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生きるということ③

最後が近づくと、住職はこう話を進めていった。

『皆様は、拝む時両手を合わせてお辞儀をします。
でも、本来であれば、
両手を合わせて自分の気持ちを伝えたいのであれば
相手を向くのが良いと思います。
お辞儀をしては、自分の足元に向かって
念を届けることになる。
思いを届ける時は、しっかりと相手を向いて
その後で、相手への敬意を示して
お辞儀をする。
ぜひこのように、この後の合掌からやってほしいです。』

これは響いた。
そして、この響きは思春期真っ盛りの長男にも届いたようで。笑
何も言わずに、バタンという扉の音が〝いってきます〟だったのに、
わざわざ顔を見て〝いってきます〟と言って登校するようになった。

おばあちゃんは、人と会うことを
とても大切にしていた人だった。
ご近所付き合いもとても大切にしてたし、
そのご近所も、
ここも近所ですか?という位の広範囲だった。
それ位、関わった人に対して
前を向いて思いを届け、
ありがとうとお礼をする。

おじいちゃんが入院して
ひと段落した時も
膝が痛くて歩くのも辛そうだったのに
お見舞いをしてくれたご近所さん1件1件に
自分の足でお礼を渡しに行っていた。
そんなおばあちゃんだからこそ、
92歳まで1人暮らしをできていたのも
納得だなと思っている。

やり方は人それぞれだけれど
生きるということは
やはり一人では出来ないということ
関わる人に少しでも思いを伝えることや
ありがとうとお辞儀ができること。
自分ばかりになりすぎず、
以外の人にも顔を向ける自分があること

もうかれこれずっと知っていることなのに
なかなか日々に追われてやってないことに気づく

改めて、この世の生を全うした後ですら
おばあちゃんは教えてくれる。

そんな使命を持って、人は生きているし、
そんな自分の「足るを知る」ために
生きていると感じた。

次回は最後の回。


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