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ばあちゃんの足の爪がぶどう色だった



おばあちゃんがお風呂から上がってきた。

目が合った。

すると嬉しそうに、そしてさも得意気に、おばあちゃんの真下を指差してこちらを見てきた。




その指のさすほうを見てみると、ものすごく派手なピンク色の爪があった。


外国にありそうな、グレープ味のお菓子みたいな色だった。




おお。


とだけ反応した。

正直、安っぽくて品のない色だなと思ってしまったところがあるのでこれ以上の言葉は出さないようにした。



おばあちゃんは続ける。


「どぉう?いいやろ??

おばあちゃんこの色好きやからつけとこうとおもて。

こうしといたら毎日これ見て、あらかわい、ってなれるやろ??」

と、輝かしい視線で語ってきた。


なぜか泣きそうになった。



おばあちゃんは自分の好きなものを自信満々に身につけている。

それに対して自分は、他人にどう思われるかを気にして自分の好きなものを自信を持って好きだと表現できたことがない。

これ着てみたいな、と思った服とかも、

なんか自分っぽくないよな、いきなりこんなん着たらおかしいって思われるよな。

とか思ってしまってなかなか手を出せない。


おばあちゃんみたいに自分の好きなものを身につけて、満足気に見せびらかして、ご機嫌になれるような人間になりたい。


と思った。



まあそんなおばあちゃんでも、最初はそのマニキュアを手の爪に塗ってみて、若い人すぎるなと思ったから一旦消して足の爪に塗ることにしたらしいが。

足だったら靴下で隠せるから恥ずかしくないらしい。

脱げば自分1人で楽しめる。


そんな楽しみを私に教えてくれたことを嬉しく思う。


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