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免許更新迫る(レースや競争に対する価値観の話)

球磨川リバイバル後日談
「次はユーゾーさんの番ですね、一緒に完走目指しましょうよ!」
SNSのコメント欄で交わしていた毛繕いのように他愛のないやりとりの言葉に、ちょうどロンTeeの袖で爪が繊維を引っかけたくらいの気持ち悪さを感じた。
次じゃなくても、自分のタイミングで挑戦できればいいって思ってるんだけどなあ。目に見えない順番待ちの列に並びたいとはあんまり思っていなくて、言葉を贈ってくれた友人に申し訳ない気持ちになった。

バーカウンターにて
「GR3かGR3X、28mmか40mmか」といった感じで単焦点レンズ搭載のコンデジ購入を検討している最近のわたし。に、「カメラ買うの?ユーゾーくんそれより走らなよ~」とバーカウンターの端から冷やかしの声が刺さる。
5月連休に迫った173kmのマラニックに向けた練習のことを指している。わたしが2月に脚を故障して以来、十分に練習できていないことをその人は知ってくれている。気持ちはありがたいのだけど、頑張らないといけないと押し付けるようなその言葉は不快だった。趣味が二つ並行してたっていいでしょう?
「アーリースタートを申請しなくてもいいの?時間厳しいよ?」と有難いアドバイスをいただいたりもした。もちろん完走はしたいし、しかしその根拠はまるでないのだけれど、「今回失敗したって何度でもやればいい」って気持ちを共有してもらえそうになかったので適当にあしらってしまった。

ある日のタイムライン
「走るのは好きだけど競技スポーツがしたいんじゃない。」敬愛するライターさんの言葉にすごく深く共感する。
自分がどこまで遠くまで走れるのか、どれだけ速く走れるのか、後者はそれほどでもないけれど、ランニングの大会で走るということに対して興味があるのはそういうごくごく原始的な部分だけだ。(人や土地や風景食べ物などとの出会いを楽しみにしていることは言うまでもないけど主旨が違うので割愛する。)
誰が速いのか、強いのか、誰が何キロ完走したのか、そういう話の輪にはわたしもよく参加するけれど、仲間内の誰かと誰かを比べるといった対立構造にはあんまり興味がない。そして、その土俵に自分が立つとなると、いよいよどうでもいい。

「レースや競争に対する価値観」を振り返る機会が続いたので、その時その時に感じたことを書き起こしてみました。わたしは「競争や成功にとらわれ過ぎる社会から離れてバカになりたい」という動機でランニングにのめりこんでいったクチでして、大会やレースに出ることそのものにはあまり執着がなく、対立構図でほかのランニング仲間の走力と自身を比べようという考えはなるべく持ちたくないなと思っています。
そもそもそんなに足が速い方でも身体が強いわけでもなくて、足が速ければモテるような男子小学生的カースト制におけるわたしの居場所はごく下層にしかなくて、言ってしまえば快適ではないんですね、そういう三角形の枠にいることが。
しかしその一方では「がんばることも楽しみたい」「出し切りたい」などと、評価軸に頼らないといえば聞こえは良いものの要するに自己満足的な欲求も持っていて(少しくらいはね)、そのことが気持ちの折り合いをややこしくしてしまっています。このあたりの匙加減についても自分の言葉で話せるようになりたいけれど、それは別の機会に。

そしてきりえびへ
九州の夏の風物詩的な大会のエントリーが始まった。去年ケガしていた期間にボランティア参加したトレランレースでもあって、友人がドボンをキメる写真が公式ギャラリーのなかでも一際目を引く。
ロング63kmへのエントリー要件を調べると「過去2年間に30km以上のトレイルランニングの大会を完走した事がある方」となっていた。該当するのは実はたった1件しかない。しかもトレイルランニングを始めて以来、初めてゼッケンつけて走った時のものだ。草レースや手作りイベントでばかり遊んでいて大会にあまり出ておらず、こういうときに出せる唯一のリザルトが間もなく期限切れになってしまうわたし。
走力を物差しで測るだなんてうんぬんと偉そうに語ってはみても、こういう時に提示できるものがないと遊びたい場所で遊びたい時に遊べなくなってしまって、それはそれで本意とするところではない。
というわけで、免許更新迫る。

今年の夏はおれだって!


※写真は第9回 霧島・えびの高原エクストリームトレイル公式ギャラリーより転載させていただきました。
※この記事の執筆中にGR3Xの方を購入しました。

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