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『改札にスマホを当てているサラリーマン』

20240218


 交通系ICカードの機能を自分のスマホに入れて使うことのできる、いわゆるモバイルSuicaは、どれくらい普及してきているのだろう。

 私はいまだにカードタイプのものを使っているが、最近は改札を通る際にスマホを直接タッチして通過している人を見かけることも増えてきたように思う。カードを使っていると、定期的にお金をチャージする必要があるが、モバイルタイプではチャージを自動的に行うこともできるらしく、それなりにメリットもあるのだなあと最近気づいた。

 しかし、ぼくはモバイルSuicaのある欠点に気付いてしまった。

先日、池袋の改札を出ようとしたところ、スマホを耳に当てて電話しながら、改札に向かって直進するサラリーマンの男性がいた。ふと見たときは何も思わなかったが、その人が改札の直前に来た時、少し嫌な予感がした。


 その悪い予感は見事に的中した。

きっと優秀で清潔感もあり、仕事も家事もできる、髪型もばっちり決めたそのサラリーマンは、耳に当てていた通話中のスマホをすっと改札に当て、また耳に戻そうとしたのだ。

な、なんだ今の動きは。

しゃべっている最中にそのスマホを直接改札にピッと当てている。

あまりにも滑稽だった。なんだ今のは。まるで通話している相手そのものを直接改札に当てているように見える。アホ丸出しじゃないか。通話中に、そのスマホを改札に当てる行為は、端から見てもあまりに無様だった。通話している向こうの相手も、まさか今自分の声が一瞬でも改札に近づけられているとは思っていないだろう。

 さらに、あろうことか、すんなり改札を通過できていない。ダサい、ダサすぎるぞ、ちょっと。これは僕の勝手な意見だけれど、あなたのような人はスマートに改札を通過してほしい。

後ろの人にも迷惑をかけているし、通話中のスマホが耳と改札のピッと当てる部分とを交互に行き交っている。

しかも、その間、相手との電話を続けている。
つまり、一人でべらべらしゃべっている。

すごい。まるで、通話している相手のせいで改札を通過できていないみたいに。


いったん電話を切るか、改札の中に戻るか、行為を一つに選択したほうがいいのではと思っていると、無事、改札を通り抜けていた。

この一瞬の出来事で、僕がそのサラリーマンに抱いていた印象は180度変わってしまった。

 もしも、自分が好きな人と改札を抜けたところで待ち合わせしている時、好きな人が僕との通話中にスマホを当てて改札を通過しようとするも、抜けるに抜け出せないという状況を見てしまったら、その後もその人のことを好きでいられるか、不安になった。

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