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【3泊4日・18切符とさるびあ丸で行く!伊豆諸島・神津島の旅】1日目・中央本線経由で名古屋から東京へ

お久しぶりです。猿人です。
3/11~14に僕と大学の友人のK君の2人で神津島に旅行した時のことをつらつら書いていこうと思います。

名古屋から中央線に乗車

 3月11日、朝6時。
 大学の春休み期間はすでに始まって4分の3ほどが経ったが、まだ風の温度も歩く人の装いも冬真っ只中。そんな寒い朝の名古屋駅、中央本線ホームからこの旅は始まる。

中央本線の路線図。名古屋から海沿いを経由して東京へと至る東海道本線とは対照的に、中央本線は山岳地帯の谷間を縫うように走る路線である。名古屋-塩尻は中央西線、塩尻-東京は中央東線とも呼ばれる。
(画像はWikipedia「中央本線」より引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%9C%AC%E7%B7%9A)

 今回の旅で使うのは「青春18きっぷ」。1日あたり2410円で、JRの普通・快速列車が乗り放題となるこの切符。今も昔も、旅好きの老若男女の強い味方となってきた切符だ。

この電車に同乗していた乗客も、
まさか目の前の2人が東京まで行くとは思ってもいなかっただろう……

 6時13分、中央線普通列車は、多くの通勤・通学客と僕たち2人を乗せて名古屋を後にした。金山、鶴舞、大曽根。見慣れた名古屋の光景を眺めながら、東へと進んでいく。

美乃坂本駅。ここにリニア中央新幹線が来る日はいつ訪れるのだろうか……

 1時間半ほど列車に揺られ、中津川駅に到着。18切符期間だということもあってか、松本行き2両の列車は数人の立ち客が出るほどに混雑していた。

中津川駅に停車する松本行きの普通列車

 列車が発車して数分で長野県に上陸。山と山の間を木曽川、国道19号、そして中央西線が並行する木曽路らしい車窓が延々と続く。

 上松駅の手前辺りでは、中央西線の車窓のハイライト・寝覚の床が姿を現す。花崗岩が木曽川によって削られてできた地形で、花崗岩特有の直方体状の割れ目(方状摂理)がみられる。
 「目は覚めています」
 木曽谷の風よりも寒いツイート(今は「ポスト」か)をしている間に、寝覚の床は車窓から見えなくなっていた。

寝覚の床

 木曽福島駅を過ぎたあたりから平地でも雪が見られるようになった。Google Mapに目を落とすと、気温は-8度。3月とは思えない気温だ。

3月にもかかわらず一面の銀世界

 細い谷を抜け、突然視界が開けたと思ったら、列車は塩尻駅に到着した。名古屋出発からおよそ3時間、まずは中央西線をすべて乗り通した。

塩尻駅
塩尻駅では名古屋方面の中央西線と東京方面の中央東線が分かれる
塩尻駅名物、狭すぎる駅そば屋は定休日だった

 駅で飲み物を買い、列車に乗り込む。今度は中央東線の旅の始まりだ。

 塩尻駅から3駅目、下諏訪駅から先の区間では列車から諏訪湖が眺められる。諏訪湖といえば、諏訪大社の神が諏訪湖を渡った足跡とされる「御神渡り」で有名だ。湖が全面結氷し、その氷の一部が水面からせりあがることにより起きるこの現象だが、最後に見られたのは2018年。またこの湖を神が渡る日は来るのだろうか。少し心配だ。
(出典: 長野県 諏訪地域振興局 諏訪湖の御神渡りhttps://www.pref.nagano.lg.jp/suwachi/suwachi-shokan/kanko/omiwatari.html )

諏訪湖

 車窓には南アルプスの壮大な景色がひたすら映し出される。

 列車は長野県最後の駅、富士見駅に到着した。標高は955mで、中央本線で最も標高の高い駅である。(参考: JR東日本 駅の小さな物語 富士見駅 https://www.jreast.co.jp/nagano/trip/fujimi/)

富士見駅

 山梨県に入った後、韮崎駅の少し手前で、この旅では初の富士山が見えた。雪化粧を纏った富士山は、そろそろ山の景色も飽きてきたなと思っていた僕ですら思わず見とれる。

中央奥に富士山が見える

 そして名古屋出発からおよそ5時間半、11時45分に、山梨県の県庁所在地・甲府に到着した。
 きっぷ運賃表にも行先を示す電光掲示板にも、東京の駅の名前が並ぶ。いよいよゴール、否、この旅の中間地点が近づいてきた。

