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「職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました!」を読んで

はじめての投稿。自己紹介もなく、いきなりで申し訳ないが、読書の感想を。

タイトルに記載した「職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました!」は、偶然にも読者モニターに当選したので『これはラッキー!感想をnoteに書いてみよう』と思ったわけです。

もともとnoteを使って発信を始めたいと思っていたんだけど、自己紹介から始めるのは、なんだか在り来りでつまらない気がしたから。丁度よかった!

書籍紹介

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ノンフィクション
「職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました!」
著者紹介 [以下抜粋]
丸山 瞬(まるやま しゅん)
小学校教諭として働きながら、 誰でもできる学校の働き方改革 「学校の5S」 をネット上に公開。整理収納アドバイザー1級の知識を生かして、快適な学校づくりをしている。 最近ハマっていることは、 スタンプラリー。学校の片づけについてもっと「学校の5S」で検索!

本書は、学校教員向けビジネス書である。
学校に置かれ続けてきた不要なもの(備品・消耗品)を減らすことによって、職員室の空気が変わり、職員の時間外勤務が減った。その結果、ゆとりが生まれ新たな取り組みができるようになったという、今まで見たことがない、珍しいビジネス書である。「学校の環境整備の方法」「みんなで業務を削減する方法」について、著者の取り組みや経験を踏まえ具体的に説明されている。

ここが面白い① とにかく読みやすい

ページ数が、約120ページと意外と少なかったため、すぐに読み終える。読書が苦手な方にもハードルが低い。

著者の経験は、課題意識からリデザイン企画と提案、片付け実施例、改善結果と反省など。ここまでの一連のPDCAがすべて書かれているため、段取りや手順がわかりやすい。「○○な気持ちで取り組もう」や「○○の姿勢を貫こう」といった漠然としたマインド論だけではなく、2年間で取り組んだ具体的な内容や経緯が細かく書かれている。

ここが面白い② この改革が先例となった

特に教員をされている学校関係者ならよくご存知の通り、全くのゼロから新たな取り組みを始めるということは、とてもハードルが高く、職員の理解を得ることが難しい。しかし、本書の内容に少し触れるが、著者が在籍する職場では「夢チャレンジ」という企画があり、そこへ著者が考えた「片付けに関する提案」が乗ることで今回のような取り組みが進んでいった。

つまり、これは先例であり、どの学校でも、誰でも同じような企画を立ち上げることができるはずだ。早ければ来年度からでも実施できそう。もちろん取り組みを始めるわけだから、容易ではないと思うが、将来を入念にシュミレーションし、理想を他の職員に熱く伝えることで、実現する可能性は十分にある。

ここが面白い③ 30ページにわたるカラーページ!

片付けの実例が掲載された第3章と第4章。このカラーページは写真付きでとにかく見易い!片付けのコツのひとつに、内容物を撮り写真でラベリングすることがあげられる。その結果、どこに何があるのかをすぐに見ることができる。口頭や文字で説明されるよりも、写真で見れば一目瞭然。

この数十ページもそのラベリングと同じである。活字の説明や模式図だけでは伝わりきらない部分がきっとあるだろう。だからカラーページで実例を写真で載せることは、大いに意味がある。このカラーは著者の想いが詰まっている、そんな気がした。教員の誰もが苦手とする「理科室」や「体育倉庫」の片付けは、大変見物である。

感じたこと① 今までものを減らしたことがない職員室

学校にある備品や消耗品って、誰が管理しているのでしょうか?
答えは「職員全員」です。全員に管理を委ねているわけだから、そりゃ管理責任の自覚も分配され、ほとんど「これ誰の~?」状態になるわけです。そして自分が管理しているという意識はほとんどない。「職員室にあるものは、自分でない誰かのもの」という他人任せの認識だ。

だから、減らしましょう。捨てましょう。他の先生に了承を得て、必要ないものはいますぐ手放そう。もので溢れると管理が面倒になるだけです。管理できる量のものを管理しよう。

感じたこと② 「もったいない」という誤った解釈

昔、もったいないという言葉が流行りましたね。ノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが「MOTTAINAI」を提唱。改めてものや資源の大切さを考えさせられました。

しかし、それは「限られた資源」の話です。昔に比べてものが溢れ、ものの価値がどんどん低下してきた現在。確かに家庭や学校で「ものを大切にしよう」と教えられた子どもは多く、この考え自体は正しい道徳だと思います。けれど、「あれも、これも、捨てるのはもったいない!」と言っては、管理できずに周囲にものが散らかるのも当然。理想は扱えるだけの量を持つことです。捨てること自体は全然悪くないよね。

読み終えて① ソワソワするくらい捨てたくなってきた

ウソみたいな話ですが、読み終えた感想の第一は、「あー、捨てたくなってきた!」です。胡散臭いですか?

