海野潮音(Umino Shion)

福島県在住。宗教2世の抑圧された不自由を語ることで逆説的に自由を語りたい。 日本基督教…

海野潮音(Umino Shion)

福島県在住。宗教2世の抑圧された不自由を語ることで逆説的に自由を語りたい。 日本基督教団西中国教区の貧しい牧師家庭に育ち過酷な幼少時代を過ごす。現在はメーカー勤務。結婚し、不妊治療を乗り越え、一児の母になる。

マガジン

  • 信教の自由について

    難しくて敬遠されがちな信教の自由について、ゆるく面白く語ったエッセイ

  • 教会でのハラスメント

    私が経験した教会でのハラスメント

  • 子育てから学んだこと

    子育てから感じたことを書いたエッセイ

  • カルトではないキリスト宗教二世の自助グループを作りたい

    自助グループをただ作るのは危険を伴う。安心して参加できる自助グループの可能性を探るマガジン。

  • 牧師家庭の見えざる貧困

    あまり注目されてこなかった牧師家庭の見えざる貧困を見える化していきます

最近の記事

  • 固定された記事

日本基督教団の「いわゆる「宗教二世」問題を新たに作らないための約束と宣言」に反対します

怒りで血圧があがりそうだ。 まず、宗教二世の定義。なんだこれは。 責任逃れか。 怒りで手が震えてきた。 二世問題は日本基督教団の信徒である親の問題なんですか?それはただの親子問題にして責任逃れをしているのと同じですよね。 私の二世問題は、親の法令違反で引き起こされたのではありません。 日本基督教団の人権侵害をはじめとする法令違反によって、引き起こされた諸問題です。 まず、当事者意識を持って下さい。 話になりません。 教団は何も悪くありません。悪いのは信徒です

    • 宗教二世の告発は、信教の自由への侵害にあたるという批判について

      よくみられるキリスト教界の宗教二世に対する主張に「宗教二世による告発は、信教の自由への侵害だ」というものがある。 「そうだ、そうだ」となってしまう人もいるのだろうが、憲法を学んだことのある人なら「なんだ、その主張は。」と感じてしまう人もいるのではないだろうか。 憲法上の信教の自由は、国家が国民に対して保障しているものだ。 信教の自由を否定するつもりはない。国家から特定の宗教を信じること/信じないことを強制されない権利を否定するつもりはない。 ただ、この信教の自由を守る

      • 宗教二世に関する中外日報社説への批判

        中外日報の「宗教二世」という言葉を慎重に使うよう読者に呼びかけ、教団への批判は信教の自由への侵害だとして批判に対しては防御も尖鋭化するのもやむを得ないとする社説。この社説の何が問題であるのか考えてみたい。 「宗教二世」の意味するところ まず、宗教二世の問題を「子どもの人権を無視したような戒律の押し付け、一般社会で広がっている情報を一切遮断するような閉鎖的姿勢、さらには子どもが適切な教育を受ける権利の剥奪。」とカルトで指摘されている諸問題に限定している。このような問題は、宗

        • 伝統的宗教二世の声も聞いて欲しい

          統一協会やエホバなどのカルトの宗教二世の声は注目されるようになってきましたが、伝統的宗教の二世の声はまだまだ取り上げてもらえません。特に、キリスト教の宗教二世では、原稿を書く人が、元カルト信者の牧師、宗教一世の牧師であることがほとんどで、悲惨な実態ほど全く取り上げてはもらえないのです。 そこには、ひとつのステレオタイプがあります。 「カルトの宗教二世は、間違った宗教の教えで育ったため酷いことをされてきたが、伝統的宗教の場合、そのようなことがない」というステレオタイプです。

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        日本基督教団の「いわゆる「宗教二世」問題を新たに作らないための約束と宣言」に反対します

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          4本
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          12本
        • 子育てから学んだこと
          3本
        • カルトではないキリスト宗教二世の自助グループを作りたい
          2本
        • 牧師家庭の見えざる貧困
          4本
        • VIVANTから考えるシリーズ
          3本