甲府で昼食休憩

 甲府市の人口はおよそ18万人で、県庁所在地の人口としてはかなり少ない部類に入る。しかし、駅前は多くの飲食店やビルが立ち並び、人の往来もさかんだった。30万都市の駅前だと言われてもおそらく疑わないだろう。

甲府駅の駅前(南側)

 甲府の冬といえばやっぱりほうとう。駅前の店でいただくことにした。

 注文したのは豚肉ほうとう。温かく優しい味わいのかぼちゃの汁が、冷えた体に沁みる。一つだけほうとうを食べるときの注意点を挙げるとすれば、かぼちゃとじゃがいもは熱いので先にお椀に移しておくとよいだろう(口の中やけどしました)。

豚肉ほうとう

 昼食は食べ終わったが、まだ次の電車までは少し時間がある。ということで、舞鶴城跡へ行くことに。

舞鶴城跡

 ここには現在は天守閣は残ってないが、頂上の展望台からは甲府の街を見下ろすことができる。都会的な街並みの奥にそびえる高い山々が、まるで中世ヨーロッパの城郭都市の城壁のように思えた。天気が良くて本当によかった。

甲府の街並み
左奥に富士山も見える

ふたたび東京へ

 甲府から再び中央本線の電車に乗り、東京を目指す。

 勝沼ぶどう郷駅のあたりでは、車窓から甲府盆地を一望できる。

 その後は食後の眠気に襲われ、数回起きたり寝たりを繰り返している間に、列車は山梨県を抜け、神奈川県に入っていた。中央本線が神奈川県を走っているというイメージはあまりないと思うが、上野原-高尾の間で相模原市の山中を走る。

 そんな短い神奈川県区間を抜け、15時30分、高尾駅に到着。名古屋出発から9時間、ついに東京都に上陸!ここで東京行き中央特快に乗り換える。

高尾駅

 高尾駅を過ぎると、さっきまでの緑豊かな車窓とは打って変わって、都会的な車窓へと変わる。

八王子の住宅街

 そういえば、名古屋からここまで全て普通列車だった。名古屋から乗った電車も、快速ではなく普通だった。
 「せっかくだし東京まで全部各停で行こうぜ」Kに訳の分からない提案をする。
 「よし、やるかw」それに応じるKもまた変わり者だ。

 そのまま乗っていても東京に到着できる中央特快を立川で降り、後続の快速に乗り換える。そして、その快速も三鷹で乗り捨て、今度は東京にすら行かない、中央・総武線各停 津田沼行きに乗り換える。自分たちは確か東京に向かっているだけのはずだった。今、自分たちは一体何をしているのだろう。そんなことは考えたら負けである。

東京にすら行かない津田沼行き

 さらに、その各停を御茶ノ水で乗り換え、再度中央線快速に乗り換える。東京都内に入ってからこれで4回目の乗り換えだ。

 そして17時ちょうど、ついに……!

東京駅

 東京駅に!到着!!!

 名古屋出発から11時間、移動時間だけでもおよそ9時間。その間の107駅にはひとつ残らず停車した。とんでもない長旅だったが、道中の風景がよかったこともあってか、不思議とあまり疲れていなかった。いやーでもほんとに長かった長かった。

 しかし、ここで忘れてはならないことが一つある。

 それは……今回の目的地は伊豆諸島・神津島。東京は中間地点に過ぎない、ということである。

 まあ、そうは言うものの、神津島行きの船までには少し時間がある。せっかく東京に来たし、どこか見て回るか。ノープランだけど。

東京プチ観光

 ノープランで東京に来た大学生2人。思いつきで最初に向かったのは、日本の学歴の最高峰・東京大学。できる限り18きっぷのみを使って行きたかったため、御茶ノ水から徒歩で向かった。
 しばらく歩いていると、見えてきたのは「赤門」。日本の大学の頂点を象徴する、荘厳な門である。門が締まっているのもあってか、「そこら辺の平凡な大学生が、この最高位の学問の府に足を踏み入れるな」、と無言ではじかれているような気すらした。まあ実際他大の学生を拒んでいるなんてことはないだろうし、他の入り口から普通に入れたのだが。

