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本制作未経験の転勤族の妻11人で本を出版してみた。

え!この本って本の執筆・出版未経験の人たちが作ったんですか?しかも共著で?!

今回の本出版に関して、様々な方から質問される機会がありましたが、これが一番驚かれるポイントです。


2024年2月28日、2022年12月から1年以上かけて転勤族の妻のためのキャリアコミュニティkinocomの有志11名で取り組んできた「転勤妻サポートBOOK」がついに出版となりました!

実はこの本の著者は全員、本の執筆・出版の経験ゼロ。
そしてプロの編集者でも難しいと言われる、共著(二人以上が共同で書物を書きあらわすこと)で制作しました。

そんな「転勤族サポートBOOK」が出来上がるまでの長い道のりやぶつかった数々の壁について、振り返ってみようと思います。


きっかけは「みんなで何かやりませんか?」という漠然とした一言

「この本を作ろうと思ったきっかけは何ですか?」

この本について取材される際に、記者の方に必ず聞かれる質問の一つです。
実はこの本を作るきっかけとなったのは、kinocom代表、そう私のこんな漠然とした一言から始まったのです。

今見ても本当に漠然としている…笑

実は2022年にkinocomの駐在部で「転勤族の妻による転勤族の妻のためのライフキャリアプログラム(自己理解プログラム)」を制作していました。

その取り組みを見て、何名かのメンバーから「楽しそうだから私もみんなと何か一緒にやりたい!」という声をいただいていました。

その声を元に、本当に何をやるか決めず、「何かやりたい人!」という漠然とした私の声かけにより、なんと13名もの方が興味を持ってくださったんです。(こんな適当人間の言葉にリアクションしてくださるメンバーがいてくれること自体ありがたい……泣)

始まりはみんなで何かやること以外、何も決まっていない状態からのスタートでした。

初回MTG後の1枚

Kindle本制作という方向性が決まる

そして始まった新プロジェクトMTG。
みんなでさまざまなアイデアをブレストした結果、下記の4つの方向性に絞られました。

①もっと転勤生活を不安なくハッピーに送れるような、辞書的コンテンツ
②転妻キャリアフェス
③自己理解のさらにその先のキャリアサポートプログラム(転職やフリーランスなどの支援)
④転勤族お悩みコンシェルジュサービス

オンライン秘書のまなこさんが自主的にまとめてくれたマインドマップ

さらにこの時から、何をやるにしてもクラウドファンディングとセットでチャレンジしたい!ということは話し合っていました。

そして3度目のMTGにて、一人一人の意志を確認した結果、「Kindle本出版+クラファン」という方向性に決定しました。

整理収納アドバイザーのなおさんが自主的に調べてまとめてくれたKindle出版までの5STEP

まずは届けたい相手を決める

Kindle本出版という方向性が決まり、最初に私たちが取り組んだことは、届けたい相手を決めること。
ざっくりと転勤族の妻の方々に届けたいということは決まっていましたが、同じ転勤族とはいえさまざまな境遇の方がいるため、誰に届けたいのか一人一人の意見を出し合いました。

みんなのペルソナシート

いや〜もうここからずっと大変。(泣)
10名近いメンバーの意見を一つにまとめるのはとても難しかったです。

最終的には、数ある届けたい人の中でも一番困っている人は誰だろう?という視点で、「転勤族のパートナーと結婚したばかりの女性」という結論に至りました。具体的な人物像は下記のとおりです。

塾講師Rikaさんがまとめてくれたペルソナ

転勤生活全体の悩みを網羅できる本にしたい

無事届けたい相手が決まり、いよいよ本の中身を考えるフェーズへ。
Kindle本制作を決めた裏側には、「転勤生活をよりHappyに送れるような、辞書的コンテンツを作りたい」という想いがありました。
そのため、本の中身は転勤生活のあらゆる悩み(仕事・学び・家族・人気関係・お金・住まいなど)を網羅できる内容にすることに決定。

kinocomにはあらゆる分野を専門的にお仕事にしたり、学んだり、人よりも多く考え行動してきたメンバーがいました。
そのため実際の執筆は、メンバーそれぞれの得意な分野に分かれて書くことに。
各分野の担当者ごとに必要なテーマを洗い出し、目次を決めました。

