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最後のお買い得品の行方

 こんな問題解決の例を聞いたことがあります。


夕方、スーパーへ買い物に行った際にお買い得品が最後の1つでした。
AさんとBさんがほぼ同時にその商品に手を差し伸べました。
Aさんは、「私が0コンマ1秒早く手を出したから私のものだ。」
Bさんは、「私が0コンマ01秒早く手をだしたから私のものだ。」

このような思考をしている場合、この商品争奪戦は解決するでしょうか?

背景を知ることで問題解決をする

案の定、AさんとBさんは言い争いをすることになるでしょう。

「私が先だ。0コンマ1秒早かったからだ。」
「いや、私が先だ。なぜならば0コンマ01秒早かったからだ。」

客観的な測定値のない中、速さだけではお互いが主張するだけとなります。
これは、お仕事や、ネット上の論争の中でもよくある状況ではないでしょうか。
目の前の事実だけに囚われて、そこに対するアプローチだけで解決しようとするとすぐさま喧嘩になるのではないでしょうか。

経営相談をお受けしているときも、わかるわからない、主観で質問してくる方がいますが、背景を説明することで納得いただくことがあります。

相談者:「行政の申請手順って面倒ですよね。」
回答:「税金を投じているので、公平性が必要ですよね。もし逆の立場でいい加減なチェックでサービスを受けている人を見たら、何なの?と思いますよね?」

この問で大方の人は、ご納得いただけます。決まりだから、手順だからと説明したとすると、手順を変えろ!非効率だ!などとの反論もありえます。
相手の立場に置き換えるとスムーズなご案内となります。

話を最初のAさん、Bさんに戻します。

ほぼ同時に商品に手を差し伸べたのは事実でお互いその認識はあります。

まずは、事実の相互確認が必要です。
Aさん「あ、同時に手を伸ばしてしまいましたね」
Bさん「そうですね。」

次に理由を確認します。
Aさん「私、この商品を食べるのが毎日の楽しみなんです。」
Bさん「そうですか、私は自分では食べないのですが、半年ぶりに病気がちの父に差し入れしようと思っていたものですから。」

背景を理解して解決に向かいます。
Aさん「そうでしたか。私は明日早めに来れば買えますので、お父さんに差し入れてください。」
Bさん「ありがとうございます。助かります。」
Aさん「よかったです。ごきげんよう。」

現実世界でこのようにきれいにいくことは稀だと思いますし、もしかしたら嘘かもしれません。でも背景を相互理解することで、お互い気分良くその場を後にできますね。
物事をお願いするときに背景や目的も添えるとスムーズにことが運びます。

最後のお買い得品の行方は、相互に納得した価値のある方へ行った というお話でした。

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