私の中の普通が一般的には低水準だとしても、うちは普通の田舎の家庭である。

初めて、子が受験というものをしている。
今まで資格試験等は受けてこなかったので、初めての経験である。

思えば自分自身はぬるま湯で泳いできた人生で、勉強をして学校、会社に受かったという経験はほぼない。
志望高校には推薦で行けたし、滑り止めの私立は受けたがそれくらいで、大学にも行っていないのでそれきりなのだ。

こうして親の立場に立ってみると、こんなに心が揺れるのかとビックリする。
正直勉強面では何一つ手出しはしておらず、受験会場への行き帰りの道順や場所の確認程度しかしてあげられていない。

とにかく、無事会場について、礼儀正しく受験を受けてきて、無事帰ってきてくれればいい。落ちててもなんとかなる。

それでも本人の不安や緊張が伝播して、そわそわする。その不安や緊張感から早く解放してあげたい。でもそれを乗り越えるのは君自身だから、それを手伝うことはできなくて。

一校目の受験が終わり、帰宅した時、久しぶりにハグした。
今ではもう照れて、ここ数年させてくれなかったけれど、ハグしていいかと確認せずにギュッとした。抵抗は見られなかった(笑)


自分の母もこんな気持ちだったのだろうか。
心配しなくてもいいよって自分は思っただろう。
でも心配しちゃうのが親だ。
自分の持ってる知識全部コピペできたらいいのにと思う。

心配しすぎ、と言われたことがある。
自分のことはなんとかなるさで行けても、子供のことは心配しちゃうのだ。
自分の持ってるもの全部渡せただろうか、という心配なのかもしれない。

金子みすゞだったか与謝野晶子だったか、テレビで聞き齧っただけだけれど、愛は生きる知恵を与えること、という言葉を聞いたとき、衝撃を受けた。まだまだ私の愛が足りないのかも知れない。

そういえばゴールデンカムイのアシリパちゃんは完全にみんなを愛してるなと思うのはこういう理由から。
生きる知恵を淡々と教えてくれる。
母として完全敗北している。ゲームの助言しかしていない。母の役目をスマホに奪われている。

とにかく。
無事に帰ってこい。