        記事

          牧師の子供の不幸は蜜の味

          牧師たちは、昼食代をかけて、教区総会で賭け事を楽しんでいました。 賭け事の内容は、受験結果。 大学に合格かするか否かで、賭け事をするのは、不謹慎で、芸能人の方も怒っていましたね。 私もやられました。 すごく、不愉快です。 合格の方に賭けられても、不合格の方に賭けられても。 日本基督教団の副議長だった岸本羊一氏のことを私の育った教会の隣の牧師F氏(私の通っていた幼稚園の園長)が呼び出し、牧師をしていた父が娘をキリスト教主義の大学に通わせることを企てているとして、娘で

          牧師の子供の不幸は蜜の味

          被害者の味方という立ち位置なら、双方代理行為は止めて欲しい

          クリスチャンのなかにも被害者側の味方だと自覚している人は多い。 でも、加害者側の言い分にも一理あると、理解を示したり、加害者はこう言っていると伝える場を作ったりする。 それは、被害者側からしたら、味方とは言わない。それは、双方代理行為であり、多くはその「中立的」判断が加害者寄りになる。それなのに、「中立」と言われてしまう。 「あなたの経験したこと(被害)が○○のすべてではない。」 「牧師のすべてが○○ではない」 「教会のすべてが○○ではない」 「教団のすべてが○○ではな

          被害者の味方という立ち位置なら、双方代理行為は止めて欲しい

          「何ひとつ苦労せずに生きてきていそうな人」のなかに私はいる

          私は妬まれることが嫌いだった。今は、少し考え方が変わって、人から妬まれるくらいの人生じゃないとつまらないなと思うようになった。 どういう訳か、私の顔には苦労が滲み出ておらず、「ぽわん」という空気さえ纏っているくらいだ。本当は、短気なのに。だから、苦労をしてきた人から妬み、嫉み、やっかみを買うことがある。 妬む人の多くは、苦労をしてきたアイコンを持っている。煙草を吸って、お酒を大量に飲んで、何に依存しているのか分かりやすい。 私だって、依存しているものはある。珈琲、甘いも

          「何ひとつ苦労せずに生きてきていそうな人」のなかに私はいる

          神の御旨が分からない

          クリスチャンはよく神様基準で行動しなければならないと言いますよね。 「人間基準で行動するから、そんなことになるんです。命を懸けた行動ができないのは、それが人間基準だから。クリスチャンなら、命をも神に捧げ、神様基準で行動するものです。あなたは、とにかく、自分のしたいようにしないで、私の言う通りにしなさい。それが神の御旨です…」 それって神様を盾にした人間基準ですよね。 「あなたには、神の御旨が分からないのですか。サタンよ去れ。」 クリスチャンがクリスチャンの他人を言う通

          神の御旨が分からない

          怒りの告発 3.11で苦しむなか「どうなろうが知ったことか」と牧師に言われていた

          原発事故後、東日本大震災への支援を呼びかける日本基督教団西中国教区の総会議長小畑太作牧師に父が電話をしたところ、以下のような愛に溢れたお言葉をいただいた。 「おまえの娘が福島に住んでいるのは知っとるわ。それが何だ。おまえのような小さい教会の牧師に支援呼びかけとんちゃうわ。おまえに何が出来るんだ。おまえんとこの娘を支援するんちゃうわ。おまえの娘がどうなろうが知ったことか。こっちは、忙しいんだ。電話かけてくんな。」 これを愛とうけとることのできない私は、リテラシーが欠如してい

          怒りの告発 3.11で苦しむなか「どうなろうが知ったことか」と牧師に言われていた

          苦しみを幸せだと決められてしまう辛さ

          今日、病院で検査をしたら、陽性でした。感染爆発中の溶連菌です。 クリスチャンは、「苦しみこそ、恵みだ」「苦しい状況でも喜んで幸せを感じなれば」「神様は乗り越えられない試練は与えない」と思いがちです。自分でもそう言い聞かせてしまっています。 溶連菌にかかった私に必要なのは、抗菌剤をきちんと飲むことと休息をとること。 「溶連菌にかかったあなたは幸いです。」って言う人がいたら、「この辛さをしらないから、そんなこと言えるんだよ」と思います。 イエス様を信じていたら、溶連菌にな

