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【その顔とその顔とその顔】②

備忘録 〜貴婦人編 その2〜

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花よりも、彼女は石楠花そのものだった。

完璧な人の巻

薗坂さんは華奢な身体とその雰囲気にぴったりの
フェミニンなワンピースをよく着ていた。
女性だったら彼女を見れば誰もが憧れるだろう。

艶めく長い黒髪の毛先が伸びたままつんつんしていることはなく、常に綺麗に巻かれていた。

一緒にいるとふんわりと素敵な香りがするが、
百貨店で香るような香水の香りでもなく、空間がただ心地よい香りで覆われているくらいの嫌味のない香りなのだ。

アクセサリーがついてないことは一度もなく、いつも同じ物でもなく、定期的にその種類は変わり
本物を身につけていた。もちろんバックは一流ブランド。いつも綺麗なのを身につけていた。

彼女の家に時々招かれてお茶をしたが、完璧に片付けられた美しい部屋で、コーヒーのカップもイタリアの老舗のもの。手作りのシフォンケーキも
完璧だった。

こんな完璧な人っているんだ。

しかも、彼女の婚前の職業は皮膚科医だった。
どこか私立の大学と聞いているが推薦入学という名前で学力試験はほぼなかったと言う。

私の高校時代、とても成績の良い同級生がいて
国立の理系の大学に進学したけど、国立は難しくて私立に行きたくても医学部はお金がないからいけないと言っていた。

医学部はすべての学生に平等に門戸を開いているわけではない。高い学費を払える前提があって
受験可能かどうか判断しなくてはならないのだ。

私はまったくの無知だったので、聞けば聞くほど
変に納得して、お金の力ってすごいんだな、と思った。

でも、学歴くらいは、その間口は全員平等に学力というのもので測って欲しいものだと思った。
奨学金制度だって、全てをカバーできるほどの金額が受けられるのはごく一部だし、お金と学歴って切っても切り離せないものだ。

どの家に産まれるかが人生を左右すると、この人を見ている時、よく思う。

その3に続く。



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