お盆休みと、夏休み

拝啓
成人して悠久の時が経つというのに、八月も半ばを超えると「あ、夏休みも終るんだ」と、思います。あなた社会人ですよ。底辺の。そうでした、すいませんでした。というわけで、いい年になっても寂しい風が心に吹き込んでくる。「あ、夏終るんだ」と、夏祭り、海水浴、花火大会、キャンプ。夏らしいイベントをことごとく避けて通った私が、図々しい。
 お盆休みが私を童心へ還す。勘違いさせる。終わりが、現実へ戻す。帰っていく。朝起きて、洗髪して、飯を食い、電車に揺られ、会社に到着。
 まぁでも不思議なもので、喉元過ぎれば熱さを忘れてな感じ。風呂に入ってしまえば、日常に戻る。そもそも休みがつづくと、気持ち悪くなってくる。台風の糞野郎のせいで、天気が読めず、墓参りを延期せざるをえず。ぐだぐだと、過ごしてしまった。朝起きて、掃除や簡単なDIYをこなし、ゲーム、映画鑑賞、読書、ネットサーフィン。
 脳が、頓馬になる。麻痺して、眠気がやってくる。夕方が悲しくなる。。
嫌だ、嫌だ。あぁ嫌だ、嫌だ。休みなんて二連休までが花。後は枯れていくのみ。最近、そう思うようになった。あんなにも輝いていた子供時代の夏休み。懐古に浸ることすら億劫になり、今が痺れて日常は悶え、休みを消化する人生。待ってくれ。そこまでひどくない。新宿は楽しいよ。クラフトビールは美味いよ。中原中也全詩集はほぼ聖書の機能を果たしているよ。
 お盆休みだの、夏休みだの。センチメンタルになってじゃねぇ。君は気味と気色が悪い。盗んでないバイシクルで走りだス。ゆく当ては近所のファミマ。暗い夜の帳のなかへ。尾崎豊はそんなに好きじゃない。無限大の彼方の氣志團はちょっと好き。明日はショートショートを書く予定。
        
                                敬具

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