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はしご献杯:そして、父からの贈り物

異国暮らしをしていると、心の距離も比例するというのか、気の合わなかった妹とはすっかり犬猿の仲になっていて、実家の母とも過ごせなくなって久しい。

だから、早逝した父への挨拶は、菩提寺のお墓を訪ねて。今回の長い一時帰国は祥月命日までいることにしていたので、母や妹達と顔を合わせても、そうならなくても、やりきれない思いになる気がして、女友達に献杯に付き合ってもらえないかと前日に思い立って頼んだのに快諾。

紅葉が遅かったおかげで、なんともニュアンスある色合いの樹々に包まれて精進ランチをゆっくりいただいてから、まずは横浜行きの電車に乗った。

#いい時間とお酒

もともとは、真っ直ぐ帰るのが嫌で、遠回りして夜景でも見て帰ろうと漠然と考えていたのだけれど、ふと、ダメ元でもと横浜在住の(多忙な)女友達にちょっと泣きそうな気分でSMSしたら、瞬時に「16-17時半なら/元町・中華街で/15時から開いてるバーアリ」との返信。なんて頼もしい(でしょう?)

そうして、3倍速で語り合いながら、リズミカルに笑い転げて、あっという間に2杯ずつ空けて、喜久家でラムボールも買って持たせてくれて、足早にそれぞれの場所へ。

お店の前に車を横付けして買った日には、お店のおばちゃん(と呼びたい気さくな女主人)に「家に帰るまで、食べちゃダメよ。お酒たっぷり入ってるんですからね」と釘を刺されるのが楽しい思い出な懐かしい味。

インターンシップで東京にいる息子のところに寄って、父の好きだったポークカレーを一緒に頬張り、今度は21時半の待ち合わせ先、豊洲の高層バーへ。

先に着いて、ゆったり寛いでいた旧い女友達は、実に数年ぶりに夜の外出だから、無理かもと半ば期待していなかった。

実は、一時帰国で滞在させてくれていたのは彼女宅なのだけれど、メンタルがガタガタで伏せるような日々を続けていたし、お墓参りも一緒にと、一時帰国前から言ってくれていたのに、前日に確認したら忘れてしまっているぐらいだったから。

来れても来れなくても、私はここで1杯父と飲んで帰るから遅くても心配しないでと言って、朝、出掛けた私の携帯に19時過ぎに場所の確認が来た。
半信半疑だったけれど、彼女は、いた。

ボジョレーヌーヴォーも一緒に乾杯はしそびれていたのを、ここでクリア。その夜はぐっすり眠れたという彼女は、無くしていた時間を取り戻すみたいに、翌日からは一気に弾みがついた感じ。

献杯は、幸せだった時間を思い出させてくれて、全身にしみ渡っていく飲み物かもしれない。

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