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中学生編

巷はジュニア全盛期。

あっちでもこっちでも好きなジュニアの話をしている。

私はどこでどう間違ったのか、ロック大好き少女になってしまいギターを始めた。
おしゃれが大好きで、MILKとかヒスとかX-girlとかはたまたアンダーカバーとか、お下がりのギャルソンやヴィヴィアンとか、節操なく自分の好きなものを着ていた。

だけど田舎だから。

周りから浮きに浮いていた。

奇抜な前髪をして、制服の裾はミシンで勝手に形を変えて、好きな形のリボンを結ぶ。

みんなとおんなじが良いのに、どうしても違う方向に進んでしまう。

自分でもよく分からないのだけれど、おかしなエネルギーに取り憑かれているみたいだった。

私に残された道はジャニーズしかなかった。

唯一クラスメイトと共通の会話が出来る最後の砦だった。

当然、ロックとパンク好きを完全に拗らせていた私はまっすぐに渋谷すばるにのめり込んでいった。

いったのだけれど。

既に私は世界の終わりを夢見る立派な暗黒少女になってしまっていたので、せっかくジャニーズを好きになるのに、ここですばるくんにまた胸をひりつかせて良いの?と何万回も自問自答を繰り返した。

すばるくんは繊細な天使みたいな人だった。
14歳の私は、すばるくんを見るといつも泣きたくなるような気持ちになった。

これではだめだ。

私は明るく、元気に、みんなと同じように生きていきたいだけ。

私に光をくれる人。
嘘でもいいから、健康で、元気で、真っ直ぐで。

誰に対しても「この人がすき!」と胸を張れる人。

そんな人を。

見つけてしまったのだ。

すばるくんのすぐそばで。

小さな小さな見習い天使のような亮ちゃん。

の隣で笑う。

安田章大。

神様を見つけた、と思った。

私この人を好きでいれば、多分、大丈夫だ、と思った。

もしかしたら私、死なないで生きていけるかも知れない、と思った。

みんなと仲良くなるためのツールとしてのジャニーズだったのに。
みんなとおんなじ、の為のジャニーズだったのに。

章ちゃんがいればもう何も要らない。
章ちゃんがいれば私の世界は完結している。

本当の好き、を見つけたら。

みんなとおんなじもへったくれもない。
章ちゃんを好きな想いは誰にも指一本たりとも触れさせない。

誰とも共有なんかしない。

【ちゃんとヤバい奴】が出来上がっただけだった。



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