ベランダの園芸

ベランダ・室内園芸歴数年。 このNoteは、いとうせいこう氏の『ボタニカル・ライフ』を…

ベランダの園芸

ベランダ・室内園芸歴数年。 このNoteは、いとうせいこう氏の『ボタニカル・ライフ』を読んだ私という一個の他者が、 せいこう流に言うと「俺も何か書きたい」という思いに掻き立てられ、 いてもたってもいられずに始めた私的なベランダ園芸日誌です。

最近の記事

亀甲竜その2 あるいはシンニンギアと亀甲竜

以前我が家の亀甲竜のことを記録した際の繰り返しになるが、このNoteは、いとうせいこう氏の『ボタニカル・ライフ』を読んだ私という一個の他者が、せいこう流に言うと「俺も何か書きたい」という思いに掻き立てられ、いてもたってもいられずに始めた私的なベランダー日誌である。 この記事ではその亀甲竜のその後ならびにせいこう師のその後ついて報告申し上げたい。 亀甲竜のツルというか葉を巷でみるようにハート形にしたくて試行錯誤してみたが、思うように絡まってくれずにハートの形成を断念したという

    • 木立性ベゴニア

      おしゃれな観葉植物店で、ベゴニアマクラータを購入した。 ずっと欲しいと思い続けながら、イベントやショップで何度も素通りしてきたものだから、それと出会った時も我慢するつもりであったが、近頃なかなか出会う機会も減っていたし、止めてくれと頼んだ友人も止めてくれなかったため、購入することにした。(筆者はいま夏目漱石を読み終えたところである。雨は止んでいる。一文は長くなってしまう。) 個性的な葉っぱの見た目からしていかにもデリケートそうだが、意外にも健康的でよく食べよく寝てよく育つ

      • アンスリウム その3

        馴染みのフラワーショップに久し振りに行ってみた。 ここは都会の賑やかな場所に位置し、人も花も出入りが激しい。そのため店員さんから顔を覚えられることはまずない。常連でありながら匿名的に買い物ができるという、都会特有の気楽さがある。そして安さのわりに品質がよく、買って帰ってすぐ枯れるという失敗がほとんどないばかりか、その後長く楽しませてくれる株も多い。品揃えも、菊や蘭など昭和・平成のガーデニング的草花が中心ながら、都会のど真ん中でオージープランツが安価で手に入ったりするから油断

        • シンニンギアとエアプランツ その2

          シンニンギア上海の女王が壁を這ってエアプランツを登るさまを以前紹介した。 経過を楽しみにしていたのだが、予想外にもなんとエアプランツのほうがシンニンギアを嫌がり、数日かけて振り払うようにシンニンギアをほどいていったのである。四六時中見張っていたわけではないので真偽はわからないが、嫌がって体を逸らしていったようにしか考えられない構図なのだ。 確かにウスネオイデスをこじ開けるように登っていく様子は品行方正な近づき方には見えず、ウスネオイデス側が拒否するのも無理はなかった。ウス

        亀甲竜その2 あるいはシンニンギアと亀甲竜

          スノードロップ

          スノードロップのことを書くはずで、書きそびれて一ヶ月以上経過した。 写真に収めるくらいならこの儚さを文章に残そう、そう思って開花した写真を撮るのも我慢したというのに書かずに終わるところであったが、訳あって思い出す機会があったので手短に記録しておく。 噂のとおり、春を告げるというか、1番に咲く球根というのは本当だった。秋に鉢植えに植えてから、いつものようにテキトーな世話しかしていないのに、2月の連休ぐらい、これから春に近づいていくのかもしれないというあたりに開花した。それは感

          亀甲竜

          これまでも幾度と申し上げてきたが、このNoteは、いとうせいこう氏の『ボタニカル・ライフ』を読んだ私という一個の他者が、せいこう流に言うと「俺も何か書きたい」という思いに掻き立てられ、いてもたってもいられずに始めた私的なベランダー日誌である。と同時に、いとう氏への30年越しの「おたより」でもあるような気がしている。時空間を超えておたよりを届けることは出来ないから、インターネット空間を漂わせているのである。 さて、令和では塊根植物がブームになっていますよ、と、90年代のいとう

          アンスリウム その2

          とあるカフェのレジの側に、立派なアンスリウムがいた。 よく見かける赤の仏炎苞の普及種だが、幹が木質化して見上げるほどに伸び、伸びた先のほうからお馴染みのアンスリウムの姿が再度始まっている。樹になったアンスリウムとでも言おうか。アンスリウムは樹に着生する植物と聞いているが、このお化けアンスリウムは、無いのなら作ってみよう自前で樹、みたいな、自分で自分に着生する方法を見出した、植物の生存パワーの権化みたいなやつである。カフェ側も、支柱をしたり幹を束ねたりして木質化を支持していて

          アンスリウム その2

          デンドロビウム、水苔、アクアセル

          寒い時期の水やりと草花の手入れは手が荒れるーアクアセルに頼れば、この悩みはかなり解消される。通常に水やりのかわりにアクアセルシートを湿らせておくだけなので、鉢や水に触れる回数が単純に減るからである。 しかし、アクアセルという名のスポンジに水をやり続けているこの状態は、園芸をしていると言えるのだろうか。座右の書『ボタニカルライフ』のいとうせいこう氏的には、ベランダー同志と定義されるか疑問である。ベランダ上の乃木将軍、ベランダ界の家康たる氏にしてみれば、スポンジでお手軽に緑を保

