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ベッポと、仕事と

仕事がつらい。
そんなときは、ベッポのことを思い出す。

ベッポは、ミヒャエル・エンデ「モモ」に出てくる、道路掃除夫。
とても長い道路を掃除するときの心得を、ベッポは語る。
たくさんの仕事をなんとか終わらせようと、焦ってせかせか働けば、しまいには息が切れて、仕事が終わる前に、動けなくなる。

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん。わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。

ミヒャエル・エンデ「モモ」
岩波少年文庫・大島かおり訳


どんなに仕事が立て込んでも、週末が永遠に来ないように思えても、まずは目の前のことを、ひと掃き。
それを繰り返していれば、気がついたら、週末かもしれない。

モモには、ベッポのほかにも、素敵な人がたくさん出てくる。
床屋のフージー氏には、毎晩寝る前に、窓辺に座って15分、一日のことを思い返すという習慣がある。素敵な時間だなと思う。

うちには、窓辺といえるような場所もないけれど、お天気の良い日にはベランダに出て、冴えたお月さまを眺めながら、一日を振り返ってみようかな。

明日も働いて、つぎのひと掃きを。

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