阪神部会レポート20170917

以下の流れで定例会を行いました。
特別講師:池田政一先生による七十五難の解説→実技→池田先生と大上先生による座談会

七十五難型のお話ではまず始めに四十九難についてお話します。
以下の図を参照にしてください。
・風邪 肝→怒 起怒

・暑邪 心→憂 愁 思慮

・飲労 脾→飲食、労倦

・寒邪 肺→形寒、飲冷

・湿邪 腎→久座、湿地 強力

「虚すればその母を補い実すればその子を瀉せ、虚せず実せずんば経を持ってこれをとれ」

日頃、経絡治療の基本的な型は六十九難に添って治療していきます。
例、「虚すればその母を補い」で肝虚なら「木」の母、「水」になります
「実すればその子を瀉せ、」
肝虚なら「木」の子、「火」になります
これらはそれぞれ前者が「虚邪」、後者が「実邪」で分類できます。
ではその続きの「虚せず実せずんば経をもってこれをとれ」はどう考えるかと言いますと、「虚邪」でも「実邪」でもなく「正邪」によって虚した時はその「経」そのものを治療しなさいとなります。
普段、虚と実の原因が「暑邪や湿邪」で肝が虚せば先程の基本的な治療をしますが、もし「風邪=正邪」によって虚した時は虚した経=肝経そのものを治療します
この場合、「大敦」を使用します。

七十五難の「脾虚腎虚証」
腎は[津液・陽気(命門)]は過度の肉体労働や房事過多により腎虚になります。
腎虚になると「虚熱」が発生します。
虚熱が「脾」にいくとその熱は表裏関係でもある「胃」にいきます。
「胃」に熱がいくと食欲が亢進します
そうする「脾・胃」に負担がかかり糖尿病の原因ににります。
腎がしっかりしていれば脾・胃で「気血津液」がしっかり作られます。
そうすると身体全身にしっかりと巡ります。
脾虚腎虚では「腎と脾」の脈が同時に虚しています。

「肝虚脾実証」
これは冬の間に無理をしすぎた際に[命門・津液]が虚した為に、暖かい春の時期になっても陽を「発散」する事ができない為に起こります。
本来なら春になれば春は陽がでてくる時期なので内から外にでていきます
しかし、冬に無理をした為に陽が外にでる前に「停滞」します
その為、発熱(この場合、悪寒はなし)します。これを「温病」と言います。
症状は「喉痛」が代表的です
腎の虚熱が喉で停滞する為に起きます
熱が酷くなると耳下線や陽明経まで熱がきて、耳下線を触れてみると熱い事がわかります
また、咳もでます
これらの症状は夜になると特に酷くなります
腹症では本来の肝虚熱症の場合の胸脇苦満は右脇付近に[圧痛+抵抗]とでます
しかし、今回の場合は[圧痛]のみで抵抗はみられません。

「肺虚肝実証」[陰実証]
この脈は軽按重按の際に「肝・心」は強いです
腎や肺の虚がわかりにくいです
イメージとしては逆三角形になります
この症は大まかに2つのタイプ(熱症と肝鬱)で分けることが考えられます。
肝・胆の脈を押さえた時に軽く触れただけで胆の脈が分かるのが正常ですが、肝実では軽く触れただけでもわかりそれをさらに重按するとより強く抵抗がある状態を「肝実熱症」と考えます。

これが左の関状の「胆」が全くわからず重按して「肝」が強い場合は沈んでて実と考えられます。
これは水やオ瘀血が原因です
この状態を「肝鬱」と考えられます。
瘀血は脈内で「血」が固まって発散できなくなり、肝の状態でもしこれが見られれば重症と考えられます。
この状態の方はお酒好きな方に特に多いです。
また腹症では胸協苦満や水の停滞により圧痛がなくて胸下辺りの痛み(胸下硬)やお臍の下に硬い抵抗がみられりします。
お臍の硬い抵抗は不妊症に関連してきます。
この硬さは「灸頭鍼」を用いないととれにくいです。
また胆経が凄く張ることによる腰痛症などもみられます。

今回のお話はとても難しいですが、日頃、教科書に記載されて以内、池田先生の臨床を交えてのお話でしたので、聞いていてとても面白くて勉強になりました。
特に小児喘息で多い「肝虚肺実」の子を中封の補法の1穴でピタリと収まったお話や筋肉のひきつりや顔面神経麻痺を大敦1穴でピタリと治ってしまったのは凄いですし鍼灸の面白さだと思います。
最後に最近の鍼灸師は触りかたから何まで下手くそだと述べていました。
肺虚肝実の「行間」を輸瀉のつもりが瀉法に働いたり、復溜を補法したはずが、瀉法になったり他にも触りかた1つで瀉に働いたりすると言ってました。
まだまだ未熟な僕自身が当てはまる事もあり、日々の丁寧な鍼灸を心掛ける事が大事だと思いました。


以上で本日のレポートを終了します。

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