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帽子収集狂事件 20枚シナリオ 「帽子」

箱書き

20枚シナリオ 帽子 「帽子収集狂事件」

題名はカーの代表作から。不思議の国のアリスの登場人物を着想としたこのミステリー。The Mad Hatter Mystery と言う原題も美しい。(カーの作品では個人的には"連続殺人事件"が一番好き。萩尾望都の絵で読みたい!!)

今回もカットバックの練習回
カットバックでバックステージ 面会室→モニター室→捜査一課対策本部
カットバックで時間経過 Fと九部の初シーン→モニター室→Fが九部追いつめている。
パンチをきかす 九部=CUBEの変身シーン バックドラフトの放火魔の仮釈放委員会のシーンが好きで意識しました。(全然違うけど)
パンチをきかす それぞれの柱で動と静が来るようにしています。
カットバック多すぎでごちゃごちゃした映像になるけど、まぁ練習、練習。
・・・・・・中2病全開のセリフ群・・・・・・黒歴史 _| ̄|○

課題3 帽子

帽子収集狂事件

中村 ヘブン


【人物表】

F (82)隻眼車椅子の犯罪研究家
静寂(しじま)明日香(32)警部補
新納(にいろ)奏多(28)警部補 明日香の部下

九部一郎(38)帽子収集狂と呼ばれる連続殺人犯
ⅭUBE(38)九部一郎の別人格

郷田剛士(52)捜査第一係長 明日香の上司
宮部俊樹(52)捜査第一課長

刑事A
看守A
看守B
看守C

○東京拘置所・夕
雨の降る東京拘置所の前に報道のカメラマンたちが並んでいる。

○同・面会室
中央に通声穴が開いた、大きな強化ガラスで仕切られた部屋。
腰を椅子に繋がれた九部一郎(38)が肩を狭め太ももの下に手を入れて椅子に座っている。
強化ガラスを挟むように20代にみえる女性で右目眼帯、頬に傷跡のあるF(82)が車椅子に座っている。
Fがカバンから黒いゴシック調のハットを取り出しかぶる。
九部が目を見開く。
Fの背後の天井角に監視カメラがある。

○同・モニター室
ヘッドセットをつけた静寂(しじま)明日香(32)が机の上に座り、その向かいに新納(にいろ)奏多(28)が椅子に座って共にモニターを見ている。
新納「九部は吐きますかね」
明日香「一貫して黙秘を続けているが、奴のリクエストだからな」
新納「Fと合わせろ、ですか?何者ですか?
明日香「新納は初めてだったな」
新納「はい。ぞっとするような美人ですね」
明日香「堕ちた天使だ」
新納「えっ?」
明日香「あの女の呼び名の一つだよ」
モニターを見ている二人の背中。モニターにはFがゴシック風のハットをかぶっているところが見える。
明日香「デザイナーベビーだよ、高級娼婦のな」
新納「デザイナーベビーですか?」
明日香「男を狂わせる美貌、知性、そしてアンチエイジング。遺伝子操作の生み出した魔女だよ」
新納「アンチエイジング?」
振り向く新納を見つめる明日香。

○同・面会室前廊下
防護マスクとプロテクターをつけた看守ABCが座っている。

○同・面会室
Fが九部をにらんでいる。
明日香の声「Fは82才だ」
Fの吐息が強化ガラスの通声穴から九部の方に漏れている。
九部が顔中から汗を流し、Fから目をそらし、また見る。
F「あなたのお母様も帽子が似合う人だったようですね?」
九部が苦しそうにFを見る。
九部「やめろ、やめてくれ」
F「あなたは帽子が似合う人を見るとどうするのですか?」
九部、頭を掻きむしり、
九部「やめろー」
九部のいる方の部屋の蛍光灯が爆発するように砕け散る。

○同・モニター室
新納(にいろ)が椅子を倒しながら立ち上がり、部屋を出ようとする。
明日香がモニターを見ながら手を伸ばし叫ぶ。
明日香「待て!」
モニターを食い入るように見ながら、
明日香「それに、ガスマスクを着けていないからダメだ」
壁にかけてあるガスマスク。
椅子を戻し座る新納。

