コーヒーが飲めない。

 コーヒーが飲めない。まったく飲めないという訳ではないし、大人になって大分良くなったのだが、飲むと胸焼けがする。ではコーヒーを薄めようとミルクを入れると貧弱な胃腸が簡単に根を上げ、胸焼けと下痢をダブルで喰らうことになる。
 しかし大人になると、どこに行っても出てくるのはコーヒー。ほとんどコーヒー。味も香りも嫌いではない。しかし体が受け付けないのだ。それでも出てくるのはコーヒー。たまに緑茶を出されるとホッとする。

 なぜコーヒーなのか。コーヒーが大人の飲み物なのか。コーヒーおいしい教が裏で手を引いているのか。組織が私を抹殺しようとしているのか。
 まるでそれが当たり前かのようにコーヒーが出てくる。コーヒーに罪はないが嫌悪感を覚える。せめて何か聞いてから出せといつも思う。カーディーラーなどに行くと選択肢があるから助かるのだが、コーヒーとオレンジジュースしかない場合があるのだが、明らかに子どものためにオレンジジュースが用意してあるだけと推測される。「あの人いい年してオレンジジュースだって」などと思われようと気にはしない。飲めない物は飲めないのだ。

 有無を言わさず出てくるのであれば、同じ黒い飲み物、コーラなどどうかと思う。ほとんどの人が飲める。緑茶がダメという人もいるが、コーラなら炭酸が苦手な人でも飲めないということはない。放っておけば炭酸が抜けて飲み頃にもなろう。これなら取引先で私のような人間が困ることはないのだ。

「こちら今回の提案資料で(ゲフッ)」
「なるほど、結構なコストダウンになりま(グェー)」

 うん、ないな。

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