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今週のkinologue【5/29-6/4】

ものすごく腹が立って眠れなかったのと暴風雨で眠れなかったのが続いた今週、アートに救われた。ちょうど今日観た『パリタクシー』で「怒ったら歳をとり、笑ったら若返る」というセリフがあったっけ。怒りはいかん。

いつもアマゾン経由で利用している古書店バリューブックスで送料無料キャンペーンをやっていたので、初めて買取利用。2箱で申し込んだが、買取に出せる本が意外となくて、スペースを埋めるために詰め込んだ雑誌が一番買い取り価格が高くてびっくり。バリューブックスの本の循環ビジネスは優しく美しい。上田の店舗に上田映劇&ルヴァンと合わせていつか行きたい。

月刊MOEの特集を読んで予習もばっちり。前からずっと楽しみにしていたエドワード・ゴーリーの展示にやっと行った。というのは、金曜の松濤美術館館内建築ツアーと合わせて見に行きたいという野望があったために、先延ばしになってしまっていた。白井晟一の建築に魅了されたのは去年のことだったか。まだ芹沢銈介美術館にも行けてないので、建築のお楽しみはもう少し先にとっておくことにして、ゴーリー、ゴーリー。もう展示後半になっていた。原画じゃなくて版画?が小さくてついつい吸い寄せられ、筆致の細かさに驚かされる。物語の中の絵がピックアップされて並んでおり、こんな話かなぁと想像しながら見て、その後に本を読んでみると全然違う。ナナメ上をいっているとでも言おうか。ぞっとしたり、笑いがとまらなかったり。柴田先生の翻訳もあとがきも素晴らしい。やはりその中でも『うろんな客』の短歌形式は秀逸。ゴーリーのシュールさはユアグローの『一人の男が飛行機から飛び降りる』の表紙の絵のバクスターに通じるとあって、また深く頷く。あとのお気に入りは『金箔のコウモリ』。やがてスターになっていくバレリーナの話だが「とくに生活は変わらない」と繰り返されるところが好きで、この絵のポストカードも購入。この作品をゴーリーから捧げられたバレリーナ、ダイアナ・アダムスのゴーリーへの弔辞の記事があったが、それも良かった。ゴーリーが晩年、ニューヨークを離れてケープコッドで過ごしたというのは知っていたが、年表を見て、私がケープコッドで夏を過ごした時期と重なっていて胸熱。私にとっては初めての海外ホームステイ先だった小さな町にゴーリーもいたなんて。恐ろしく昔の話だけれど、久しぶりに色々と思い出した。ゴーリーの世界にしばし浸っているうちに、眠れないほどの怒りも消えていった。この日は帰りに二度目の『TAR』に行こうと思っていたが、じっくり図録を読んで浸ることに。アートのありがたさが身に沁みる。

衝撃的な『不幸な子供』。haplessという言葉を初めて知ったが、unhappyより辛そうだ。

6月発券分からフィンエアーの座席指定が完全有料になったと知る。機内食が格段にまずくなり、枕がなくなり、人員が少ないからサービスが落ちたとか。それでも運賃はコロナ前の2倍でサーチャージもかかる(前よりは少し安くなっているが)。それでも今年はフィンランドに行くことに決めて、航空券を予約。そんな時にフィンランド映画業界の集いから招待が来た。前回は2019年に招待されたが(この年は同時期に来日があったため行けず)、その時にはついていた航空券が今回はなしで悲しい。フィンランドで買えば日本で買うより全然安いのになぁ。ま、とりあえずお楽しみが出来たので、その前にやらなくてはいけないことをこなしていかねば。

しっとり硬すぎないパンも、パテとオリーブ&ピクルスのバランスもちょうどいい

『パリタクシー』で食べていたサンドイッチが美味しそうで、映画後にカフェでパテのサンドイッチをほうばる。近所にこんな美味しいパテがあるとは!嬉しいおどろきに満ちた、幸せな日曜昼下がり。

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