○同・面会室
静まり返る面会室。額から汗を流したFが強化ガラスの向こう側を見る。
明かりが九部の足だけを照らし、表情は見えない。
九部が足を組むのが見える。
九部「ふう」
九部が膝の上で手を組むのが見える。
九部「初めましてかな?」
九部を見つめるF。
F「あなたはだれ?」
九部「私がCUBEだ」
暗闇の中で光るCUBEの目。

○同・モニター室
モニターを見つめる明日香と新納の横顔。
明日香、ヘッドセットのボタンを押す。
明日香「先輩、見てますか」

○警視庁・夜
警視庁に雨が降っている。

○警視庁・捜査本部室内(夜)
ホワイトボードには被害者の首から上が無い遺体の写真が7,8枚張られている。モニター画面の東京拘置所の面会室を数十人の刑事が食いつくように見ている。
郷田剛士(52)がヘッドセットに答える。
郷田「ああ、見えてる」
腕を組んでモニターを睨んでいた宮部俊樹(52)が郷田の方を見てうなづく。
郷田「計画通り何かあったら突入しろ」
額の汗をぬぐう郷田。

○東京拘置所・面会室
FとCUBEが向かい合ってすわっている。
CUBE「お前がFか」
F「そうよ」
CUBE「F。フィメールNo66、隻眼、スカーフェイス。青髭にでも買われたか?」
目をそらすF。
CUBE「生ける伝説だな。何才だ」
F「82才よ」
CUBE「現代の八百比丘尼だな、遺伝子操作の傑作、いやイレギュラーか」
FがCUBEをにらむ。
F「私を呼んだわね、情報をわたしなさい」
CUBE、顎に手を当てる。
CUBE「ふむ、犬にもエサは必要か。35  28  1.08  138  37  45.20」

○同・モニター室
明日香、机から立ち上がり、ヘッドセットのボタンを押し怒鳴る。
明日香「おいっ、聴こえているな!」

○警視庁・捜査本部室内(夜)
宮部、記録係の方を見て、
宮部「記録はそのまま続けろ」
宮部、メモ用紙に数字を書き込み
宮部「この数字の座標を調べろ、あたりのマップもだ」
一斉に動き出す捜査本部。
宮部、郷田に向かって
宮部「郷田係長、静寂警部補にFへもっと情報を引き出せるか伝えてくれ」
ヘッドセットに手をあてたままうなづく郷田。
パソコンの前の刑事Aが宮部に向かい
刑事A「課長、座標が割れました、青木ヶ原樹海です」
宮部、机の上の電話帳を開き電話機を近くに寄せる。
郷田、ヘッドセットに向かって
郷田「明日香、Fへもう少し揺さぶれと伝えてくれ」

○東京拘置所・モニター室
明日香、ヘッドセットから手を放す。
明日香「無茶を言う。」
モニターの中で対峙するFとCUBE。

○同・面会室
にらみ合っているFとCUBE
F「その視線、不快だわ」
F、吐息を静かに通声穴に吹きかける。
F「獲物を見る目で私をみているわ」
CUBE、体を前かがみにして。
CUBE「その帽子を飾るにふさわしい美貌、切り裂きたくなるよ、首を」
CUBE、急に眉をしかめて
CUBE「なんだ、この香りは」
F、車椅子の肘当てをつかむ。
CUBE「心拍数が上がっている、何をした」
F、額から汗を流し口角を上げる。車椅子の車輪をもって後ろに下がろうとする。
CUBE「くっ」
CUBEが立ち上がり甲高い声で叫ぶ。椅子に縛られていたCUBEの腰ひもがほどけている。
強化ガラスが振動で割れる。監視カメラのガラスも割れる。

○同・モニター室
緊急放送用のマイクのボタンを明日香叩きつけ
明日香「突撃、突撃!九部を確保せよ」

○同・面会室前廊下
看守ABCがドアを開け面会室に突入する。

○同・モニター室
明日香、椅子を蹴飛ばしながら
明日香「新納、いくぞ」
拳銃をまさぐりながら扉に向かって走る明日香。
防護マスクを取ってついていく新納。

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