          苦しみを幸せだと決められてしまう辛さ

          「何をしても許し合いましょう」な天国は地獄でもある

          教会だけが「何をしても許し合いましょう」な世界なのではない。 私が長年関わってきたボランティアもそうだった。退会した今となってみたら、あのボランティア、気持ちの悪い宗教だった。そのボランティアは、キリスト教の影響を少なからず受けていて、初期のころは、教会の青年会がしていたことさえある。会員は兄弟姉妹だとするボランティア。教会から離れた私は教会のようなボランティア活動をしていた。 退会することになったきっかけは、ボランティアを管轄する国家公務員がオンラインの交流会に何を勘違

          「何をしても許し合いましょう」な天国は地獄でもある

          宗教二世問題で心が辛くなったら、私はとにかく問題から離れる

          今日は仕事を休み、インフルエンザの予防接種の副反応で発熱した子供の看病をしています。 宗教二世問題のトラウマからは今もまだ解放されていません。PTSDも吃音も放ったらかしにしています。専門の治療を受けていません。 とにかく辛くなったら、別のことをしてやり過ごす。牧師家庭に育ったせいか、気分転換が苦手だったんです。気分転換すること自体が悪いことのように思えてしまう。VIVANTの乃木のように、幸せになるのは悪いことのように思えて過酷な環境に身を置きたがる。私は高校生の時から

          宗教二世問題で心が辛くなったら、私はとにかく問題から離れる

          祈りの中で与えられた答えの正体

          を私は知っている。 牧師をしている父のもとに、行方不明者を探して欲しいと相談があった。 探偵ではない父は、困った。副業でプログラマーをしていたので、パソコン通信で情報収集をした。居場所を知っている人からの情報提供があった。 父は、行方不明者の居場所の扉をノックした。牧師だと名乗り、心配している人がいることを伝えた。 その人は、無事自宅に帰った。 依頼者が、どうして居場所が分かったのかと聞いてきた。 パソコン通信で情報収集したなんて言ったらら、牧師としてのセンスがな

          祈りの中で与えられた答えの正体

          生まれる前に成田闘争に参加したことがあるという宗教二世問題

          私は牧師家庭に生まれる前から、もう二世問題に巻き込まれています。 実は、私は自分の意思とは関係なく、成田闘争に参加したことがあります。 母が私を妊娠中に反対運動に父と出掛けていったからです。 機動隊の人が「妊婦がいるから道をあけろ」と機転をきかせてくれたおかげで、私の命は守られました。 父も母も左翼でも、新左翼でもありません。むしろ、共産党を敵に回すなと教団に怒られたくらいです。教会における社会派が、住民反対運動に参加することはよくあります。 ここで問題になるのは、

          生まれる前に成田闘争に参加したことがあるという宗教二世問題

          引きこもる場所もなければ、グレるためのグレしろもなかった

          牧師家庭で育った私には、引きこもりたくても引きこもれる場所はありませんでした。牧師館は狭く自分の部屋は当然ありませんでした。使っていない教会の事務室に籠城したことがありましたが、前任の牧師が首吊り自殺をしたとされる場所でしたので、父が頼むから出てきてくれと言います。どうしても一人になりたいときは、牧師の1.5畳くらいの書斎を貸してくれることになりました。しばらく、鍵をかけて籠城していると、「そこにいても、牧師になるかプログラマーになるしかないぞ」とからかってきます。神学書とプ

          引きこもる場所もなければ、グレるためのグレしろもなかった

          とにかく勉強ばかりの子供時代のなかにある二世問題

          私は、アラフォーの就職氷河期世代です。 今から、多くの人に驚かれるようなことを言います。 ビックリマン、数回しかみたことがない。 ドラゴンボール、数回しかみたことがない。 なかよしやりぼん、友達の家で数回読んだ。 ドラクエ、遊んだことがない。 ファイナルファンタジー、遊んだことがない。 スーパーマリオ、友達の家で数回遊んだ。 ストリートファイターって言うんだっけ、それも遊んだことがない。 ゲームボーイ、持ってなかった。 ゲームはMS-DOS時代にコマンド書

          とにかく勉強ばかりの子供時代のなかにある二世問題