執筆役割分担表

75名の転妻・駐妻さんにアンケートを実施

転勤生活の各分野において、得意なメンバーが執筆することは決まったものの、メンバーだけでは補えない経験談やノウハウも盛り込みたいという話になりました。
そのため下記のようなアンケートをSNSを使って実施することに。

実施したアンケート

中身は全18問で自由記述欄も多く、所要時間も10分ほどかかる重めのアンケートでした。
そのためアンケート開始前は「正直、回答数は集まらないかもしれないな〜」という諦めの気持ちが少しありました。

ただ実際、蓋を開けてみると……なんと75名もの方が回答してくださったんです(回答いただいた皆さま、ありがとうございました!泣)
この時、たくさんの方がこのアンケートに協力してくださったことが、メンバー全員の身を引き締めるきっかけになりました。

9名共著の難しさ

9名で担当を分けて本を書くとなると、文章の書き方のルールを統一しなければ、1つの本として違和感のあるものになってしまうことは、当初からメンバー全員が恐れていたことでした。
ただ何度もお伝えしている通り、メンバーの中に編集や出版の経験者はゼロ。
そのため、共著の場合どうやって書けばいいのか、いまいちイメージがつかず、まずは大枠の流れだけ決めて一人一つテーマを設けて文章を書いてみよう!ということになりました。

ライターのゆうきさんが作ってくれたライティングの基本ルール

後日、出来上がった文章を見せ合ってみると……
予想通り、一人一人全く書き方が違う。笑

全体の文字量、カジュアルor硬めな印象、見出しの数や書き方、漢字とひらがな表記、「、」「・」「……」の使い方など挙げ出したらキリがないほど、一人一人の書き方が異なるのです。(この時点でメンバー全員軽く絶望)

執筆経験のない9名の書き方を初稿段階で揃えるのは無理だと判断し、まずは自由に書いて全ての文章が揃った後、校正担当が全体の書き方を統一する方向性に決まりました。

モチベーションが下がり始める

この時点でKindle出版プロジェクトが始まってから半年もの月日が経過していました。
誰でも何かを始める時が一番モチベーション高く、だんだん月日が流れていくにつれてモチベーションが下がっていくのは、あるあるなんじゃないでしょうか?そのあるあるの事態がもれなくこのプロジェクトにも起きていました。

人によって変わるMTG出欠率やタスク量、ライフイベントの変化によって起きる優先順位の変化、完成する気がしない本制作……。

さらにモチベーションを下げる要因となっていたのが、このプロジェクトは仕事ではないということ。
仕事であれば給料や報酬をもらっている以上、どんなにモチベーションが下がっていてもやるべきことはやろうと思う人は多いはずです。

ただこのプロジェクトは決して報酬が発生するものではなく、あくまでの有志のプロボノ・ボランティア活動であること。
やってもやらなくてもよい状況下で、モチベーションが下がるのは致し方ないと思います。

ただ実施したアンケートにはすでにたくさんの方が回答してくださっていました。
そんな方々の期待に応えるべく、どうやったらみんなのモチベーションを上げて、またチーム一丸となってこのプロジェクトを進められるかを私なりに考えていました。

また本音としてみんなはこのプロジェクトのことをどう思っているのか聞きたいと思い、16Personalitiesという性格診断ツールを使ってお互いのことを知る会を実施しました。

自分なりに勇気を出して呼びかけました

この会を実施することによって、一人一人の特性や現状、気持ちが分かるようになり、チームとしてプロジェクトを進めやすくなった印象があります。

校正チームとデザインチームに分かれて作業開始

結果的に全ての文章を全員が書き始めてから書き終えるまで、約3ヶ月かかりました。
全ての文章が出揃った後、校正チームとデザインチームに分かれた作業がスタート。

校正チームはひたすらバラバラの文章の方向性を統一する作業へ。
一つの記事に対して、複数名の視点で修正しながら、最終的には全て通して読んだ時に違和感がないかどうかチェック。
当初は「全部通しで読むとなんか気持ち悪い」と思ってしまったほどの出来でした。
そんな状態から、校正メンバーが何度も何度も読んでは修正を繰り返しできたのがこの本です。(校正メンバーがこの本を読んでいる通算回数は半端ないと思います。笑)

何度も修正を重ねた150P以上の原稿
(ライフキャリアコーチのsanaさんが全体を整えてくれました。)