ものを捨てることで、時間外勤務が減るのであれば、これほど簡単で分かりやすい働き方改革はありません。ICTの時代に必要だったことは、実はアナログの「整理整頓」だったのです(もちろんPC内やPCやスキャンを利用したデジタル整理整頓も必要なことは言うまでもない)。

読み終えて② 職場環境がよりよくなる可能性が出てきた

正直、学校のものを捨てることを諦めていた自分がいました。私の経験上ですが、学校の先生って、ずぼらで収集癖があり、「これいつかつかえるよー!もったいないから置いておこうよ!」と言って結局そのまま放置する人が多いんです(私もです反省)。

確かに足りないものや、明日授業で使うものなら結構ですが、十分に足りているものや、きっといつか使うだろうくらいの不確定な未来の話なら、そのものは「捨てるべきもの」なのです。だからこれからは胸を張って「それ要らなくないですか?捨てませんか?」と勇気を出して、声をかけていこうと思いました。

読み終えて③ 本質はお互い気持ちよく働けるかどうか

片付けは、手段であり、最終的な目標ではないと思う。もちろん片付けることは必要なのだけど、これだけが本質ではない。大切なことは、片付けることにより風通しがよくなることです。

風通しがよくなると、職員同士での「会話」が生まれます。会話が生まれると、お互いを尊重し、認め合い、「チーム」として機能していきます。するとお互い気持ちよく働くことができ、その結果、教育に注ぐエネルギーも増え、生産性の高い授業や指導が可能になります。

多忙な職業だからこそ、生産性を高く!

昨今、教員の多忙が話題になり、働き方が見直されています。しかし、仕事を減らす意識や努力や根性で、多忙を解消するには無茶、限界があります。同時にそれは非常にナンセンス。持続せず、根本的な解決にはつながりません。だからその他に見直すべき所があると信じていました。本書を読み、そのひとつが「片付けである」と気づきました。

前記の通り、学校現場は、案外ずぼらです。今まで、誰も生産性を高くしようとしてこなかった。時間をかければより良い教育が提供できる、感動を共有できる、と夢見ていたのです。昭和ならそれでよかったのかもしれません。

でも、現在は違います。
最小の努力で、最大の成果を出すことが素晴らしいのです。
互いに気持ちよく働くことができ、チームでより良いものを目指す。そして時間を稼ぎ、時間外勤務を減らす。質の高い教育を提供する。これが望ましい教師像ではないでしょうか?生産性を高める職場でありたいものですね。

おわりに…「理想はコンビニ」

本書の序盤に、「職員室リデザインの理想はコンビニ」と書かれていた。何気ない一文だが、この言葉にレイアウト改革の大きなヒントが隠されているような気がした。

コンビニは時代の象徴である。いつだってコンビニが時代をつくってきた。より多くのお客さんに利用してもらえるような身近な便利さをいつだって追求してきたに違いない。

最近新設されたコンビニは、従来のコンビニ比べ、店内のレイアウトが違う。特に、大手コンビのセ○ンイレ○ンは消費者ニーズに合わせてレイアウトを変えている。

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拡大:レジカウンター、米飯・チルドケース、冷凍食品など
縮小:雑誌・コミックなど

時代の流れによってニーズは変更する。
職員室だってそうだ。少子化や多国籍化、こどもの多様化により、学級や学校の改変が求められる。ではそのために、まずは職員室を見渡してみよう。不要な棚や机が放置されていないか。誰も使わずに埃の被った教材や教具はないか。職員室のいたるところに、面倒や無駄が散らばっていないか。

ニーズにマッチした職員室のレイアウトが必要ではないだろうか。

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