見出し画像

アライが書きたいことは

映画を、どんな風に観ているか。わたしの場合はたぶん
①世界の歴史や言語文化を浴びて、楽しくなる
②違う世界でも普遍的な人間の面白さを観察して、生き方についてぐるぐる考える
③固有の音響や色彩を味わい、制作者に思いを馳せる
です。

どんな記事になるかは、まだわかりません…
どんな記事を書きたいかも、まだ…
なのでまずは映画との出会いと、思い入れの深い三作品について書いてみることとします。

◼︎灯

映画をよく観るようになったのは、浪人期からでした。それまでは家族の好きな映画を一緒に観る(兄の大好きなどんぱち系・魔法系・スパイ系)、それか父母の書斎のDVD(社会派・洋画コメディー)をこっそり観る、みたいな。あとは高校時代の極貧デートで流行りの映画を観に行く(映画は目的ではなく口実(?))とかとか。

世界史好きだった当時、(よく出来たかは別として)一人ビデオ屋に行って勉強している年代の映画をなんとなく手にして、観ていたこともあったな。

そうやって高校生・浪人期のいくつかの歴史映画との小さな出会いと、小さな感動のたちが少しずつ蓄積し、大学生になった今も映画に対する熱が穏やかに膨張し続けている感じ、です。

◼︎塊

世界史の授業課題で「それでも夜が明ける(12 years a slave)」(2014)を観た高校生の時。歴史年表や山川の教科書など紙の資料、その明朝体の羅列からは決して分からない、生身の人間の肉声と表情を通すことで表現された史実・ストーリーを観た時。衝撃的な「何か」が口の中にぼわん!と発生した気がしました。

画像3

それは怒りなのか、絶望なのか、哀しさなのか、不条理に対する反発なのか、自分の無知に対する恐れなのか、安心なのか、違和感か疑いなのか、それら全てが絡み合ったもの、なのか。わからなかったけれど、確かに感じた「何か」はとなって喉を通り、お腹の中にドスンと溜まったような気がしました。語彙力が足らなくて、提出した考察文にはそれはそれは浅はかな文章を書いたと思うんですが、その「塊」を今なら少しはうまく表すことができるかもしれない…。

◼︎引き金

シラノ・ド・ベルジュラック(Cyrano de Bergerac)」(1990)もまた、わたしを映画の世界に引き込んだ一作品で、今わたしがフランス語科にいる直接の引き金です。17世紀のフランス文化を鮮やかに描き出し、普遍的な純愛の美しさと哀しさみたいなものをテーマにした歴史映画。大好きな作品です。初めて観たのは高校3年生の初夏でした。この出会いについてエピソードは割愛します(記事で書くかも)が、なんというか、出会ったんです。

画像2

愛なんてものをわたしがわかったようにつらつらと書くのはおこがまし過ぎる(ていうか出来ない)けれど、率直に感じる、詩の美しさだったり、フランス語の奥深さ、それから色彩・音への細部までのこだわり、...何度も観たからこその気づきをここいらで一度、自分の外に出せたら、と思います。


◼︎水のようなひと
浪人期に出会い、良すぎてしばらく寝る前に物語を反芻し自分を登場人物に置き換えてみたりした「かもめ食堂」(2006)。(わたしならおにぎりは鮭と赤飯だな、とか。)登場人物ひとりひとりのバックストーリーを勝手に書いていた時期もありました。淡い色彩で描かれたヘルシンキの街並みのなかで、強くしなやかに生きる女性たちの姿と温かいストーリがお気に入りです。最近わたしが辿り着いた、しなやかで強く、優しい、「水」のようなひとという目標人物像を具現化したような主人公。を取り囲む柔らかな日常。もうすでに書きたい…! 誰かと語りたい…!

画像3

この色よ


◼︎アライが書きたいことは

そんなふうにして、これまで小さく出会った/これから出会う映画たちを観た後の大切な「」たちを言葉にし、自分の外へ丁寧に置いていくこと。今まで自分の中に貯めていたにつき不完全あるいは名もなき感情の正体を書き起こすことで、磨き、保存し、可能なら誰かとシェアすること。なんて素敵な機会に巡りあったのかと。ヨシタケさん、まだ見ぬドイくん。ありがとう!

さてさて、三作品についてちょっとだけ思いを馳せてみましたが、結局のところ今すぐに何か一つの目的のために映画を観て、文章を書くという感じではなさそう。(わたしはぼやっとした人間なのだ。)しばらくは、書きたいことを書いてみます。そうして軸を見つけていけたらいいな。「君の書く文、(良くも悪くも)こういう傾向あるね。」と思ったら、ぜひ教えて欲しいです。

今までのように歴史勉強の一貫で観て、時代背景を研究することも、映画を起点に資料を集めて別の学問分野へ一歩踏み入れるというのも面白そう。なぜその映画に心が惹かれるのか分析して自己分析するのもいいな。

奇跡的に同じ作品を観たことがあって記事を読んでくれた方がいたら、ぜひ他の視点からの見方を学ばせていただきたいと、思います。(ヨシタケさんとカエサルくんが教えてくれたように。)反対に、みんなが書いた映画を観て、ここに戻ってきてお話したいな。

それでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?