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【廃車解体】さようなら189系と仲間たち

長野総合車両センターに残されていた189系N102編成がついに解体され始めた事が確認され話題になっている。
6両編成のN102編成は、かろうじて本線走行が期待できた最後の183・189系であった。

今現在解体されているのはモーター車を含む中間車の4両。
先頭車両だけで特急は走れない。
これにて由緒正しいカッコいい顔の国鉄特急型は終焉だ。←おっと、西の381系がいた。正確には“東日本からは”終焉だ。

今回は183・189系の写真を振り返ってみよう。


ムーンライト信州

晩年の189系N102編成の活躍といえば、新宿から白馬へと向かう夜行快速「ムーンライト信州」だろう。
歴代の廃車間際の183・189系列が使われた印象の「ムーンライト信州」だが、列車自体が消滅する直前、最後に運用に着いていたのがN102編成だったはず。
御多分に洩れずワタシも大変お世話になりました。ありがとうございました。

やっぱり記憶は合っていた。
これらの写真を見るとN102の札が運転台に掲げられているのが見える。
最後に乗った189系が今まさに解体されてるのか。

年末年始の臨時運転。
氷結した架線をパンタグラフで削りながら、未明の大糸線をかっ飛ばしてた189系。
固着する氷をバチバチとスパークさせた火花が、ムーンライトの車内にストロボを乱発させたように反射した。
久しぶりの夜行列車が嬉しくて、ろくに眠れず迎えた明け方の、あの無謀な走りは忘れられない。
おかげで次の日、眠かった。

面縦(めんたて)と呼ばれる写真

望遠レンズを手に入れた人間がカッコいい電車を見ると必ず撮ってしまうのが、このアングルである。
全人類共通の脊髄反射である。

荻窪界隈

荻窪駅を発車した下りの中央線はS字カーブに車体をくねらせ加速する。
幼少期を荻窪で過ごしたワタシは、この場所でセブンイレブンのおでんを食べながら電車を眺めていた。
漢字の教育を受ける前から、走る列車の方向幕を指差し「武蔵五日市」「大月行き」「青梅特快」などと叫んでいたのである。

オレンジ色の通勤電車に飽きて来た頃、ゆっくりとしたスピードで威風堂々やってくるのは特別急行「あずさ」と「かいじ」だ。
“荻窪など論外”と言わんばかりに、駅にも止まらず過ぎ去ってゆく。
この時の183系は北大路欣也も真っ青の風格を纏っていた。

長い時間が経ち一眼レフをコントロール出来る様になった頃、183・189系は繁忙期の臨時列車を走らせる為だけに、中央線にギリギリまだ生き残っていた。
最大11両だった編成は6両に縮まり、あの時代の風格は失われていたものの、思い入れのある地で自らの手で写真を撮れる事が嬉しく、再びこの場所へ足を運んだ。

謎のこだわり

都心から徐々に高架化されていっている中央線だが、荻窪駅だけは未だに地上駅のままだ。
頭の硬いバカな地主が数多く存在する荻窪界隈は、声の大きい老害達によって近代化が阻まれている。早く死んだら良いのに。

ワタシは古き良き荻窪駅4番線ホームで189系を撮影する事にした。
同じアングルで豊田車の全3編成をコンプリートしているが、何故あの時にそこまでのコダワリを持っていたのか、今となっては分からない。

ついでに、荻窪駅先によく置いてあった謎の車両と「かいじ」号

自画自賛のコーナー

カメラ業界にデジタル化の波が押し寄せる前のことである。
現像するまで写真が見られない「フィルム」という、今となってはローテクな遺物を使わねばならない時代があった。

幾度と無い失敗の中で、かろうじて数枚の輝かしい写真が生まれた。
あの時撮ってた自分、エラい!

この頃にどんどんと定期運用を退いていった183・189系は、次々と廃車になってゆく。
あとは波動用に数本残るのみ。
だが、スクラップを免れた貴重な編成の中に、なんとヘッドマーク上の特急エンブレムが外された個体が現れた。
そのマヌケな風貌の車両が来てしまうを嫌い、暫くはわざわざ写真を撮りに出掛けなくなった。
今振り返ると、なんと勿体無いことをしたのだろう。

ヘッドマークの上にあるべき物が無い国鉄色は、キモい。

長野車の晩年

長野には「あさま色」と「国鉄色」がいた。

豊田車の晩年

豊田には「あずさ色」と「グレードアップあずさ色」と「国鉄色」がいた。

ヘッドマークくるくる

たのしい楽しい、「ヘッドマークくるくる」の時間だよ。

あずさ
快速「ムーンライト信州」
伝説の「甲信エクスプレス」
ホリデー快速「富士山」
修学旅行
伝説の「はまかいじ」
あさま

伝統のあさま色の「あさま」は、ヘッドマークくるくるの時間にしか見られないのだ。

あさま
快速「ムーンライト信州」
伝説の、快速「ファンタジー舞浜号」
快速「妙高号」

成れの果て

183・189系はもう二度と走ることは無い。
ただ朽ちてゆくだけである。

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