          デンドロビウム、水苔、アクアセル

          シンニンギアとエアプランツ

          かねてから、室内にいい感じのツタが這っていればいいなと考えていた。 “グリーンでおしゃれなインテリア”を演出している家々は、必ずと言っていいほど植物が壁や窓を良い感じに這っている。少なくともそのイメージがある。 ツタといえばポトスとか、蔓性の植物の出番だろう。しかし、筆者は蔓性の植物が伸びる姿が少しばかり怖い。しかも肝心のポトスはベランダー初期に飽きてからというもの、切れ端ですら姿を消している。 自然体で栽培を続けていれば、自然にその自然界の姿が現れるだろうと考え、自然に

          シンニンギアとエアプランツ

          シクラメン その4

          秋、買ってきたガーデンシクラメンをベランダで植え替えていた。 初めてのシクラメンの植え替えは上出来、自己評価ではあまりにも美しい一鉢が完成した。午前中の日差しの下、太陽にかざしてみようと鉢を掲げ、光を浴びたガーデンシクラメンに惚れ惚れとしながら自画自賛の悦に浸っていた。 その瞬間、目線のちょうど先のビルの扉から出てきた夫婦と、シクラメン越しにバッチリ目があってしまった。 目が合った時間、お互いの時が一瞬止まった。 ふと時計に目をやった時、時計の秒針が一秒間以上止まってみえ

          シクラメン その4

          ポインセチア

          松が欲しい。竹も欲しい。正月を思い切り植物で飾ってみたい。 でも、正月を過ぎたらどうする。 正月以降は、せっせと盆栽を育てるはめになってしまう。ベランダーの生活スタイルでは、盆栽は無理がある。盆栽を愉しむには、日中の観察と適切なタイミングでの水やりが可能なライフスタイルが必要である。 だから年末は、松に憧れながらいつも買えずにいる。 しかし、今年はポインセチアでこれをやってしまった。つい、クリスマスの雰囲気に流され、安売りで大量に並んでいた苗に手を出してしまったのだ。 そ

          シクラメン その3

          シクラメン第一号(朱赤)から、続々と葉っぱが出てきている。 あの、買ってからすぐに葉っぱ3枚になってしまったやつである。 葉っぱだけでなく、花芽も次々にあがってきており、飼い主を感動させている。 葉っぱ3枚になった時点で処分しなかったのは、ぶらさがっていたタグに書いてあった「肥料はたっぷりあたえてあるのでシーズンが終わるまで不要です」という主旨の生産者からのメッセージである。いかにも、大事に届けられてきたことが伝わる伝言ではないか。都会はなんと生きづらいことだろう。空気の汚

          シクラメン その3

          シクラメン その2

          シクラメン第一号(朱赤)が芽吹いてきた。 あの、買ってほどなくして葉っぱ3枚になったやつである。 しかし実はもう一株、大量に葉っぱを落として咲かなくなったやつがいる。シクラメン第二号(白)だ。 思えば一号も二号も同じ店で購入している。懇意にしている花屋とは別の店だ。あそこはシクラメンが得意ではないのかもしれない、と、店を疑い始める始末だが、こちらの管理方法に原因があるはずだ。初期に買ったものは、まだ時期的に暑かったに違いない。 ある日ベランダの鉢をひっくり返してしまった

          シクラメン その2

          仏花

          去年の年末、花屋で仏花のブーケを買った。 都会のど真ん中のそのお洒落な花屋もといフラワーショップは、スーパーで買える定番のコーディネートとは違い、遠目に見ればまるでウエディングブーケのようなセンス溢れる仏花を販売していた。供えられたほうもこれはハイカラと喜ぶに違いないとブーケを手にウキウキしながらレジに向かった。 お会計のそのとき、店員さんから思わぬ質問をされた。よくある「レジ袋は有料です」とか「切り花長持ち剤を入れておきます」といった種類の声かけだろうと油断していたら、

          シンニンギア

          塊根植物として流通しているようだが、これは塊根のジャンルでいいのだろうか。とにかく可愛い。セントポーリアと同じイワタバコ科だそうで、セントポーリアと見比べては共通点を探すが、釈然としない。シンニンギアブラータ(上記写真)の葉なんて、むしろハーブに見えないだろうか。 でもとにかく可愛い。と言いながら、せっかく迎え入れたシンニンギアブラータとレウコトリカにはすぐに飽きてしまった。イモの部分の見た目がタイプでなかっただけかもしれない。植え付けた鉢がなんだか違ったのかもしれない。

          アガベ

          最初はエケベリアが可愛かったのだ。 多肉植物は初めちょっと怖かったが、「ロゼット」という用語を聞いてからエケベリアの寄せ植えが薔薇の花束のように見え始め、気づいたら販売会に通い詰め、ベランダはエケベリアだらけになっていた。 薔薇の花はすぐに朽ちるが、エケベリアのロゼットは薔薇の姿を保ち続ける。抜き苗で放っておいても丈夫だし、水やりはサボり放題。よく殖えるし、育った苗での寄せ植えも楽しい。コスパは最高だ。夏の直射日光は避ける必要があるが、春には花芽もあがるし、秋からは紅葉す