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「コロナワクチン戦略は「被害抑制」への転換点に」

TONOZUKAです。


コロナワクチン戦略は「被害抑制」への転換点に

以下引用

2022年5月24日から日本でも新型コロナワクチンの4回目接種がスタートした。60歳以上と18歳以上60歳未満の基礎疾患のある人、その他重症化リスクの高い人が対象だ。3回目までは発症予防重症化予防の両方を期待するものだったが、4回目からは重症化予防のみとなり、現行のコロナワクチン戦略は大きな転換点を迎えた。

 まず、日本における新型コロナワクチンの効果を見ておきたい。

 発症予防の有効性は、長崎大学熱帯医学研究所が実施している「新型コロナワクチンの有効性に関する研究~国内多施設共同症例対象研究~」で明らかになった。結果は、第5報として、2022年6月8日に開かれた厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告された。長崎大学熱帯医学研究所は、2021年7月1日から同研究に着手。今回の第5報では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株であるオミクロン株(B.1.1.529系統)の流行が全国規模で拡大していた2022年1月1日から3月31日を対象に、新型コロナウイルスの検査を受けた患者データを用いて、16歳以上におけるワクチン(mRNAワクチン)の有効性を評価した。

 第5報の最大の特徴は、症例数が増えたことによって、これまでできていなかった65歳以上についても有効性の評価が可能となった点だ。その65歳以上の結果は、以下のようになっている。

 ファイザー社製新型コロナワクチンあるいはモデルナ社製新型コロナワクチンのいずれかを2回接種した場合、接種後14日以上経過時点の発症予防の有効性は23.3%となった。また、3回接種完了の場合は80.5%だった。なお、ファイザー社製のワクチンに限って解析した結果は、2回接種完了で43.2%、3回接種完了で78.8%だった。また、1、2回目がファイザー社製、3回目がモデルナ社製のワクチンだった場合は、77.9%と推定された(表1)。

 どのワクチンであっても、3回接種が完了していれば、77.9~80.5%という高い発症予防効果が期待できるという結果だった。

一方の16~64歳では、ファイザー社製新型コロナワクチンあるいはモデルナ社製新型コロナワクチンのいずれかを2回接種した場合、接種後14日以上経過時点の発症予防の有効性は36.0%となった。3回接種後14日以上経過の時点では、68.7%と上昇していた。ファイザー社製ワクチンに限った解析では、2回接種完了で34.2%、3回接種完了で66.1%だった。一方、モデルナ社製ワクチンに限った解析では、2回接種完了で43.3%、3回接種完了で75.8%だった。また、1、2回目がファイザー社製、3回目がモデルナ社製のワクチンだった場合は、81.7%という結果だった。

 また、16~64歳については、2回接種完了からの経過時間で有効性の低下があるかどうかも検討。その結果、90日以内が35.6%、91~180日が34.5%、181日以降が34.8%と、時間経過による有効性の明らかな低下は見られなかった。

 以上の結果から長崎大学熱帯医学研究所は、「65歳以上を含む16歳以上では、オミクロン株に対しては、2回目接種の発症予防の有効性はデルタ株流行期と比較して低下を認めるが、3回目接種によってオミクロン株に対しても発症予防の有効性が上昇することを確認した」と結論している。

感染抑制から被害抑制へ戦略転換

 本報告の最大のポイントは、3回目の接種によってオミクロン株に対しても発症予防の有効性が上昇した点だろう。海外からの報告では、3回目接種による発症予防の有効性は65~75%(英国)や67.3%(米国)と推定されている。日本でもほぼ同等の結果だったことは、国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策において、現行のコロナワクチンが有効な対策の柱だったことを再認識させる。

 ただ、足元では地域格差という課題が存在する。6月16日公表時点で、日本国内で3回接種を完了した人は60.8%(政府公表)まできている(うち65歳以上は89.5%)。だが、6月16日公表時点で、沖縄県が44.8%、大阪府が53.6%、京都府が57.1%、愛知県が57.5%、福岡県が57.6%、兵庫県が57.7%などと、まだ十分とは言えない自治体も少なくない。こうした地域でのワクチン接種率を、いかに速やかに上げていくかが目下の課題となっている。

