真の餃子日本一は京都

餃子の消費ランキング、宇都宮と浜松の争いとされるが。
あの統計には罠がある。
実は「金額ベース」なのだ。

関東の中華料理屋では、餃子は歴とした単品なんだ、一皿400円ぐらい取る。
一方、餃子の王将では、他のメニューと一緒に注文する添え物であり、最近300円に値上げしたが、去年まで200円台だった。

王将の餃子は、私の知る限り、この40年ぐらい「京都市バスの均一運賃」とほぼ同額を維持してきた。中高生のころは「バスに乗らず歩いて、王将に寄ろう」なんてことをやっていた。

我々中年だと、中高生時代が王将の成長期で、新規出店時に配布されるタダ券でよく食っていた。また若者向け深夜放送でハガキを読まれた時の賞品も「王将の餃子券」だった。
近年、何を血迷ったのか「ファミリーレストラン」などと名乗っているが、正真正銘、男子・学生・肉体労働がガッツリ食う場として、京都の男は中坊の頃から餌付けされている。京都のラジオでは正午の時報が、餃子を焼く音になっている。

京都人は、観光客の見ている前だけ「おばんさい」「菜ぁの炊いたん」などと和服生活の菜食主義者を演じる。その反動で、夜になると、スエットに黒いワゴン車で、オラオラと南区や伏見区を走り、ヤンキーじみた言動と食生活を楽しむ習性がある。
王将の餃子や、天下一品こってり、横綱のニンニクトンガラシ、第一旭の豚バラ、新福菜館の醤油、南区上鳥羽のドンキ……これらは、京都人がその仮面を脱ぐのに不可欠な存在である。

京都人ぐらい脂っこい外食を好む連中はいない。

このように、餃子は京都人の食生活に深く根付いている。
「意外にもパンの消費額が多い」あれも観光用の京都像の一環にすぎず、上品な大学教授あたりをイメージさせているだけだ。
京都における真のソウルフードは餃子であり、かつ、餃子を食っている姿を府外には見せていないのだ。

また、王将の本社の近所には、珉珉餃子の本社もある。
スーパーでおなじみ、10個入りで78~128円の、ベイシックな物だ。

さらに、業務スーパーの徳用30個入り餃子「京醍醐味噌」も山科区だ。

金額ベースではなく、重量ベースなら、京都府民の餃子消費量が間違いなく日本一だろう。

また「餃子の聖地」は京都市の東、山科区であることは言うまでもない。

宇都宮?浜松?とんだお笑いだ。
観光客や大学生の前で「京都人」を演じるストレス。
内陸盆地で不足する動物性蛋白質の補給。
対外的には「老舗」と呼ばれているが要するにケチな同族企業ばかりで給与水準が低い件。
こうした過酷な環境に京都人が耐えられる秘密が、餃子なのである。
京都における餃子の消費量と愛着は、府外の皆さんの想像の及ばないレベルにある。王将の社長を射殺した犯人が逮捕された際、祝いに餃子を食いに行く奴で駐車場に車が入りきれなかったほどだ。

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