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『「ガッツのある人」を募集している店』

20230924

 アルバイトを探していた時期に、色々なお店のバイトの求人募集の紙をよく読んでいた。
時々、どのような人材を求めているか箇条書きになっていて、「明るく元気な人」と並んで「ガッツのある人大募集!」と書かれているものを見かけることがあった。

 「ガッツのある人」とはどういう人のことを指すのだろうか。

「明るく元気な人」はまだわかる。中学や高校のクラスにも「明るくて元気」と形容されるタイプの人はクラスに一人はいたからイメージしやすいし、一般的にも共通して同じような人を想像すると思う。

 しかし、「ガッツのある人」とは一般的なイメージが共通しているのだろうか。

僕が最近思う「ガッツのある人」とは、高校や大学の授業などで、突然先生が「ここまで何か質問ある人いる?」と聞いてきたとき、ほとんど誰も手を挙げない中で、数秒経った後、スッと静かに手を挙げて本当に自分が聞きたいことを聞ける人だ。

飲食店に何人かで行ってそれぞれ頼むものが決まった時に、即座に店員さんに「すみませーん!」と、店内に大きめの声を張り上げることができる人もガッツがあるなあと思う。

他にも、新宿駅東口で街行く女性に声をかけてナンパしている人たちなんて、真のガッツの塊という感じがする。

このように考えると、「ガッツがある」というのは「ほかの人よりも少しの勇敢さを持ち合わせている人」という意味なのかもしれないと僕は考えた。

 この「ガッツがある人」とはどういう人のことなのだろうかという質問を、飲食店で店員さんを大きめの声で割とすぐに呼べるタイプの(僕は彼のことをガッツがあると思っている)友人に聞いてみたところ、彼はこう答えた。

「あれじゃない?すぐに辞めない人ってことじゃない?俺だったら、絶対そのバイトには応募しないもん。なんか、きつくてすぐやめる人が多いバイト先なのかなあって思うもん。」

つまり、「ガッツがある人」とは「すぐにそのバイトを辞めることなく、ある程度続けられる人」という意味らしい。これは確かにそうかもしれないと思った。彼の意見を聞いて、僕はある一つの答えにたどり着いた。

 それは、「ガッツのある人大募集!」という求人広告を見たうえで、そのバイトに応募する人こそ、真にガッツのある人ということだ。

これは当たり前のことなのかもしれない。
なぜなら「ガッツのある人」を募集しているのだから、ガッツのある人が集まることは当然だろうと思われる。しかし、「ガッツのある人大募集中!」の紙を見ても、怯むことなく自分のガッツに自信を持って応募できる人はそう多くないはずだ。自らを「ガッツのある人」と認識したうえで応募する時点で、その人を「ガッツのある人」として僕は認めてあげたい。

僕がガッツがあると認める友人でさえも応募しない、と断言しているほどのバイトに応募するのだから。


僕はとにかく、ガッツのある人と仲良くして、自分の味方につけたい。

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