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「背中をまっすぐ伸ばす」は実は間違い?背骨の解剖学から考える正しい姿勢とは?

良い姿勢=真っ直ぐな姿勢と勘違いしていませんか?

私は仕事柄、人の姿勢をよく分析することが多く、身体に対する助言やトレーニング、ケアの方法をお伝えすることがあります。

その中でよく聞かれることが、「姿勢はがまっすぐだとダメですか?」と言った内容です。

たしかに姿勢はまっすぐであれば、良い姿勢と言われています。

まっすぐな姿勢は筋肉の緊張のバランスや負担の分散という意味で、効率の良い姿勢と言えます。

ですが、身体のことをよく知らない人は、本当に「まっすぐな姿勢」を意識してしまうことです。

実は、本当の意味で背骨をまっすぐにしてしまうと、身体にとって悪影響になってしまうこともあるのです。

それは背骨の構造を知っていると、理解することができます。

今回は、背骨の構造を解剖学的な観点から解説して、本来あるべき良い姿勢になるために必要な意識の仕方を解説して、みなさんには本来あるべき姿勢に近づくきっかけになればと思います。

特に良い姿勢を意識すると逆に腰が痛くなってしまうという方は是非最後まで読んでください。


背骨はもともと真っ直ぐではない?背骨の解剖学的特徴

さて、背骨と聞いてどのような形を思い浮かべますか?

背骨は身体の軸と呼ばれているものなので、真っ直ぐな棒のようなものでしょうか。

実は背骨は複数の小さな骨が集まってできています。
棒というより、どちらかというと鎖のようなものをイメージした方がいいかもしれまん。

もう少し細かくいうと、背骨は大きく頸椎・胸椎・腰椎と大きく分けることができ、それぞれ頸椎が7、胸椎が12、腰椎が5個ぞれぞれあります。

さらに背骨は全体では大きなS字カーブを描いているのが正常と言われています。

なぜS字カーブをしているかについてですが、大きな意味としては、重力など身体に加わるストレスを軽減させるためにこのような形をしています。

S字になっていることによって、バネのように衝撃に対して形を変形させることができるため、私たちは様々な動きに対してストレスを分散して身体が壊れないようになっています。

当然ですが、身体が丸まっている姿勢をとっている人は、背骨のS字カーブが崩れていることが多いので、腰痛になりやすかったり、身体にかかるストレスが分散しにくくなるため疲労しやすい・身体を痛めやすい状態になる可能性があります。

背骨のS字カーブが崩れる要因は、背中が丸くなるだけではありません。

背筋を真っ直ぐに伸ばすという行為を無理に行うということは、この背骨のS字カーブを崩してしまう可能性があります。

そのため無理に胸を張っていたり、背伸びをしていたりする人は、背骨のS字カーブが崩れいているので、衝撃を分散できず、背骨をケガしたり、故障せずとも周囲の筋肉が衝撃に対して過剰に緊張することになるため、長時間続けば筋肉が疲労し腰痛を引き起こす可能性もあります。

注意しなければいけないのが、「背中が丸い・背筋を伸ばしている=背骨のS字が崩れている」ではないことです。

見た目では、崩れているように見えても背骨のS字は保たれていたり、逆に見た目は良い姿勢でも背骨のS字は崩れている可能性もあります。

見た目だけではわからないこともあるため注意が必要になります。

解剖学的に考える正しい背中の伸ばし方とは?

では、正しく背中を伸ばして良い姿勢になるためにはどこを意識すれば良いのでしょうか。

簡潔に言えば、「お尻を意識すること」がとても重要になります。

お尻がなぜ重要なのか。それはお尻には骨盤がついていて、お尻の意識には骨盤の動きと関連していることが理由として挙げられます。

ここでも少し解剖学のお話をします。

背骨と骨盤は連結していて、骨盤の動きと背骨の動きにはとても関連性があります。

例えば、骨盤が前に傾くと、背骨も前に傾く動きやすくなります。
背骨は鎖のようなイメージだと先ほどお伝えしましたが、この場合は骨盤が傾いたときに棒のように倒れるのではなく、骨盤に近い位置の背骨が中心に前に動くようになります。

骨盤に近い背骨は腰椎なので、骨盤が前に傾くことによって、腰椎が前に動く(=前弯する)ようになるわけです。

背骨のS字カーブを崩さずに背筋を伸ばすためには、背骨を無理に動かすのではなく、背骨がついている骨盤をまっすぐに起こして、背骨を無理に伸ばす必要がないようにすることが重要になります。

このときにお尻の筋肉を意識をして骨盤を立てることで、背骨のS字カーブを崩すことなく上半身を起こすことができるので、背骨の一部に負担が集中することを防ぐことができるので、効率よく背筋を伸ばすことにつながります。

背筋を伸ばして腰や背中を痛めてしまう人は、骨盤が起きていない状態で背骨を動かそうとしてしまうことが原因だと考えられます。

もしうまく背筋が伸ばせない人がいらっしゃればお尻を意識して骨盤を立てるようにしてみてください。

背骨を正しく理解することで、良い姿勢への理解はグッと高まります

今回は、「背中を伸ばす」ことの効率の良い意識の方法について、主に解剖学的な観点から背骨の構造から解説していきました。

よく「背筋を伸ばして」や「顎を引いて、頭から引っ張られるように」など良い姿勢をするための意識の方法は皆さんも知っていることが多いのですが、なぜそのような意識が必要なのか理解している人は多くありません。

理屈を知っていて実践するのと、理屈を知らずに言われたことや聞いたことをやるのでは、効果に差が生まれるのは当然です。

ぜひ身体のことを少しでも知っていただき、良い姿勢になるきっかけになればと思います。

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