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コミケのサークルチケット余ってるけど、いる?

その問いかけに二つ返事で貰ったことを少し後悔している。

コミックマーケットのサークルチケットと言えば、サークル参加していない人からすると喉から手が出るほど欲しいチケットだ。
サークルチケットで入場するメリットは沢山ある。

まず第一に一般参加するあの長蛇の列に並ばなくても、徹夜で並ぶ(今はもう無いらしいが)こともなく入場できる。
トイレに行くのも大変、夏はクソ暑く、冬はクソ寒い。そんな過酷な中長時間待つこととなるがチケットがあれば並んでる人をしり目に入場できる。最高。

第二にシャッター前のサークルで余裕をもって買い物ができる。
それこそサークルチケットで入場した後に外壁形成列に並ぶ必要があるのだ。(開会と同時に東館から外へ出てシャッター前サークルに並べる列)

シャッター前にサークルが設置されている有名な作家さんのサークルで買い物をするには、サークルチケットはほぼ必須アイテムとなる。

ちなみにこの行為は本来禁止だ。
サークルチケットとはサークル設営のために早く入場するためであって、ほかのサークルに並ぶためではない。
外壁形成列を作ってるスタッフからは「皆さん悪いことをしている自覚を持ってください」というようなことを言われる。
暗黙の了解みたいなものらしい。

昔からあったらしく、今もあるかは知らない。

第三にいろんなところがガラガラに空いてる。
サークル入場時間開始とともに入場すれば、トイレだろうがコンビニだろうがATMだろうが待ち時間なしで使えるという利点だ。
夏の一般参加でクソ暑い中並んで、死ぬほど臭い仮設トイレに行くことを考えるとまさに天国のよう。

A「サークルチケット余ってるけど、いる?ちょっとサークルの設営と売り子の手伝いしたあとは自由にしていいよ」
私「欲しい欲しい」

Aは壁サークルになるほどでもないけどもうすぐ壁になる準壁島(プロのイラストレーターや漫画家が沢山いる島)のサークルだった。
それなりに忙しいらしく売り子が欲しいとのことでチケットを受け取った。

初めてのサークルチケットで舞い上がった。
サークル入場してから、「あれほど過酷だったコミケ参加がチケット一枚でこんなにも快適になるなんて!」と感動したものだ。

チケットを受け取ったため当然だが売り子の手伝いをする。
のだが売り切れる時間が毎回12時過ぎとなる。
それからは自由に買い物をしていいと解放されるのだが、有名どころのサークルはどこも売り切れ。当たり前の話だけどね。


「コミケは快適になるけど買い物があまりできないなぁ」
とはいえ、サークルチケット入場の快適さを知ってしまったらもうあの過酷な一般参加に戻ることはできないようになっていた。

それとは別にAに対しても不満が出るようになった。
とにかくAは準備不足。
何年もコミケや他の同人イベントに参加しているにもかかわらずサークル入場時間に遅刻したりお釣りの小銭が壊滅的に足りない。

例えば1冊700円だとするとほとんどの人は千円札で支払う。
スピード勝負のコミケでは支払いでモタモタしていては買い逃してしまうからだ。

そうするとお釣りは100円玉3枚を返すこととなる。
銀行で100円玉を100枚用意したとしても、たったの33人に千円札で支払いをされると100円玉が枯渇する。
100円玉が足りなくお釣りが出ない、しかし人はどんどん並んでいく。
その結果、毎回周囲のサークルさんから100円玉を両替してもらってなんとかしのぐこととなる。
時には100円玉でしか支払いできないと断ることもあった。

コミケの打ち上げでは毎回
「本の値段は500円か1000円とかキリのいい値段にしろ」
とダメ出しされているが
「ページによって値段を決めているからそれは無理だ」と言い張る。
ぶっちゃげ買う側からすると値段なんて見てない。
700円だろうが1000円だろうが欲しければ買う。
むしろ700円になって小銭トラブルでモタモタされるぐらいなら1000円払って次のサークルに行きたいというものだ。

本の値段も400円、500円、700円、これとこれがセットで1000円とバラバラで夏のクソ暑い中、何時間も会計してると疲れで計算が出来なくなってくるし、買う人も計算を間違えて「え?これって〇〇円ですよね?」となる。
しょうがないよね。

遅刻については文字通り時間通りに来ない。
開会のアナウンスと拍手が聞こえても未だに見本誌の提出にモタついててもっと早く到着していればとよく思う。

コミケが終わってからはといえば、閉会宣言がアナウンスしてから売り上げの勘定を始める。違算が出たら数え直しまで始まる始末で。
もう周りは机や椅子の片づけをし始めているのに、こちらはほとんど片付けが終わっていない。
まさにおんぶにだっこ状態。

そんな不満が重なり「コミケに参加してるのに楽しくないなぁ」と思うようになった。
休日に朝から無給で手伝いをして、行きたいところも行けずコミケの空気を感じてるだけという回が増えていった。

若くて体力もあった頃は自分が行きたいサークルの買い物が終わった後、興味あるなし関係なく新たな出会いを求めてすべてのサークルを見て回っていたが、20年ほどコミケに参加してそろそろ体力的に会場を全部回るのも厳しくなってきた。

サークルチェックリストも書店に委託されているサークルはチェックを外し、後日ネット通販で買うようになった為どんどん行く意味が無くなってきた。

最終的に行きたいサークルが1つまで減った時「それならついでに買っとくよ」と他のコミケ仲間が言ってくれたことがきっかけでコミケに行く必要がなくなった。

自分の中で電車賃と体力と休日を消費してまで行きたいイベントではなくなってしまったのだ。

そんなAはコミケ2日目の朝に700円と400円の新刊のお品書き画像をアップして「みんな小銭持ってきてね」とツイートしていた。

まるで進歩していない。


みなさん良いお年を。

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