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エッセイ短歌:「わさび菜」


妻が小学校でパートしていた頃、小学校の近くに住む、
小学生見守りボランティアの
年配の男性がいらっしゃいました。

妻とその方はとても親しくしていました。

ある日の事、その方が

「これは、わさび菜の種なので秋に庭にまいてごらん、春にはわさび菜が出てきて、それをサラダにすると美味しいよ。」
とにっこり微笑みました。

妻は少しばかりの種をいただきました。


私は庭の片隅に、種をまいたのですが、春近くなると、わさび菜がたくさん生えてきました。

その葉をかきとり、食パンに挟んで食べると、ツーンと
わさびの香りがしました。



わさび菜を

パンに挟んで

食(は)むたびに

種くれしかたの

笑顔が浮かぶ



その方は、ある日突然、姿を消しました。

風の便りでは、施設に入られたようです。


わさび菜は、何もしなくても
こぼれ種で、毎年、春になると芽吹いて成長します。

とても丈夫な野菜です。




        おしまい

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