しむ少女が自分に助けを求めることを期待しています。当たり前ですが自分で直接いじめているわけではないでしょう。机に花瓶を置くことでターゲットを「少女」に移したといったところでしょうか。マッチポンプというやつです。

そして「 そっと口吻(kiss)をした」とちょっとしたアプローチをしています。実際にキスしたわけではなく、「僕」を頼るしかないということを「少女」に示唆したりとかそういった形のアプローチだと思います。

そのアプローチが成功したかはAメロを見れば分かります。

そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君は独りさ 居場所なんて無いだろ

少女は追い詰められても「僕」の手を掴む=頼ることはしなかったようです。

サビ2/時系列①僕が少女をいじめる

薄笑いの獣たち その心晴れるまで
爪を突き立てる 不揃いのスカート
夏の静寂を切り裂くような悲鳴が
谺(こだま)する教室の窓には青空

「薄笑いの獣たち」というのは「少女」をいじめるクラスメイトでしょう。それに耐えかねてか「少女」は悲鳴を上げます。


筆者の妄想

この時「僕」は窓の外の青空を見ていて、いじめを目撃しながらも「少女」を助けようとはしていません。つまり「僕」は「少女」のほうから助けを求められるのを待っているんじゃないかと思います。

「少女」をいじめから救うヒーローではダメなんですよね。「少女」からの「助けて」が聞きたいわけです。

うまく言語化できないのですが、勝手に助けるのと、求められて助けるのでは主人公の心理に大きな違いがあると思います。

前者でヒーローになり「少女」の好意を得る方法もあると思うのですが
主人公は後者をとることによって「少女」の中の「僕」の立ち位置を確かめたい。「少女」が本当に困ったときに助けを求めるのが自分でありたいという思惑があるような気がします。

だからこそAメロ、Cメロで「少女」の手を掴むのではなく掴めよと言っているんだと思います。妄想終わり。

そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君が居なくちゃ 居場所なんて無いんだよ

Aメロ

2022/09/04 追記 

セルフカバー版のみ2回目のサビが終わったあと何か小声でしゃべっています。

すべては聞き取れませんでしたが「夏になると思い出す。それが愛だと分かり合えないの(は?)君(に?は?)呪い殺されてしまえばいい」

聞こえなかった部分を想像で補完すると「夏になると思い出す。それが愛だと分かり合えないなら君は呪い殺されてしまえばいい」でしょうか。

追記終わり

Cメロ/時系列①僕が少女をいじめる

そう 君は友達 僕の手を掴めよ
そう 君が居なくちゃ 居場所なんて無いんだよ

透き通った世界で 愛し合えたら―。

ここで初めて主人公の本音が漏れます。「僕」の居場所は「少女」だけだったようです。


筆者の妄想

ここまで「僕」は「少女」の居場所を奪っているんですが裏を返すと
「少女」には「僕」以外の居場所があったということになるんですよね。(奪うだけの居場所があったということ)

「少女」しか居場所がない「僕」はそれが耐えられなかったんじゃないかと思います。

それとBメロで出てくるこの歌詞

次の標的に置かれた花瓶 仕掛けたのは僕だった

「次のターゲット」と言っていますが、次ということは今も誰かいじめられている人がいるということになりませんか?

「少女」の前に「少女」のようにいじめられ居場所がなくなってしまった生徒がいるということです。

そして居場所がない人物が「少女」の他にもこの歌詞にも登場している気がします。妄想終わり。


透き通った世界で 愛し合えたら―。

最後の一文はこれだけを見ると解釈が難しいのですが、ラストの歌詞

透明な君は 僕を指差してた―。

と合わせて見るとなんとなくわかります。
「透明な君」=亡くなった少女でしょうから、死後の世界的なニュアンスを「透明」と表しているんだと思います。

これを踏まえて考えると「僕」は助けを求められた場合、救い出すのではなく、一緒に死のうとしていたのかもしれないですね。

死後の世界で二人愛し合えたら…ということです。

ラスト一行

透明な君は 僕を指差してた―。

この歌詞はちょっとわからないです(笑)
「僕を指差してた―。」というのはどうとでも取れると思います。

例えば
主人公を恨んでいたので「お前がやったんだな」と指差した
主人公には生きてほしいというメッセージで指差した
主人公を出し抜いてざまぁwと嘲笑って指差した

とかです。

ただMVでは最後女性の笑い声、蝉の鳴き声の後電車が通り過ぎるような音が聞こえてきます。

解釈次第だと思うのですが「僕」のフラッシュバックを再現しているようにも聞こえますし、最後の指差しと併せて考えると「少女」に呼ばれて「僕」も踏切に…というようにも感じます。個人的には後者を推していますがどちらでも意味は通るかなと思います。どちらにせよ見えないはずのものが見えて頭がおかしくなっています。

最後に

ここまで読んで頂きありがとうございます。

歌詞とMVだけでの考察となります。ボーカロイドはこの曲くらいしか知らない素人故、間違っているかもしれません。その際はご指摘して頂けると幸いです。 

その他感想や、考察などコメントして頂けると嬉しいです。

2022/09/04 追記
↓ここでご本人が色々語っていました。

紹介されている『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』というドラマ見たら一番いい解釈できそうです。

2023/07/16 追記

ドラマについての初出はこちら↓。本人歌唱verにのみ収録されているセリフについても触れています。

ニコニコ超会議2023『超絵師展 ~IFの楽曲世界展~』にて展示されたMVイラストの依頼シートはこちら↓ご本人様もTwitterで触れています。

追記終わり


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