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丼の王様はなに?

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

過日。久しぶりに仲間たちと鍋を囲んだ。鍋は良い。野菜もお肉も魚も茸類も食べて〆の乾麺を食べれば、大いなる幸せを味わうことができる。

この日も〆の乾麺を食べる為、僕はキッチンに鍋を持っていった。対面キッチンなので、ここからでも友人たちの表情は伺える。

「やっぱり丼の王様と言えば、うな重だよな」
腕を組んであぐらをかいている、柳沢軍師がボソッと言った。

「笑止。丼の王様と言えば、天丼に決まっているではないか」
爪楊枝を口に加えながら、加藤木将軍が言った。

「どちらでもない。本当の、本当の丼の王様は、海鮮丼だよ」
2人を制しながら、織田参謀が言った。織田参謀のメガネが光る。

「同士よ、おまえは?」
僕に向けられる3人の視線。僕は鍋に水を入れ、気持ち醤油を足してからIHをONにした。
「俺は勿論、丼の王様と言えば、カツ丼だ。それしかあるまい!」
僕は自信を持って言い放った。

「それはそうだ。おれもカツ丼に変更する」
天丼を推していた加藤木将軍が加わった。

すると罰が悪くなったのか、海鮮丼を推した織田参謀がうな重に寝返った。

カツ丼2票。うな重2票に分かれた。

すると、柳沢軍師が言った。
「君たちはうな重を食べたことがないのか? 職人の捌いた鰻は焼かれ、それも秘伝のタレをつけてさらに焼かれることで、美味さは増大する。その美味さと言ったら、天を駆け抜けようぞ。うな重こそ、丼の王様なのだ」
流石は軍師だ。流暢なべしゃりで圧倒してくる。

加藤木将軍はせっかちで舌戦には向かない。
僕は咳ばらいをしてから言った。
「柳沢軍師にTAKAYUKIが拝謁します。柳沢軍師のお言葉ごもっとも。ご教授下さい。うな重はおいくらで食べられるのですか?」

僕の質問に、柳沢軍師が深く頷いてから答えた。
「そうですな。庶民の君たちでは赤字になってしまう値段だ。3000円~5000円程度だろう。TAKAYUKI殿、ちなみにカツ丼とやらはおいくらなのですか? ひっひっひっ」
柳沢軍師が奇妙な高笑いをした。

「あいつキモイな。時代が違えば一刀両断にしているところだ。蛸野郎」
汚い言葉で罵った加藤木将軍を、僕は目で諫めた。

「庶民とはいささかお言葉が過ぎるのでは? ではお答えしましょう。カツ丼は900円~1500円の範囲内かと存じます」

僕は素直に答えた。そして間髪入れずに言った。

「では柳沢軍師、カツ丼が3000円で食べられるとしたら、どうなさる?」
僕の攻撃に柳沢軍師が絶句した。

その間に、僕は沸騰した鍋に、白菜、もやし、乾麺を投入した。

「それならカツ丼にするよ」
なんとここで、海鮮丼からうな重に寝返った織田参謀が、カツ丼に寝返ったのだ。織田参謀のメガネがさらに光る。

「織田参謀、なぜ寝返った?」
柳沢軍師の怒声に、織田参謀が答えた。
「だってさあ~3000円のカツ丼ってことは、すげー高いロースかヒレを使うわけだろ? あと高級な卵もサ。 それなら、カツ丼の方が絶対うまいよ」

さらに加藤木将軍も続いた。
「まだあるぞ。新鮮なたまねぎと三つ葉、それと高級な海苔もある。それに手を抜きがちな味噌汁だって、具沢山で作ってくれるはず。ぬか漬けのお新香も、緑茶だってうまいに決まっているさ」

防戦一方の展開になった。これは勝利宣言をしても良いのだろうか。

しかし、絶句していた柳沢軍師が口を開いた。
「君たちは物事を俯瞰することができない、まさに凡人の極み。片腹痛いわ。なら聞くが、うなぎの白焼、肝吸い、骨だって食すことが可能な鰻を捨て、それでもカツ丼を喰らうのか? 君たちは土用の丑の日に鰻を食べないとでも言うのか?」
柳沢軍師の言葉が、室内に響き渡った。

これでどうだと言わんばかりの表情を浮かべている柳沢軍師。

僕は柳沢軍師にイラっとした。

「柳沢軍師、議論をすり替えるとは笑止千万。今は丼の王様を決めておるのだ。仮にうな重5000円、カツ丼5000円を店舗にてお出しすれば、火を見るよりも明らか。カツ丼に軍配が上がろうぞ」
僕はそう言うと、IHの火を止めた。
加藤木将軍と織田参謀が賛同の声を上げた。

天井を見ながら、柳沢軍師がボソッと言った。
「それもそうか。5000円のカツ丼があれば、どれほど美味いのだろう…」

どうやら雌雄は決したようだ。
カツ丼VSうな重。
丼の王様は、カツ丼に帰したのである。

このあと4人で食べた乾麺は、忘れられない味となった。

仲間がいること。それも多くなくていい。
腹を割って話せる仲間が1人でもいれば、僕は御の字だと思う。
それが家族でも、異性でも、上司でも、パートナーでも、最愛の人でもいいだろう。

1度しかない人生だからこそ、正直に生きよう☆彡

大丈夫、人生はなんとかなる!!!


【了】


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