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江之浦測候所:「意味」を生み出す場所

はじめて江之浦測候所に行きました。
杉本博司さんが設計した、全体が杉本さんの作品とも言える場所です。

以前の記事で、『杉本さんの展示に、表現とは「意味」を与え「場」をつくることだと気付かされた』みたいなことを書きましたが、江之浦測候所を歩いていると『「場」が事物に「意味」を与えている』ことも強く感じました。

様々な時代、様々な場所、様々な目的で生まれたものたちを散りばめて、「意味」が生まれるための「場」を作っている。ここは「意味」のための肥沃な大地と言ってもいいかもしれません。

どんな「意味」が生み出されるのか。
それは来訪者ひとりひとりに委ねられています。



個人的には「祈りと信仰」について考えさせられました。

敷地内には春日大社から神霊を勧請した春日社をはじめ、縁あって譲り受けたという稲荷社、山道に置かれた石仏、縄文時代の石棒を祀った硝子の社など「手を合わせたくなるもの」が多くあります。それだけでなく、大きな倒木も、数理模型も、一本の木も、高台から見える海も、すべてが祈りの対象に思えてきます。

これから数十年、数百年と時間が経っていくうちに、これらのものの「祈りの対象としての立ち位置」は変化していくでしょう。多くの人が祈り続けるなら、それはより大きな信仰になっていくのかもしれません。

何に祈るのか
なぜ祈るのか
祈りはどう変化していくのか

信仰の発生と成熟について考える実験場でもあるように思えました。

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人が「自分の理解や経験を超越したもの」に祈るのだとしたら、芸術とは祈りの対象を生み出すことなのかもしれません。


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