見出し画像

コタツがない家第9話|悠作が羨ましい

 コタツがない家第9話。
私がまたまた共感してしまったのは、漫画家のダメ夫・悠作が離婚したいと言っているのに妻・万里江は離婚に納得していない、その騒動の終盤だった。

悠作が離婚を訴えるときに、
"だからなにもしてませんよ?"
とダメさをアピった時、息子が
"何にもしないって逆に難しいよ?"
といい、万里江も
"そーなのよ!そんな風に振る舞えるのはこの世で悠作しかいないのよ〜"
と言った。

私も数年前にこのことに気づいた。
"何もしないこと"をするのは難しいらしいと。

 就職活動をはじめ様々な場面での自己分析や自己紹介の際に直面してきた、“自分には何もない“という感覚や“なにもしていない“という事実に悩んでいた時期があった。

でも一般的な人間は、生きていたら何かしらをしているようなのだ。
周りの同級生や同僚、みんなそれぞれの歴史があって、人間関係のいざこざとか何かに打ち込んだとか恋愛に必死だとか何かしらの過去があって、自分みたいに何もしてない人間に出会ったことはないし、こんな人間っていないのだろうって思っていた。

 ある日、書店で時間の使い方が書いてある本を立ち読みをしていた時、その本に「何もしない時間があってもいい」みたいなことが書いてあった。
人は何かしなきゃと思いがちだけど何もしなくてもいいんやで的なことが書いてあって、
あー、一般的な人間は何もしないこと自体頭にないくらい何かしてるんだな。って思った。

自分にとって自然にやってしまっていることだから、わざわざ書いてあることの方に驚いたのを覚えている。

 あと、誰かの名言をまとめたSNSで「なにもしないことはいちばんの贅沢である」という言葉を見たこともある。

自分のやってることは贅沢なんだって、ちょっと悲しい気持ちになったこともある。

 そんな風になにもしていない人間だと自分のことを思って生きてきていたので、今回悠作が息子に言われた“なにもしないことは逆に難しい“ってことも、
あ〜、そうらしいな。
って思ったし、妻・万里江が
"それがあなたと離婚したくない理由なの。"
と言ったことはすごく羨ましかった。

そんな風に思ってくれる人と家族になれるって奇跡だよなーって、悠作を羨ましく思った。


 ダメ夫とかダメ男とかはよく聞くのにダメ女はどうしてきかないのだろう?とふと思う。
こんな私でも家族になってくれる人と出会えることを祈るばかりだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?