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フェロケルの危険性

こんにちは。分子栄養学を勉強中のKinnyです。

今回は、鉄剤フェロケルの危険性について学習したので報告します。

■ 背景

私は、悪性貧血による希死念慮が分子栄養学のことはじめ、でした。

ベジタリアン歴30年、ヴィーガン化して4年で、教科書のごとく、B12欠乏に。きちんとベジタリアン用のニュートリッショナルイーストなどは摂っていたにも、関わらず。

B12と葉酸の欠乏があると、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)になります。

それよりずっと以前から、悩みだったのが、鉄不足です。

現代日本女性で、鉄が不足していない人はいないのではないか?ってくらい、ありふれた症状ですよね。

■ オーソモレキュラーの考え方

1)そもそも、鉄が人体にどれくらい必要か?
2)鉄は、どういう代謝を経て、人体に吸収されるのか?

という代謝経路を確認し、もっとも効果的かつ適切な方法で、過不足のアンバランスを発見し、取り除く手法を取るのが、分子栄養学の考え方です。

鉄は人体に約1gあり、血中鉄が足りていても、貯蔵鉄がない(フェリチン低値)状態では、鬱症状がでます。

鉄は、過剰症が知られ、摂取が難しい栄養素の一つです。

■ ビタミンAやDは過剰症が恐れられているのに、鉄は過剰症について強調されていない

鉄の過剰症の問題点の一つは、鉄が病原菌やがん細胞のエサになることです。

腸内環境が悪い人に鉄剤を与えてしまうと、腸内の悪玉菌のエサになってしまうので、腸内環境が悪い人には、

 ラクトフェリンを追加

して、鉄を与えるか、鉄剤以外の方法で鉄を増やす、ということになります。

鉄過剰症を引き起こすのが、標題のフェロケルです。フェロケルは、キレート鉄の商品名で、iHerbでも購入できます。ナウフーズの製品など、日本の人にもおなじみのブランドで、手に入りやすいです。

一般に鉄は小腸の柔毛の突起部分で吸収され、過剰になると、柔毛の細胞そのものを便に捨てることで、過剰症を防いでいます。

しかし、このキレート鉄は、アミノ酸にキレートされているため、吸収する機序が違い、小腸の柔毛の突起部分ではなく、根元で吸収されるので、特別に吸収が良く、過剰症を防げない、ということになってしまいます。

人体に1gの鉄が必要だとすると、人体はそれ以上入ってきたら、捨てるようにするはずなのですが、捨てないで、貯まり続けるということです。

結果、貯蔵鉄のフェリチンの値が、2800などの異常値を示すようになるそうです。そうなると、最終的には、瀉血などの手段によって鉄を体から抜かなくてはならなくなります。

一般にフェリチンは、女性100程度、男性でも150程度で充足です。
それで、人体に必要な1gの体内鉄は満たされた、と考えるのが、妥当なライン。もちろん、並外れた巨体の人だったら必要量は、違うかもしれないのですが。

私は、フェリチン26.1で希死念慮が起こり、鉄剤を取らない状態で、分子栄養学による、たんぱく質強化とB群の補給で、47.6まで上がり、鬱症状は消えました。

46.7だと、男性ならば、まだ鬱症状が起こりうる値かもしれません。私もロッククライミングやアシュタンガヨガなどの強度の強いヨガをしていたこともあり、運動強度が一般の人より強めだったので、鉄の消耗が激しかったものと思われ、その手当が不十分だったと思います。

一方、短絡的に、フェリチンの値だけを見ると、キレート鉄で、フェリチンの値は、一気に改善します。

しかし、その鉄が、体内でもともと存在している鉄の代謝経路を通らなかったら、排泄するには、瀉血が必要なほどのことになってしまうのです。

何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、とはこのことです。

ネットの書き込みでは、フェロケルで、ムード(気分の浮き沈み)が、良くなっている方も中にはいらっしゃいますので、一概には言えないと思いますが、充足したら当然鬱症状は消えますので、そこでやめてみるのも一つの手ですし、使えない体内鉄でセロトニン等の脳内の神経物質が作られるというのは考えにくいのではないかと思うので、もしかすると、プラセボ効果かもしれません。精神症状のため、手放せないとなると、排泄機構が働いていない以上、過剰症が問題にあがります。

もともと、ヘム鉄・非ヘム鉄でも、鉄は過剰になれば対外に出ていきます。

その機構が働かないということが大きな問題です。

ガン細胞のエサは鉄、ということで、ガンになると血中鉄が下がるのは、がん細胞に鉄を送らないためです。そのような人体の機構から考えて、過剰な鉄は、貧血と同じくらい、リスクが高い、ということになります。

余談ですが、このキレート鉄、フェロケルの問題をとらえて、海外のサプリは危険だ、とする意見も拝見します。しかし、海外製の一つの商品が危険だからと言って、すべての海外サプリがダメである、というのは、一般化しすぎです。

実際のところ、日本の医療業界は、決して情報は早くないです。

私自身、歯科医療機器の営業、脊椎外科の医療翻訳の仕事の経験がありますが、どちらの分野でも、日本の一般的な医療は、トップクラスと言うわけではなかったです。それは日本人の、長いものに巻かれるという体質から考えても、容易に想像できることではないでしょうか?

サプリの面でも、その現象が起きていないはずはなく、実際は、ドラッグストアレベルの基本ビタミン、ミネラルのサプリの内容を見て見ると、やはり日本の製品のほうが劣り、その程度の含有量では、ほとんど効果が発揮できないのではないか?と思われることの方が多いです。

一方で、効果を針小棒大に宣伝しているハーブ系の特殊なサプリが日本では高額で売られ、あたかも特効薬のようにあがめられていて、消費者は、ぼったくられています。これも、一般市民の医学の知識不足のためです。症状から判断すると、普通に考えられる人には本末転倒、と言えます。

鉄剤については、Youtubeでは、キレート鉄押しが多く、フェロケルの危険性を指摘したサイトはほとんどなく、根拠が科学的に解説されていないことが多いので、多数決を採用すると、間違った結論に導かれてしまいます。

■ まとめ
 
鉄は、取り扱いが難しいサプリです。

選択するならば、ヘム鉄を選び、即効性というより、吸収阻害要因であるカフェインとの干渉を避け、ビタミンCと一緒に一日一回取りましょう。

そして、悪玉菌に鉄を渡して増殖させないため、基本的な腸内環境の改善も忘れずに。

鉄が充足したサインは腸内のガスです。臭くないガスが出てら、そこが吸収力の限界ですので、それ以上摂らないようにしましょう。

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