 一方で、3回接種の発症予防効果がいつまで続くのかという根本的な問題がある。英国健康安全保障庁(UKHSA)によると、3回目接種から15週後以降の発症予防効果は、オミクロン株BA.1系統で45.5%、BA.2系統で48.4%と減衰していた。また、4回目については、60歳以上で検討したイスラエルからの報告がある(N Engl J Med 2022; 386:1603-14.)。それによると、4回接種後7~30日では3回接種に対する相対的発症予防効果は55%だった。つまり、3回目接種の発症予防効果は数カ月で減衰しており、それを補うための4回目接種の発症予防効果は限定的と言えるわけだ。

 注目すべきは、重症化予防効果(入院予防効果)が数カ月経っても維持されている点だ。UKHSA の報告では、3回目接種70日後以降でもBA.1系統で72.5%、BA.2系統で70%と高率だった。加えて、前述のイスラエルの検討では、60歳以上の場合、4回接種後7~30日でも3回接種に対する相対的重症化予防効果は68%を保っている。

一方の16~64歳では、ファイザー社製新型コロナワクチンあるいはモデルナ社製新型コロナワクチンのいずれかを2回接種した場合、接種後14日以上経過時点の発症予防の有効性は36.0%となった。3回接種後14日以上経過の時点では、68.7%と上昇していた。ファイザー社製ワクチンに限った解析では、2回接種完了で34.2%、3回接種完了で66.1%だった。一方、モデルナ社製ワクチンに限った解析では、2回接種完了で43.3%、3回接種完了で75.8%だった。また、1、2回目がファイザー社製、3回目がモデルナ社製のワクチンだった場合は、81.7%という結果だった。

 また、16~64歳については、2回接種完了からの経過時間で有効性の低下があるかどうかも検討。その結果、90日以内が35.6%、91~180日が34.5%、181日以降が34.8%と、時間経過による有効性の明らかな低下は見られなかった。

 以上の結果から長崎大学熱帯医学研究所は、「65歳以上を含む16歳以上では、オミクロン株に対しては、2回目接種の発症予防の有効性はデルタ株流行期と比較して低下を認めるが、3回目接種によってオミクロン株に対しても発症予防の有効性が上昇することを確認した」と結論している。

感染抑制から被害抑制へ戦略転換

 本報告の最大のポイントは、3回目の接種によってオミクロン株に対しても発症予防の有効性が上昇した点だろう。海外からの報告では、3回目接種による発症予防の有効性は65~75%(英国)や67.3%(米国)と推定されている。日本でもほぼ同等の結果だったことは、国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策において、現行のコロナワクチンが有効な対策の柱だったことを再認識させる。

 ただ、足元では地域格差という課題が存在する。6月16日公表時点で、日本国内で3回接種を完了した人は60.8%(政府公表)まできている(うち65歳以上は89.5%)。だが、6月16日公表時点で、沖縄県が44.8%、大阪府が53.6%、京都府が57.1%、愛知県が57.5%、福岡県が57.6%、兵庫県が57.7%などと、まだ十分とは言えない自治体も少なくない。こうした地域でのワクチン接種率を、いかに速やかに上げていくかが目下の課題となっている。

 一方で、3回接種の発症予防効果がいつまで続くのかという根本的な問題がある。英国健康安全保障庁(UKHSA)によると、3回目接種から15週後以降の発症予防効果は、オミクロン株BA.1系統で45.5%、BA.2系統で48.4%と減衰していた。また、4回目については、60歳以上で検討したイスラエルからの報告がある(N Engl J Med 2022; 386:1603-14.)。それによると、4回接種後7~30日では3回接種に対する相対的発症予防効果は55%だった。つまり、3回目接種の発症予防効果は数カ月で減衰しており、それを補うための4回目接種の発症予防効果は限定的と言えるわけだ。

 注目すべきは、重症化予防効果(入院予防効果)が数カ月経っても維持されている点だ。UKHSA の報告では、3回目接種70日後以降でもBA.1系統で72.5%、BA.2系統で70%と高率だった。加えて、前述のイスラエルの検討では、60歳以上の場合、4回接種後7~30日でも3回接種に対する相対的重症化予防効果は68%を保っている。

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