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新卒の特権が羨ましい

 雪が降るという話がしばらく前からあったが、その通りに今日雪が降った。今外を見ても降り続いていて、既に積もっている状態なので、明日の出勤は大変そうである。無理をして来なくても良いと言われたが、それを判断するのは会社側なので、平社員のこちらはどうなっていようと行く姿勢を見せなければならない。いっそ会社からの通達で休みになってくれたらいいのだが。

 就活の応募などを見る時、何とはなしに目にとまるのが、未経験者歓迎という記載である。その文言の通り、その職種をやったことがなくても、一から教えてくれるということだと思われる。

 しかし、実際のところ未経験者歓迎と謳っていても、本当にそうであることは少ない。現在選考を進んでいる人がどういった人物であるかといった話をしてくれる時もあるが、大体前職で同じような仕事をしていた人であることが多い。

 なので、どう転んだところで、経験者が有利になる。当たり前といえば当たり前である。誰だって即戦力が欲しい。未経験者に仕事を教えて、やっと任せられるとなった時に辞められたら目も当たられない。

 中途採用は特に顕著で、実績なり資格なりスキルなり、そういった証明できるものが必要になる。熱意だけでは誰も採用などしてくれないし、そもそも見向きもしない。

 そう考えると、新卒採用というのは特殊である。新卒である以上、前職どころか社会人経験がない状態の人を採る訳で、間違いなく即戦力にならないことを承知の上で採用する。それができるのは、新卒のポテンシャルに重きを置いているからで、長く勤めてくれるなら、投資をする価値があるという判断だろう。それが実を結ぶかといえば、そうでないことの可能性が圧倒的に高いと思うが。

 そんな、なんの能力のない新卒を採用するに際し、何を評価基準にするかといえば、曖昧なものを基準にするしかない。つまり熱意であり、やる気であり、将来性である。自己PRであり、ガクチカであり、履歴書である。なんの関係もなかった業界に飛び込む代わりに、答えのないもの、形のないものを提出して、気にいられなければならない。

 理屈ではわかる。それで判断したいのではない、それ以外に判断のしようがないのだ。他に何で判断するのだと言われれば、何も出てこない。だから自己PR講座だとか、履歴書の書き方だとか、そういったものが出回るのだ。

 そして、それは新卒、社会人未経験者だけが許される特権である。だから、社会人経験者である中途は、実績を求められるのだ。お前は今まで何をしてきたんだ?と問われる。それが向こうの意にそぐわないのならさようならである。

 もちろん中途で全く知らない業界に飛び込むことができない訳ではない。むしろ、最近ではできることが多いと言えるだろう。しかし、簡単ではない。望むと望まざると、最初に歩き始めた道をずっと歩き続けなければならないことの方が多い。そういうものだと言われればそれまでだが、何も変わらない先の道を見ていると、どうにも虚しくなったりするのである。

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