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【Vol.15】マクドナルドに行く理由

突然ですが、僕はマクドナルドのハンバーガーが大好きです。基本的にはビッグマック。チキンタツタは復刻になったら必ず食べるし、グラコロは毎年楽しみにしています。

昔からよく1人で行っていたし、いまでもお昼に時間ない時は行くんだけど、子供ができてからは、週末に2人でお散歩がてら買いに行くケースが加わった。子供と2人だけでお出かけできるは、まだマクドナルドだけ笑

マーケティング視点でマクドナルドを見てみる

さて、このマクドナルドというハンバーガーチェーンは、マーケティングという側面から見ると非常に面白い。

元P&Gの方が入られたからなのか時系列は分からないが、やっていることが理にかなっているし、1つ1つの打ち手が非常に分かりやすくて良い教材なので、分解して見てみたいと思います。

売上を上げるためには、①マクドナルドを使用する人を増やすか、②その人達の来店頻度を上げるか、③来店時の購入単価を上げるかの大きく3つ。

①使用する人を増やすためには、昔は行っていたけど来なくなった人を呼び戻すか、一度も行ったことのない人に来てもらうか。

②来店頻度を上げるためには、利用シーンを広げてあげるか、来店の空白期間を縮めてあげるか。

③購入単価を上げるためには、プレミアムラインを導入するか、商品の併売をしてもらうか。あとは、値上げするって手もある。

マクドナルドの課題と打ち手を勝手に考察してみる

空白期間を縮める、買う理由を作る、行く理由を作るのがうまい。自分なりに考えた課題と打ち手を考察してみる。

【課題①】夜帯の来店客数を増やす

元々のperceptionは、マクドナルドはカロリーが高いから、朝は重たいし、夜は太りそう。だから、昼に行くところ。というもの。ダイエットブームになり、夜カロリーを取ることが悪になっている中では尚更。

そこに対して朝マックを投入し、マフィンと卵とソーセージという朝ご飯に近いメニューを展開。昼は昼で打ち手を打っている中で、夜の客数を増やしたい。となった時に、「じゃあ夜マックやったらええやん。」って誰か言ったんでしょうね。

でも、夜に行く理由をどうするか。17時以降というちょっと早めの時間帯、そして+100円でパティが「倍」というキャッチーさ。ビッグマックやダブルバーガーというパティが2枚以上入っているものがある中で、フィレオも倍になるのは斬新だった。

あとは、+100円という価格設定も絶妙。パティの原価がいくらか知らないから妥当かどうかは分からんが、オペレーションはパティを倍にするだけで、単価が上がり客数が上がれば万々歳だ。牛丼には大盛りがあるんだから、ハンバーガーにもあっても良いじゃんって話だな。

たまに早く帰れた時に、あ、寄ってみようかな。と思って寄ってしまうこともチラホラ。どうせ店は空けててシフトも組んでるんだからそれで良いじゃん!という考え方は理解できる。まぁ、これによってどうなったかは知らないが、仕入れる数が多少増えるぐらいだし、冷凍だし、そんなに影響はないんだろう。

【課題②】空白期間を下げる

空白期間を下げるのだか短くするのだか分からないけど、要するに期間内に来る回数を増やしたいってこと。決まったメニューだと、特に行く必要もないし、たまに食べられれば良いかな。ぐらい。さっきと同様、カロリー高いし。みたいな。

ただ、限定メニューの展開でそれをうまく埋めている。限定メニューは昔からあったが、復刻して懐かしさを煽ったり、キャンペーンとセットで面白くしてみたりして、人の経験を見て自分もやりたいと思わせる。

上手だなーと思うのは、複数の味違い商品を作ること。何パターンかあると、どれにしようか迷う。それが美味しいと他のものへの期待値が上がり、他のものも食べたいと思って再来店。もし、自分が選んだものが思ったのと違っても、他のやつはどうだろう?と試してみたくなる。自分の選択が悪かったんだと思えるのは、基本的に美味しいものを提供しているというブランドイメージなんだろう。

そして、そのメニューが期間限定ときたもんだ。早く食べないと二度と食べられなくなる。グラコロや月見なんて1年に1度。他のものもまたやるかも分からない。そうやって、来店頻度が上がる訳だ。

同じことは、ハッピーセットのオモチャにも言える。全部揃えたい欲求とそこに来店しなければならない数。親もハッピーセットを買うことで頻度を下げているが、結果自分も食べるから単価が上がっていたり。

行く度に、「あー、またやられとる。俺。」となる簡単なお客さんな訳。つまり、ターゲットなのかしら?笑

買うことを正当化する理由を作ることが大事

さて、好き勝手に僕の視点で述べてみたが、結局のところ店に来る理由を作って来させたもん勝ちだということ。その人が「行きたい!」と思うボタンを押してあげることが大事。

マクドナルドのマーケティング部の人達は、来たことのある人達の来店頻度をいかに上げるかが重要だってことを考えたはず。(来店経験はほぼすべての人があるから。)

ただ、そこには、ちょこちょこ買って食べたら太りそうだなー、っていうなんとなくのイメージがある。そこに対して、「まぁ、期間限定だから仕方ないか。」とか、「いつも食べる訳じゃないし、たまには。」とか、自分で買うことを正当化している。その材料を彼らは与えている。

そして、同じシーンの中での選択肢に入る確率を上げる。例えば、お昼ご飯を食べる。というシーンの中で、ファミレス・牛丼・マクドナルド。で選ばれる確率を上げること。さらには、いままで取れてなかったシーンに入り込む。新たなシーンを作り出す。さっきの夜マックや朝マックがそう。

朝しか食べられないから、久しぶりに夜早く帰れたから、普段食べられないし。こういう"言い訳"が消費者を動かす最後のひと押しになる。

みんな自分のジョブをクリアするために行動している

モノを買おうと思って生活してる人なんていない。日々の出来事の中で起こるなにかを解決したいからモノを買う。それがクリステンセンの言うジョブ理論の話なんだろう。そしてそこには、その人のロールが絡んでくる。

冒頭の話で考えてみても、僕自身がマクドナルドでクリアしたいジョブは2つある。1つは、お腹を素早く満たすこと。そして、子供を喜ばせるということ。何が違うかというと、ロールが違う訳だ。

前者は忙しいサラリーマンというロールであり、後者は父親というロール。ただのジャンク好きの個人としてのロールを見ると、新しいメニューを食べ尽くす。というジョブをクリアしようとしている。

みんな様々なロールを持っていて、そのロールごとにこなすべきジョブが異なる。それが複雑になっているからこそ、モノを売るのが難しくなる訳だ。

世の中はめまぐるしく、ものすごいスピードで変化している。働き方や生き方が多様化してくる、でも、人口は減り、モノは増えていく。人とモノのマッチング総量が消費者だと考えた時に、所得が増えない中でどうやってマッチング総量を増やしていくのか。

マーケティング1.0→2.0→3.0→4.0と進化を続けていく中で、企業が消費者と向き合い、消費者に寄り添い、消費者を理解し、消費者のロールに基づいたジョブをクリアしてもらうために良い商品を提供する。

そのために、我々マーケティング・リサーチ会社が消費者の代表として声を届ける。

この競争と支援こそが、世の中をよくしていくための活動であり、「ビジネスは世の中を変えるための最強のツール」という本当の意味なんだろう。

講演でも勉強会の講師でも、営業・マーケティングに関することならお気軽にご相談ください!喜んでお受けします!