東大の赤門

 構内の建物は、どれも歴史を感じさせる重厚感のある建物ばかりだ。歩いているだけで楽しくなってくる。僕の通っている大学では感じたことのない感覚だ。

 そして、目の前にひときわ大きな建造物が現れる。東京大学といえばこの建物、安田講堂だ。本当に大きくて格好いい。

安田講堂
安田講堂のすぐ近く、半地下になっている場所に東大の生協がある

 楽しい大学散歩をした後、近くのやよい軒で夕食を食べた。東大の周辺には、他にも安くておいしそうな飲食店が多かった。僕の通っている大学の近くには安い飲食店があまりないので羨ましい。

 まだ時間が余っていたので、今度は新宿へ。夜なのに昼間のようにまぶしく、どこを見ても人だかり。世界一利用者の多い駅を前に、田舎者丸出しの中身のない感想しか出てこない。

新宿駅前

 新宿駅から歩いて向かったのは、東京都庁。新宿近辺には似たような高層ビルがほかにいくつも建っているため、見つけるのに案外手間取った。

東京都庁

 展望台に上がると……そこには、光の海が広がっていた。この大都会の絶景が無料で手に入るのだからすごい。 

写真中央の高い建物が東京スカイツリー
写真右側の暗い部分は代々木公園

 その後、新宿のスギ薬局で船の中に持ち込む飲み物とカントリーマアム、それにカップ麺を購入した後、山手線に乗り、浜松町へと向かった。

いざ、大海原へ!

 浜松町駅から竹芝のフェリーターミナルは少し離れている。しかし、大きな帆のモニュメントがあったため迷うことなくたどり着けた。

大きな帆のモニュメントがフェリーターミナルの目印

 フェリーターミナルで手続きを済ませ、乗船時刻を待つ。
 ちなみに今回使ったのは、期間限定で販売されていた「スーパー船トクきっぷ」という船券。2等和室、事前予約限定だが、通常の2等和室の価格の半額以下、6000円で東京と大島、利島、新島、式根島、神津島のいずれか一つの島を往復できるという太っ腹なきっぷだった。
 この旅では、これらの島でも最南端に位置する神津島へと向かう。

 21時50分、乗船時刻となった。これから12時間お世話になる船、さるびあ丸が姿を見せる。これだけ長い時間船に乗るのは人生で初めて。遥か南の島への旅に胸が躍る。

さるびあ丸
客室と乗船券

 部屋の中に荷物を置き、屋外デッキに出る。すでに多くの乗客がいた。デッキ全体がこれから始まる旅へのワクワクした雰囲気に包まれているようで、とても心地良い。
 22時ちょうど、さるびあ丸は竹芝桟橋を出発した。ここからしばらくの間は、東京湾夜景クルーズだ。

レインボーブリッジが見えてきた

 船はだんだんとレインボーブリッジに近づいていき、真下をくぐっていった。屋外デッキのあちこちで歓声が上がる。

 ここで、船長からの放送が入る。

「明日の予報は、南風非常に強く、波は4mから5m、……利島と神津島は、港の状況によっては接岸できない可能性があります。」

 え、接岸できないかもしれない…….?
 明日は風が強く、天気が大荒れの予報だということは、旅行前から知っていた。神津島の地を踏めないかもしれないという可能性にも、薄々気づいていた。しかし、船長の口からそのことが宣告されると、あくまで一つの可能性だったものが一気に現実みを帯びたものに感じられ、不安になった。

 とりあえず、眼前に広がる夜景を眺めて気を紛らわせた。横浜の湾岸部の夜景が見えてきたころ、客室へと戻った。

横浜の夜景
各島への予定到着時刻

 客室に戻り、新宿のスギ薬局で買ったものを広げる。2等和室は相部屋だが、この日は空いていたため部屋の中は僕とKの2人だけ。ある意味スイートルームより広いかもしれない。コンセントが2つしかないことと電波がめちゃくちゃ悪いことを除けば、かなり贅沢な部屋だ。

船中の宴

 船の中で食べるカップ麺ほどうまいものはない。間違いない。そう確信した、船中の小さな楽しい宴だった。
 せっかく部屋に他のグループがいなかったので、枕を部屋の真ん中に移し、2人とも大の字で眠りについた。明日、この船が神津島の港に到着することを願いながら。


 1日目、最後まで読んでくださりありがとうございました。
 暴風雨でトラブル連続!?さるびあ丸は無事に神津島にたどり着けるのか……?次回もお楽しみに!

追記: 旅行記2日目公開しました。
↓こちらからどうぞ↓


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