デザインチームはわずか3人という少数精鋭メンバーで、表紙や中表紙、本の挿絵画像、そしてEPUB化作業にあたりました。
属人性が高い作業も多く、一人一人の業務負担は相当大きかったかと思います。
ただ「少しでも本が苦手な人でも読みやすいと思える本にしたい」という想いから、みんなでデザイン性にもこだわって制作しました。

6つの表紙案より①と⑥にしぼられ、最終的には折衷デザインに

遂にクラウドファンディングへの挑戦決定

プロジェクト開始から約1年が経過。
毎月のようにMTGを実施し、仕事や家事の合間をぬって自分の役割を全うして本制作を進めていった結果、ようやく本出版の希望が見えてきた頃。

私は、こんなに頑張ってきた制作してきた本だからこそ、一人でも多くの悩める転勤族の妻の方々に届けたいと思うようになりました。
ただそのためのPR費を捻出することができず、悩んでいました。

またメンバー全員無償でこのプロジェクトに携わってきていました。
私自身、このプロジェクトの発端になった身として、少しでもここまで携わってくださったメンバーに感謝の気持ちを示したいという思いが日に日に強くなりました。

そのため元々プロジェクト開始のタイミングで話していた、クラウドファンディングに挑戦という考えが頭をよぎりました。
ただ正直みんな本出版だけでいっぱいいっぱいで、精神的にも時間的にも余裕がある状態ではなかったのです。
そんなタイミングでクラウドファンディングへの挑戦を呼びかけるかどうかはすごく悩みました。
ただこのままだと、本出版はできてもたくさんの転妻さんに届けられないままこのプロジェクトが終了してしまう気がしていたのです。

長期に渡り、こだわり抜いて制作してきた本だからこそ、一人でも多くの人に届けたい。
そしてメンバーへの感謝の気持ちを少しでも還元したい。

その一心でクラウドファンディングに挑戦したいという気持ちを、まずはkinocom運営を手伝ってくださっているめぐみさんに相談してみたところ、「やってみましょう!ただメンバーの意見は聞いてから始めた方がよさそうですね。」と一言。

そのため、メンバーに相談する前にクラウドファンディング企画の骨子となる部分は、めぐみさんと私で考えました。

めぐみさんと制作した当初の企画案

上記の内容を元に、全体の定例MTGでメンバーに伝えた時に感じた、メンバーの率直な気持ちや考えは、
挑戦したい気持ちはあるものの、メンバーの余裕がない中でやる必要があるのか?
という反応でした。

それもそのはず。ほとんど何の準備もしていない状態で、私がやると決めたクラウドファンディング開始日まで既に1ヶ月を切っていたのです。
思い立ったら即行動しすぎる私なので、正直メンバーとしては勝手に巻き込まれた感覚が強かったと思います。(本当にいつもごめんなさい)
最終的には私の想いを尊重する形で、みんなでクラウドファンディングに挑戦するという方向性に決まりました。

気分屋リーダーについてきてくれたメンバーには本当に感謝しています。

クラウドファンディングに救世主登場!

クラウドファンディングへの挑戦は決まったのですが、メンバー内にクラファン経験者はゼロでした。

私も全くクラウドファンディングのことを分かっておらず、「募集したら支援金は集まるのでは?」とすごく甘くみていました。

そんな時に、1通のDMが。

クラファン救世主はづさんからのDM

実ははづさんは元々のプロジェクトメンバーではありませんでした。
ただこのプロジェクトをずっと外から見てくださっていて、クラウドファンディング挑戦の投稿を見て、クラファン経験者として協力したいと連絡してくださったんです。(神様)

はづさんからは一言で言うと「クラファンはなめたらあかん!」と喝を入れていただきました。
想定よりもはるかに大変なことに挑戦する決断してしまったことを、この時私は初めて自覚したのです。


予想以上に大変なクラウドファンディングに頭を悩ませていた時に、またまた救世主が登場したのです。

元記者で現在編集者をしているメンバーmiaさんからDMをいただき、クラウドファンディングをより多くの人に広めるための提案してくれました。

miaさんからもらったDMの冒頭部分(この後、長文にわたる提案が続きます)

miaさんも元々のプロジェクトメンバーではありませんでしたが、少しでも力になれたらと連絡してくれたのです。(この世には神様がいっぱいいる……)

