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ウェルビーイング(マーティン・セリグマン)

ソクラテス:皆さん、今日はマーティン・セリグマンさんという著名な心理学者をお招きしています。セリグマンさんは「ポジティブ心理学」の創始者として知られており、特に「ウェルビーイング(幸福感)」についての研究で広く認められています。セリグマンさん、お越しいただきありがとうございます。

マーティン・セリグマン:ソクラテスさん、このような機会をいただき、光栄です。私の研究や考えを皆さんと共有できることを楽しみにしています。

ソクラテス:セリグマンさんの「ウェルビーイング」に関する理論は、多くの人々の生き方に影響を与えています。まず、ウェルビーイングの基本的な概念について、簡単に教えていただけますか?

マーティン・セリグマン:もちろんです。ウェルビーイング、つまり幸福感は、単に快楽を求めることではありません。私はウェルビーイングを、PERMAモデルとして概念化しています。これは「Positive Emotion(ポジティブな感情)」、「Engagement(没頭)」、「Relationships(良好な人間関係)」、「Meaning(意味)」、「Achievement(達成)」の5つの要素から構成されます。これらはすべて、人が満足できる生活を送るために必要な要素です。

ソクラテス:なるほど、単なる快楽ではなく、人生の深い満足感に焦点を当てているわけですね。それでは、セリグマンさんはどのようにしてこのPERMAモデルを導き出されたのでしょうか?

マーティン・セリグマン:私の研究では、様々な文化や社会で、人々が幸福だと感じる瞬間や状況を分析しました。また、心理学の研究だけでなく、哲学や宗教の教えも参考にしました。その結果、ただ快楽を追求するだけではなく、人生において意味や目的があること、良好な人間関係があることなどが、真の幸福感に不可欠であることが明らかになりました。

ソクラテス:確かに、意味や目的が人生には必要ですね。しかし、意味や目的を見出すことができない人もいます。このPERMAモデルは、そういった人々にとっても有用ですか?

マーティン・セリグマン:はい、私たちの研究では、PERMAモデルの要素を意識して取り入れることで、人生における幸福感を高めることができることを示しています。たとえば、意味や目的を見出すことに苦労している人は、ボランティア活動や、他者への貢献を通じて、自分の行動が社会や他人に良い影響を与えることから意味を見出すことができるかもしれません。

ソクラテス:他者への貢献を通じて意味を見出すというのは素晴らしい考え方です。しかし、すべての人がそのような機会にアクセスできるわけではありません。特に経済的、社会的な制約がある人々にとって、ウェルビーイングを追求することは難しいのではないでしょうか?

マーティン・セリグマン:その点については十分に認識しております。ウェルビーイングを追求する機会は、社会的、経済的な条件によって大きく左右されます。しかし、PERMAモデルの要素の中には、財政的なコストを伴わずに取り組むことができるものもあります。例えば、日々の中で小さなポジティブな出来事に意識的に注意を向けること、感謝の気持ちを表現することなどです。確かに、一部の人々にとっては、より大きな障壁が存在しますが、ウェルビーイングを高めるための多様なアプローチが可能です。

ソクラテス:確かに、小さなことからコツコツと幸福感を高めることも重要ですね。しかし、セリグマンさんの理論が社会全体のウェルビーイングをどのように改善できるかについては、どうお考えですか?

マーティン・セリグマン:社会全体のウェルビーイングを高めることは、教育、政策、企業の運営など、多方面にわたる取り組みが必要です。私の理論は、個人だけでなく、組織や社会にも適用できるものです。たとえば、学校でのポジティブ心理学のプログラムの導入や、職場でのウェルビーイングを高める施策の実施などが考えられます。こうした取り組みにより、より多くの人々が幸福感を感じられる社会を実現することが目標です。

ソクラテス:セリグマンさんのお話から、ウェルビーイングを追求することは、個人の努力だけでなく、社会全体のシステム的な改善も必要であることが理解できました。しかし、社会全体でウェルビーイングを高めるためには、まだまだ課題が多いようですね。特に、経済的、社会的な不平等がある中で、すべての人々がウェルビーイングを実感できるような社会を実現することは、簡単なことではありません。

セリグマンさん、今日はこの貴重な対話をしていただき、ありがとうございました。あなたの理論や取り組みが、これからも多くの人々の幸福に貢献することを心から願っています。

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