こうして当初9名だったプロジェクトは2名増員となり、計11名で再スタートすることになりました。

予想の100倍大変なクラウドファンディング

2名の救世主登場によりパワーアップしたプロジェクトメンバーで、どうやったら世の中の人に支援したい・協力したいと思ってもらえるかを考え、メンバーで手分けして様々なことに取り組みました。

・クラウドファンディング開始を告知するグラレコ動画作成(はづさん)
・プレスリリース配信(オンライン秘書やまこさん)
・メディアアプローチ
・支援したいと思えるリターンの企画
・30回以上のライブを含むSNS運用
・友人や知人への直接のお声がけなど

改めて振り返ってもクラウドファンディングは本っっっ当に大変な挑戦でした。

私自身、特にクラウドファンディング開始までの心身のストレスは大きく、謎の頭痛や白髪の増加などの体調不良もありながら、何とかこの期間を乗り切りました。
メンバーも仕事や家庭がある中で、わずか2ヶ月の間に山のようなタスク。みんな心身ともに疲弊していたかと思います。
そんな中でみんなで力を合わせてやり抜けたのは、自分で言うのもなんですが、本当によく頑張ったなと思います。

クラウドファンディングの目標達成率285%達成!

これだけ行動していたこともあり、クラウドファンディング開始から2.5時間でファーストゴールの30万円を達成することができました!

またセカンドゴール「支援者数200人」に向けて挑戦し続けた結果、最終的には219名の方に総額855,000円のご支援をいただき、目標達成率285%という大成功を収めることができました。

ご支援いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

決してこれは一人の力では成し得なかったことです。
プロジェクトメンバーだけでなく、愛ある支援をしてくださった方、ライブに出演いただいた方、SNSでの情報シェアに協力してくださった方など、たくさんの方のご協力があったことで、達成できた目標です。
あの時お力添えいただいた皆さまには本当に感謝しています。

プロジェクト発足から1年3ヶ月、遂に本出版!

そしていよいよ出版日を2024/2/28(水)に決定!

プレスリリース配信後、広報リーダーのmiaさんを中心に本出版に向けたメディアアプローチを開始。
結果的に今回の本出版について、数々のメディアに取り上げていただきました。

2024/2/19 宮崎日日新聞 『仕事、人間関係、住まい...... ”転勤妻”の悩み共有 体験談収録の電子書籍製作』

そして制作した文章を電子書籍化するためのEPUB化の工程は、ほとんどWebデザイナーのちひろさんが、コーディングスキルを活用して担当してくださりました。


ちひろさんの作業画面

そしてプロジェクト発足から1年3ヶ月の時を経て、遂に先日無事、「転勤妻サポートBOOK」を出版することができました。

「一人でも多くの悩める転妻さんに届けたい!」というプロジェクトメンバーの想いから、499円(税込)で販売しております。
またAmazon Kindle Unlimited対象になっておりますので、会員の方は無料ダウンロードすることもできます。

本出版は初の試みのため至らない点もあるかと思いますが、私たちができることは精一杯やりきって制作しました。
もし読んでいただいた方は、ぜひ率直なご意見・ご感想をAmazonレビューにていただけると非常に励みになります。

そして今後の取り組みとしては、ペーパーバックという紙の本制作にもチャレンジする予定です。
引き続き応援いただけると嬉しいです。

改めてこれまで長期に渡り応援してくださった皆さま、そしてこんなダメダメリーダーを支え続けてくれているプロジェクトメンバーのみんな、本当にありがとうございました!

「転勤妻サポートBOOK」出版メンバー

きのこ:「仕事」執筆、プロジェクトマネージャー 
めぐみ:「家族・人間関係」執筆&デザイン&インスタグラム運用 
ちひろ:「お金」執筆&デザイン・コーディング
まなこ:「家族・人間関係」執筆&校正&イベント企画運営・支援者の方への連絡 
sana:「住まい・引越し」執筆&校正&イベント・1on1企画運営
やまこ:「お金」執筆&校正&広報
ゆうき:「仕事・学び」執筆&校正&イベント企画運営
NAO:「住まい・引越し」執筆校正&
Rika:校正&ライブ・イベント・1on1企画運営
mia:広報リーダー
はづ:クラウドファンディングPR



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